
使いやすいオフィス、無駄のないオフィスは、やはり従業員も心地よく働ける場所になるものです。
なかでも「移動しやすい」という要素は、ストレスを大きく減らしてくれますし、無駄な動きをしなくてすむ分、生産性も上がりやすいでしょう。
そこで今回は、オフィスの動線について考えてみたいと思います。
この音声コンテンツは、そしきlabに掲載された記事の文脈をAIが読み取り、独自に対話を重ねて構成したものです。文章の単なる読み上げではなく、内容の流れや意図を汲み取った自然な音声体験をお届けします。
※AIで作成しているため、読み上げ内容に一部誤りや不自然な表現が含まれる場合があります。
家庭で動線に悩む人は7割
まずこちらは一般家庭での話ですが、無印良品のアンケート調査によると住んでいる家で動線上不便と感じる人の割合は7割に達しています。
そして、不便になっている原因は以下のような要素です。

(出所:無印良品「第6期5回「動線」「収納」についてのアンケート結果」)
https://house.muji.com/life/survey/survey06/6_05a/
毎日を過ごす場所に動線上の悩みがあるというのはストレスや無駄な動きでの疲労につながりそうですが、オフィスにも同じことが言えるのではないでしょうか。
事故ギリギリのフロア
筆者が長く勤めていたTBSの報道局を振り返ってみると、不便の多い場所だったなあと感じています。
「大部屋」と呼ばれる各部が集まるフロアでは、各部の日々のデスク会議などに使われる大きなセンターテーブルがあり編集長が座っています。それを取り囲むように社会部、政治部、外信部…とそれぞれの島が位置しています。意思決定の場所をどの部からもアクセスしやすい中央に構えているわけです。
大きく捉えれば、1分1秒を争う場所としては効率的なように見えます。
ただ、「無駄な動き」が生じるポイントがいくつかありました。
コピー機が限られた場所に集中しているので、「コピー取ってきて」と人に頼まなければならない状態でした。無駄な動きが発生していたわけです。
また、時間帯によってはコピーを待たなければならないくらい混雑していました。
そこで「どちらの方が急ぐコピーなのか」と確認し最優先を決めて使うのですが、正直全員がそれなりに急いでいますから、待つ方には少しだけとはいえストレスが生じます。
毎日のことですから、コピーを頼まれると「え、面倒くさいなあ」と正直思ってしまいます。
そしてプリンターです。これも、一番使う人の側にあるわけではないので「取ってきて」文化が時々出てきてしまいます。
また、大変なのは臨時ニュースなどで極限まで急いでいる時です。
原稿などを持って走る人が増え、よくこれで衝突事故が起きないなあと感心していたのですが、やはり以前に、衝突事故で怪我をした人がいたそうです。
「このパーテーション1枚さえなければもっと急ぎやすいのになあ」と思うものもありました。
ちょっとしたモノの配置により、ちょっとした不便が積み重なって「使いにくい場所」になってしまうのです。
さすがに一般企業でフロアを走る人が多い、ということはないでしょうが、コピー機やプリンタなどの位置。ここじゃないところに置けばいいのになあ、と思うことはないでしょうか。
従業員の動線を徹底的に計測した結果
そしてこれはオフィスというよりも店舗ですが、省人化や業務効率化のために面白い取り組みをしている企業があります。
セブンイレブンはテスト店舗で、まずストップウォッチを用いた計測を実施しました。全従業員について移動やレジに何分かかっているか、品出しに何分かかっているか、作業ごとに計測して本当に必要な店員の数や時間を割り出す、というものです。
そして、このような結論に至っています。
この作業を通して見えてきたのは、作業量とシフト人員のミスマッチ。不必要な人数が配置されている時間帯がある一方で、少ない人員で不可能なほど多くの業務をこなしている時間帯もある。これが「人が足りない」の実情であり、従業員の「忙しすぎる」という不満や定着率低下の原因でもあると、考えた。
日本経済新聞社「まるわかり!HRテクノロジー」p91
この計測結果をもとに作業の割り当てとシフト表を改善していったのです。
この取り組みは利用客にも利便性をもたらします。混雑時間のレジ待ちが長い、欲しい時間帯に欲しい商品がない、という状況を少しでも避けることができるのです。
人の動きをデータとして把握することで効率化に繋げたのです。
この考え方をオフィスに当てはめてみましょう。
同じフロア、同じ島の中でも、席を立つ頻度が高い人とそうでない人がいます。席を立つことが多い人が奥まったところに座っていては、それは無駄な動きでありその人のストレスにもなります。これが日々のこととなると、少しずつストレスは蓄積されていくのです。
動線をあえて複雑にすることで社内のコミュニケーションを活性化する、といった考え方もあるかもしれませんが、程度が必要です。
そのパーテーション、本当に適所に設けられていますか?
筆者が訪れたあるテナントビル内のあるオフィスは、パーテーションが多いところでした。もちろん外部の訪問者に対する企業秘密もあるでしょうからある程度は必要と考えるのですが、そのオフィスは結果として迷路のようになっていて、閉塞感が強くなっていました。
その閉塞感の理由を少し考えたのですが、天井の照明の位置とパーテーションの位置関係がオフィスを暗くしている理由かもしれないというのが筆者の結論です。
照明の真下、つまり一番光が当たるところにパーテーションを置いてしまうと照明の光は、パーテーションを隔てた両方のスペースへの光の当たり方を悪くしてしまいます。
オフィスをひとつの街のように設計しよう
オフィスに人が増えたり、新しいチームが立ち上がったりすると、「とりあえず」で場所を確保しパーテーションで囲ってしまうのは簡単なことです。
しかし利便性が後回しになりがちなのもまた事実でしょう。
ではどのように設計するか。
ひとつの「街」を思い浮かべると良いと筆者は思います。
まず幹線道路があり、幹線道路沿いにはビジュアルでの宣伝が必要な店舗や飲食店が存在していることが多いでしょう。
一方で住宅は、幹線道路沿いよりも、そこから小さな道路で「少し入ったところ」のほうが静かで好まれます。ちょっと幹線道路に出るとコンビニエンスストアがある、となればさらに物件の好感度は上がります。
建物の役割によって、好ましい場所は異なるのです。
また、住宅の窓からの景観は、開けているほうが好まれます。目の前がパーテーション、それは集中が必要な作業を行うには良い、あるいはプライバシーが守られる場所かもしれませんが、逆に閉塞感を生み出すものです。
閉塞感やちょっとした不便のあるオフィスは、時に「今日もまたあそこに座るのか」という気持ちを産んでしまいます。
みなさんがお住まいの街はどう快適で、どこがストレスポイントなのか。
それをオフィスレイアウトに適用してみるのはいかがでしょうか。
この記事を書いた人

清水 沙矢香
2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に報道記者として勤務。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として各種市場・産業など幅広く取材、その後フリー。取材経験や各種統計の分析を元に多数メディアや経済誌に寄稿中。
引用

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