AI時代に問われるポータブルスキル 人間力がキャリアと人生を拓く 

AI時代において評価され続ける力とはどのようなものでしょうか。
本稿では、その鍵を「ポータブルスキル」という視点から考えます。

テクノロジーの進化によって仕事の内容が大きく変化する中、業界や職種を越えて活かせる思考力、対人力、課題解決力の重要性が高まっています。
スキルを単なる専門性としてだけ捉えるのではなく、環境が変わっても活用できる「持ち運び可能な力」として再整理することが求められています。

さらに、これらの能力はビジネス上のポテンシャルを高めるだけでなく、人間としての成長や人生の選択肢を広げる「ライフハック」としての可能性ももっています。

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この音声コンテンツは、記事の文脈をAIが読み取り独自に対話を重ねて構成したものです。文章の読み上げではなく、流れや意図を汲み取った自然な音声体験をお届けします。※AIで作成しているため、一部誤りや不自然な表現が含まれる場合があります。

ポータブルスキルとは

「ポータブルスキル」とは、特定の職種の専門性に限らず、業種や職種が変わっても活かすことができる職務遂行上のスキルのことです。*1

ポータブルスキルは、全部で9つの要点から構成されていますが、「仕事のし方(対課題)」と「人との関わり方(対人)」の2つの観点によって分類されています。

表1 ポータブルスキルの9要素

出所)厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23112.html

「仕事のし方」は、仕事の前工程から後工程までの流れの中で、どの部分に強みがあるのかをみるものです。
一方、「人との関わり方」は、部下のマネジメントに限らず、経営層や上司、同僚、さらには顧客など、仕事に関わるさまざまな関係性における対人スキルを捉えるものです。

これまでの労働市場では、年齢が上がるほど「専門知識や専門技能」が重視されてきました。しかし、業界や職種を越えた人材移動を進めるためには、どの仕事でも活かせる「ポータブルスキル」の視点をマッチングに取り入れることが重要だと指摘されています。*2

「ポータブルスキル見える化ツール」

ここでは、ポータブルスキルを測定するためのツール、「ポータブルスキル見える化ツール」についてみていきます。

ツールで測れること

このツールでは、ポータブルスキルのうち専門技術や専門知識を除く、「仕事のし方」と「人との関わり方」に関する要素を測定することができます。*2
主な対象は、ミドルシニア層のホワイトカラー職種です。

このツールでは、ポータブルスキルのうち専門技術や専門知識を除く、「仕事のし方」と「人との関わり方」に関する要素を測定することができます。

ツール開発の目的

「ポータブルスキル化ツール」が開発された背景は、大きくわけて3つあります。

  1. ホワイトカラー職種は、能力の測定や証明が難しい

人事や経理などのホワイトカラー職では、専門知識や技能よりも「コンピテンシー(行動特性)」が重視される傾向があります。

そのため、国家資格や公的資格、民間資格といった形で職業能力を評価することが難しく、結果として、これらの職種の能力を労働市場で客観的に証明することも難しい状況にあります。

こうした状況から、「ホワイトカラー職種のポータブルスキルを数値化し、能力の見える化をする必要」があります。

  1. ミドルシニア層におけるキャリアチェンジは難易度が高い

ミドルシニア層が異なる職種へ転職するのは難易度が高く、実際に、同じ職種内で転職できている人も半数にとどまっています。
一方で、同職種間の転職であっても異職種への転職であっても、入社後のパフォーマンスには大きな差がないことがわかっています。

そこで、「ミドルシニア層の新たなキャリアチェンジの検討を促す必要」があります。

  1. ミドルシニア層はキャリアを考える機会が少ない

ミドルシニア層は日々の業務に追われ、自身のキャリアを考える機会が少ないのが現状です。
こうした状況から、「能力を棚卸しキャリアを考えることによって主体的なキャリア形成を促す必要」があります(図1)。

図1 「ポータブルスキル見える化ツール」の開発背景と目的
出所)厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール キャリアコンサルタント等支援者向け活用教材」p.5
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000935264.pdf

ツールの使い方

このツールでは、まず、STEP.1として「持ち味の測定」をします(図2)。*3

図2 「ポータブルスキル見える化ツール」の「持ち味の測定」
厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/VocationalAbilityDiagnosticTool/Step1

この測定では、9つのポータブルスキルに対し、 29点を割り振ります。*2
各項目の最低点数は1点、残りの20点は、得意だと思う項目ほど高得点になるように点数を配分します。

こうすることによって、各項目に割り振られる点数がある程度、均一化されるのと同時に、特徴もある程度とらえることが可能であるという設計になっています。

次にSTEP.2として、到達度の測定をします。*3
9つのポータブルスキルについて、自身に該当するレベルを1から5の中から選びます。

図3 「ポータブルスキル見える化ツール」の「到達度の測定」
出所)厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/VocationalAbilityDiagnosticTool/Step1

次いで、STEP.3として、診断結果が表示されます(図4)。*2

図4 「ポータブルスキル見える化ツール」の診断結果の例
出所)厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール キャリアコンサルタント等支援者向け活用教材」p.19
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000935264.pdf

表示されるのは、以下の3点です。

  1. 受験者のポータブルスキルの数値と近い職務・職位

これは、受検者のポータブルスキルと、ホワイトカラー114職務・職位のポータブルスキルのなかから、比率構成が類似している5つの職務・職位を提示し、比較するものです(図5)。

図5 類似する5つの職務・職位の抽出
出所)厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール キャリアコンサルタント等支援者向け活用教材」p.16
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000935264.pdf
  1. 「仕事のし方」「人との関わり方」ごとの受験者の数値と職務・職位の数値(レーダーチャート)
  1. 職務の説明

職務の説明には、適職を選定するためのヒントがたくさん示されます。
ただし、この診断結果は、あくまでも適職の目安として把握することが大切です。

ポータブルスキルと人生

次に、ポータブルスキルを単なるビジネス上のスキルとしてではなく、日常をより柔軟に生きるための「ライフハック」として捉え直すことについて考えてみます。

ポータブルスキル一覧

ここでもう一度、ポータブルスキルを概観してみましょう(表2)。

表2 ポータブルスキルの9つの要素

出所)厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール キャリアコンサルタント等支援者向け活用教材」p.10
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000935264.pdf

さまざまな捉え方

こうしたポータブルスキルの各要素をどう捉え、生活上の取り組みにどのように活用するかについては、一定の法則はありません。

たとえば、「現状の把握」についても、その捉え方にはさまざまなものがあるはずです。
「現状の把握」を、「自分や周囲の状況を正しく理解し、必要な情報を集めて整理する力」と捉えれば、それは家計管理や健康管理、人間関係の調整などさまざまな場面での基盤となるでしょう。

あるいは、「現状の把握」を、「物ごとを感情や思い込みでなく、事実として捉え、冷静に評価・分析する習慣」として取り入れれば、それだけで判断の質は大きく変わるかもしれません。

さらに、そのように、冷静な「現状の把握」ができていれば、問題が生じつつあるときにも、小さな違和感の段階で気づくことができるでしょう。

「計画の立案」と「課題の遂行」にも、それと同じような側面があります。
たとえばこれらを、「目標に向かって現実的なステップを考え、状況に応じて工夫しながら実行する力」と捉えれば、貯蓄や学習、健康維持など、継続的な取り組みにおいて生かしていくことができます。

あるいは「計画の立案」を、「やるべきことを増やすためではなく、迷いを減らすための設計」と捉えれば、あらかじめ選択肢を整理しておくことで、その都度の判断コストを下げることができるかもしれません。

さらに、「計画の立案」を、「大げさな目標を掲げることではなく、続けられる形に落とし込む技術」と捉えれば、日常の営みにおいて、持続可能性を探ることもできるでしょう。

こんなふうに考えると、ポータブルスキルの各要素は、ビジネスだけでなく、日々の生活の中で繰り返される選択や行動の質に、少なからず影響を与え得るものであることがわかります。

重要なのは、それぞれのスキルを固定的な定義として理解するのではなく、自分の生活に引き寄せて、どのような活用ができるかを考えることではないでしょうか。

おわりに

AIの進展によって、多くの業務が自動化・効率化されていく一方で、「何をどう捉え、どう判断するか」という人間側の営みは、むしろこれまで以上に問われるようになっています。

ポータブルスキルは、その営みを支える基盤として、特定の職種や役割にとどまらない広がりを持っています。

本稿でみてきたように、ポータブルスキルはあらかじめ完成された能力ではなく、同じスキルであっても、どのように意味づけ、どんな場面でどう用いるかによって、その価値や質が変わります。

だからこそ、主体的な解釈と活用方法を試み続けることが、ポータブルスキルを磨く営みとなるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

横内 美保子

博士(文学)。総合政策学部などで准教授、教授を歴任。専門は日本語学、日本語教育。高等教育の他、文部科学省、外務省、厚生労働省などのプログラムに関わり、日本語教師育成、教材開発、リカレント教育、外国人就労支援、ボランティアのサポートなどに携わる。パラレルワーカーとして、ウェブライター、編集者、ディレクターとしても働いている。
X:よこうちみほこ Facebook:よこうちみほこ

資料一覧

*1
厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23112.html
*2
厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール キャリアコンサルタント等支援者向け活用教材」p.4, 5, 10, 16, 19
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000935264.pdf
*3
厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/VocationalAbilityDiagnosticTool/Step1


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この記事を書いた人

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そしきLab編集部

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