
働き方が多様化するいま、「休み方」もまたアップデートすべき時を迎えています。
愛知県発の「ラーケーション」は、親の都合に合わせて子どもが平日に休んでも欠席とならない新しい仕組みです。
その背景には、土日休みが当たり前ではない社会の現実があります。
家族で過ごす時間や体験を学びへと広げる可能性がある一方で、「どんな理由なら認められるのか」「どう書けばよいのか」と、申請時の「目的」の書き方に悩む保護者も多いようです。
本コラムでは、「休み方改革」という視点から、その広がりの背景をわかりやすく解説し、目的の伝え方のポイントを考えます。
この音声コンテンツは、記事の文脈をAIが読み取り独自に対話を重ねて構成したものです。文章の読み上げではなく、流れや意図を汲み取った自然な音声体験をお届けします。※AIで作成しているため、一部誤りや不自然な表現が含まれる場合があります。
「休み方改革」はなぜ必要?
ラーケーションは愛知県全体の「休み方改革」プロジェクトの中で生まれました。*1
なぜ、「休み方改革」が必要なのか、みていきましょう。
「過去最高」なのに最下位? 日本の有給のリアル
厚生労働省の調査によると、2024年(令和7年)1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く)は、労働者1人平均で18.1日(2023年調査では16.9日)でした。*2
このうち労働者が取得した日数は12.1日(同11.0日)で、取得率は66.9%(同65.3%)と、1984年以降、最も高い数値を示しています(図1)。

出所)厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況」p.8
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/25/dl/gaiyou01.pdf
日本の有給休暇消化率は世界的にみて、多いのでしょうか、それとも少ないのでしょうか。
旅行予約サイト大手のエクスペディアの調査によると、2023年の日本で働く人の有給休暇の支給日数は平均19日間、そのうち平均で12日間の有給休暇を取得していました。*3
取得率は63%で、世界11地域のなかで最も低く、最下位となりました(図2)。

出所)エクスペディア「エクスペディア 世界11地域 有給休暇・国際比較調査2024を発表」(2024年6月20日)
https://www.expedia.co.jp/stories/vacation-deprivation2024/
この調査は、先ほどみた厚生労働省の調査とは調査年も調査対象も異なるため、数値が一致しませんが、厚生労働省の調査による2023年の取得率、65.3%を当てはめても、最下位であることは変わりません。
一方で、休暇を取得することの影響について、日本で働く人の86%が「メンタルヘルスや幸福のために重要である」と回答しています。
「週末=休み」とは限らない
子どもの休みに合わせて休暇をとるためには、週末の土日を活用するのが一般的です。
では、子どもと一緒に週末を過ごせている人はどれくらいいるのでしょうか。
総務省が5年おきに行っている「社会生活基本調査」の2021年版によると、仕事をしている人のうち、平日に働いている人の割合は82.7%、土曜日に働いている人は45.5%、日曜日に働いている人の割合は30.4%となっています(図3)。*4

出所)愛知県「愛知県「休み方改革」プロジェクト 関連データ集」p.4
https://yasumikata.pref.aichi.jp/assets/file/data.pdf
このことから、親子が土日に一緒に休日を過ごすことができない家庭が一定数あることがわかります。
「子ども版有給休暇」ラーケーションとは
このような悩みに応えるのがラーケーションです。
ラーケーションとは、どのようなものでしょうか。
「こどもの学習×大人の休暇」
「ラーケーション」とは、ラーニング(学習)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語です。*5
2023年度に全国に先駆けて愛知県が導入しました。
対象は、愛知県内の公立学校(小・中学校、高等学校、特別支援学校)に通う子どもたち。
子どもが保護者とともに、平日に、校外(家庭や地域)で、体験や探究の学び・活動を、自ら考え、企画し、実行することができる日です。
こうした取り組みを「子ども版有給休暇」と呼ぶ専門家もいます。
校外での自主学習活動という位置づけで、子どもは学校に登校しなくても欠席とはならず、「出席停止・忌引等」と同じ扱いとなります。*1受けられない授業の内容は、家庭で自習をすることで補います。*6
保護者の休暇に合わせて届け出て、年に3日まで取ることができます。
愛知県の導入後、都道府県としては、茨城県、山口県、熊本県、徳島県、沖縄県が続きました(2025年時点)。*5
市区町村単位では、大分県別府市、栃木県日光市、滋賀県長浜市などが導入し、全国的な広がりをみせています。
一緒に休むことで深まる親子のつながり
ラーケーションにはどのような利点があるのでしょうか。
愛知県が2024年12月から2025年1月にかけて行った調査(以下、「愛知県調査」)の結果をみていきましょう。*7
まず、「「ラーケーションの日」でいいと思うこと」(複数回答)についてです(図4)。

出所)愛知県「2024年度 「ラーケーションの日」アンケート調査結果」p.3
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/566635.pdf
最も割合が高かったのは、「土日に休みにくい家庭でも、子供とのふれあいが増える」で66.6%、次いで「「学校には欠席せずに通うべき」という考え方の見直し」が32.5%で続いています。
次に、実際に「「ラーケーションの日」を取得してよかったこと」(複数回答)についてはどうでしょうか(図5)。

出所)愛知県「2024年度 「ラーケーションの日」アンケート調査結果」p.4
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/566635.pdf
最も割合が高かったのは、「家庭内のふれあいを深めることができた」で81.2%、次いで「子供が活動や学びに意欲的に取り組むことができた」40.6%が続いています。
このように、親の休みに合わせて子どもが学校を休んで親と一緒に活動をすることによって、家庭内でのふれあいが増えたり、深まったりする効果が窺えます。
ラーケーションの届け出には何を書く?
一方で、ラーケーションをめぐっては悩みごとを抱えている人もいるようです。
前掲の「愛知県調査」では、ラーケーションに関して負担に感じていることとして、「学校に「ラーケーションの日」を届け出る」を挙げた保護者が27.0%でした。*7
一方、同調査の教職員へのアンケート結果では、ラーケーションの課題として、「保護者にラーケーションの趣旨が十分に理解されていない」を挙げた人が41.5%に上っています。
では、ラーケーションはどのような計画を立て、届け出にはどう書いたらいいのでしょうか。
届け出フォームはどうなってるの?
ラーケーションの日は、学校から示された方法(アプリや連絡帳、電話など)で、あらかじめ学校に届け出なければなりません。*6
ラーケーションを活用するにあたって計画するのは、活動する日(いつ)、活動する場所(どこで)、学ぶこと(なにをするか)の3つ。
以下は、小学校向け「ラーケーションの日」届け出フォームの入力内容例です。*8

出所)豊田市教育委員会 豊田市立五ケ丘小学校「令和7年度(保護者用リーフレット) 「ラーケーションの日」」 p.2
https://www2.toyota.ed.jp/s_itsutsugaoka/download/document/17452480
具体的に書く必要がある、取得日、活動場所、活動内容には、何をどのように書いたらいいのでしょうか。
取得日はどうする?
学校によって、行事などの教育活動のため、 「ラーケーションの日」を取ることができない日が決まっています。
取得日はそれ以外の日に設定する必要があります。
また、ラーケーションの日には給食を停止するため、ラーケーションの日が変更になった場合には、家庭がお弁当を用意しなければならない場合がありますので、注意します。
自由度の高さが悩みの種に
愛知県が「ラーケーションの日」を設けたのは、未来につながる家庭での主体的な学び・体験的な学びを応援するためです。*1
この「主体的な学び・体験的な学び」という方向性が、ラーケーションの活動内容を考える際の自由度を高めているのは確かです。
しかし、その一方で、「何をどのように学びとして成立させるか」を保護者自身が考えなければならないことが、計画を立てる際の悩みにつながっているのではないでしょうか。
事例集を覗いてみよう
ここで、愛知県が公表している事例集をみてみましょう。*9
事例集は「学校ではできない体験から学ぶ」「興味のあることを探求する」「興味や関心を高める」の3つタイプに分かれています。
それぞれの活動例をみていきましょう。
- 生命誕生:弟の誕生に立ち会い、へその緒を切った。
- ちらし寿司:自宅で酢飯、具材を準備し、盛りつけもした。
- 老人会:兄弟で近所の老人会に行き、合唱などのボランティア活動をした。
- 水族館のバックヤード:平日で空いている水族館のバックヤードツアーに参加した。
- パラレルターン大回り:スキーのテストに向けて、人の少ないゲレンデに練習に行った。
- 消防訓練:将来消防士になりたいので、平日に行われることの多い訓練を見学した。
- パンダ:返還間近なパンダを動物園で観察。ウミガメを抱いたり、ゾウやキリンに餌を与えたりもした。
- 大学の講義:書籍で知っている教授の最終講義を聴いた。
- 裁判を傍聴:地方裁判所に行き、裁判を傍聴した。
- 木工:ホームセンターのDIY教室に参加し、インパクトドライバーや塗料を使った。
- 大相撲の巡業:巡業の最前列で楽しんだ。
- 茶摘み:農家の人に教えてもらいながら、初めての茶摘み体験をした。
以上の活動例をみて、なにかアイディアが湧いてきたでしょうか。
どんなことからでも学べる
どんなことからでも学べる—そう考えると、ラーケーションの計画はぐっと身近なものになります。
特別な体験を用意しなくても、子どもが「やってみたい」と思うことに取り組めば、そこには必ず学びが生まれるでしょう。
たとえば、好きな場所に出かけることも、新しい発見や疑問につながりますし、家での活動からも工夫や気づきを得ることができます。
大切なのは、「その体験をどう意味づける」かです。
「なぜやりたいのか」「やってみて何を感じたいか」を言葉にすることで、日常の延長にある活動も立派な学びとして表現することができるはずです。
ラーケーションは、日頃やりたかったことや、子どもの興味を出発点にするのがポイントではないでしょうか。
おわりに
ラーケーションは、何か特別なことをしなければならないという制度ではありません。
子どもがふだん興味をもっていることや、やってみたいと思っていることに向き合うだけで、そこには自然と学びが生まれます。
そして、なによりも、ラーケーションをきっかけに、親子で一緒に過ごす時間を増やせば、家族のふれあいを深めていくことができるでしょう。

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資料一覧
*1
出所)愛知県「愛知発の新しい学び方「ラーケーションの日」ポータルサイト」
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/gimukyoiku/learcation.html#1
*2
出所)厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況」p.8
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/25/dl/gaiyou01.pdf
*3
出所)エクスペディア「エクスペディア 世界11地域 有給休暇・国際比較調査2024を発表」(2024年6月20日)
https://www.expedia.co.jp/stories/vacation-deprivation2024/
*4
出所)愛知県「愛知県「休み方改革」プロジェクト 関連データ集」p.4
https://yasumikata.pref.aichi.jp/assets/file/data.pdf
*5
出所)全国知事会(駒沢女子大学 観光文化学部 教授 鮫島卓)「休み方改革と観光振興を加速させるラーケーション」p.4, 5, 34
https://www.nga.gr.jp/committee_pt/item/03%20koenshiryo.pdf
*6
出所)愛知県「「ラーケーションの日」届け出の流れ」
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/gimukyoiku/todokede.html
*7
出所)愛知県「2024年度 「ラーケーションの日」アンケート調査結果」p.3, 4, 5
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/566635.pdf
*8
出所)豊田市教育委員会 豊田市立五ケ丘小学校「令和7年度(保護者用リーフレット) 「ラーケーションの日」」 p.2, 3
https://www2.toyota.ed.jp/s_itsutsugaoka/download/document/17452480
*9
出所)愛知県「「ラーケーションの日」活動事例集Vol.2」
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/580737.pdf
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