
サラリーマンにとって、昼休みはリフレッシュするための貴重な時間です。
お弁当や移動販売、社員食堂など、人それぞれの昼食スタイルがあります。
物価高とオフィス回帰が進むなか、社員食堂は「安くておいしい」を超えて、出社したくなる理由と人が交わる場をつくる存在へと進化を遂げていることをご存知でしょうか。
この音声コンテンツは、そしきlabに掲載された記事の文脈をAIが読み取り、独自に対話を重ねて構成したものです。文章の単なる読み上げではなく、内容の流れや意図を汲み取った自然な音声体験をお届けします。
※AIで作成しているため、読み上げ内容に一部誤りや不自然な表現が含まれる場合があります。
社員食堂に再び脚光
コロナ禍でリモートワークが普及し、社員を出社させる企業が減少しました。それに伴い、社員食堂を閉鎖した企業もあります。
しかし、今、その価値が再び見直されています。富士経済によると、社食市場は2020年に前年比2割減の9096億円まで落ち込んだものの、2024年には9720億円まで回復し、2025年も同水準が見込まれています。
背景にあるのは、オフィス回帰の流れと物価高です。外食費が上がるなかで、社員は「手頃で健康的な昼食」を求め、企業は「社員をオフィスに呼び戻す仕掛け」として食堂を再構築しているのです。*1
食堂が生み出す出社したくなる職場
在宅勤務が定着した今、社員食堂は「出社したくなる理由」として再注目されています。
化粧品大手・日本ロレアルでは、社員の声を受けて2025年9月からビュッフェ形式を導入しています。10種類以上の野菜を自由に選べ、550円で栄養バランスの整った食事が楽しめると好評です。近隣飲食店の混雑を避けられる利便性に加え、食事を通じて自然に会話が生まれる場となっています。*1
総合化学メーカー・東ソーの社員食堂では、明るく開放的な空間設計により、食事だけでなくリフレッシュや雑談の場としても機能します。社員の心の余白を生む空間デザインが、エンゲージメントの向上につながっています(図1)。*2

出所)株式会社ウチダシステムズ「東ソー株式会社様」
https://office.uchida-systems.co.jp/case/case69/
社員食堂はいま、単なる福利厚生ではなく、「人が集まり、話したくなる職場」を生み出す装置へと進化しているのです。
筆者は、社員食堂がある企業で働いた経験がありません。
当時勤めていたのは田舎の社屋で、最寄りのコンビニまで片道徒歩30分。朝、弁当を準備するのが面倒で、数日同じおかずになることもしばしばでした。
だからこそ、「自分で作ったご飯より、人に作ってもらったご飯のほうが美味しい」と感じます。社員食堂がある会社には、いまでも少し憧れがあります。
誰かが自分のために整えてくれた食事がある。それだけで出社が少し楽しみになる。
食堂とは、働く人にそんな小さなご褒美を与える場所なのかもしれません。
社員食堂は健康を守る場所へ
社員食堂は、単にお腹を満たす場所ではありません。
いま多くの企業が、「社員の健康を守る場」として食堂を再定義しています。
生活習慣病の予防やメンタルケアの観点からも、食は最も身近で効果的な健康施策だからです。
代表的な例が「タニタの社員食堂」です。
1食500kcal前後・塩分3g前後を基本に、主菜・副菜・汁物をバランス良く提供しています。
利用者からは「ダイエットができた」「風邪をひきにくくなった」といった声も多く、なんと医療費の削減にまで貢献しています(表1)。*3

出所)厚生労働省「日本人の長寿を支える『健康的な食事』」P11
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000030841.pdf
健康的な食を社員に「体験」として提供することが、結果的に生産性やモチベーションを高めているのです。
前述の通り、筆者が勤務していた会社は近隣に食事できる場所がありません。朝から準備をするのが面倒なこともあり、栄養バランスを無視したお弁当を持参していました。
恥を忍んで、当時のお弁当の再現を載せておきます(図2)。

出所)筆者撮影
ご覧の通り、栄養バランスや健康管理などまったく意識していません。
もしあの時に、栄養バランスの整った温かい食事が手軽に取れたなら、それだけで出勤前の気持ちの余裕も変わっていたと思います。
社員食堂は、単なる福利厚生ではなく、企業が社員の健康と未来を守るためのインフラにもなり得ます。食を通じて働く人の身体と心を支えることこそ、これからの企業に求められる新しい健康経営のかたちかもしれません。
多文化共生の新しい食堂像
近年、社員食堂に世界の味を取り入れる企業が増えています。背景にあるのは、外国籍社員の増加です。食堂が「多文化共生の場」として注目され始めています。
中京地区の給食会社メーキューではベトナム人技能実習生がメニュー開発に関わり、郷土料理・ミークアンを日本人の味覚に合わせて再現しました。文化を理解し合うきっかけとして、社員食堂が新しい多文化共生の橋になっています。*4
こうした取り組みは、社内だけでなく地域にも広がっています。
筆者の住む地域でも、技能実習生が講師となり、地元住民と一緒に料理を作る料理教室が開かれました。一緒に調理をしながら、言葉よりも早く笑顔が交わされていく光景を見て、食には制度では生み出せない温かな交流を生む力があると実感しました。
異なる文化を頭で理解するのではなく、味覚で感じることができるのは社員食堂の強みではないでしょうか。
オフィス空間が人をつなぐ
社員食堂やリフレッシュスペースは、今「食べるための場所」から「人をつなぐ空間」へと進化しています。
その設計次第で、社員同士の会話の量も質も変わります。
総合建設会社・大林組のオフィスでは、2つのカフェテリアをコンコースで接続しています。部門を越えて社員が交わり、偶然の出会いがアイデアを生むオープンハブとして機能しているのです(図3)。*5

出所)株式会社ウチダシステムズ「株式会社大林組様 食堂」
https://office.uchida-systems.co.jp/case/case75/
また、金属加工機械製造を行うしのはらプレスサービス株式会社や、業務支援サービスを行うNEC VALWAY株式会社では、食堂に代わるリフレッシュスペースを整備しています(図4)。*6, *7

出所)株式会社ウチダシステムズ「しのはらプレスサービス株式会社 様」
https://office.uchida-systems.co.jp/case/case28/

出所)株式会社ウチダシステムズ「NEC VALWAY株式会社 様」(下)
https://office.uchida-systems.co.jp/case/case21/
ランチやコーヒーブレイクをきっかけに、誰もが気軽に話しかけられる雰囲気をデザインしています。
食の場づくりは、オフィスデザインの延長ではなく、企業文化をつくる建築的な意思表示です。社員が自然に集まり、会話が生まれ、笑顔でまた仕事に戻る。そんな日常の積み重ねが、組織の力を静かに強くしていくのではないでしょうか。
社員が求める理想の社員食堂とは
社員が本当に求めているのは、どんな社員食堂なのでしょうか。
タニタの「令和ビジネスパーソンのランチ事情2025」によると、理想のランチの特徴は「おいしい」(53.4%)に続き、「安い」(44.2%)、「栄養バランス」(41.7%)です。
多くの人が安くておいしい食事を望みつつも、「本当はもう少し健康的なものを食べたい」と思っていることがわかります。
実際、7割超が「栄養より価格を優先してしまう」、8割強が「手軽さを優先してしまう」と回答しており、忙しさとコストの狭間で理想と現実のギャップが生まれています。*8
リクルートライフスタイルの調査では、社員食堂を利用できる人のうち45.8%が「ほとんど使わない」と回答しています。その理由の上位は「おいしくない」「高い」「メニューが少ない」です。
一方で、利用したい理由のトップは「安い」「外に出るのが面倒」「短時間で済む」となっており、「早く・安く・健康的で・飽きない」ことが理想の社員食堂の条件だといえます。社員が求める改善点として最も多かったのは「旬の食材や季節感のあるメニュー」(26.9%)と「栄養バランスに配慮したメニュー」(20.2%)です。*9
私自身、日々の昼食で結局いつも同じ味になってしまうと感じることがあります。だからこそ、社食にちょっとした変化や食べる楽しみがあれば、それだけで気持ちが明るくなるでしょう。
社員が求めているのは単なるコストパフォーマンスではなく、「心と体が整う昼休みの体験」なのかもしれません。
社員の胃袋をつかむことは、心をつかむこと
昼食は単なる栄養補給ではなく、働く人にとっての小さな癒しでもあります。あわただしい日々の中で、あたたかいご飯と誰かとの会話があるだけで、気持ちは不思議と整っていくものです。
社員食堂は、そんな「整える場所」としての役割を持っています。同僚と笑いながら食べるランチが、言葉にならない安心感を生み、午後の仕事へのエネルギーにつながっていきます。
一方で、近年の調査では多くのビジネスパーソンが、「栄養よりも価格や手軽さを優先してしまう」と答えています。自分のために食べる時間を後回しにしてしまう働き方の中で、社員食堂の存在は自分を取り戻す場所になりつつあるのではないでしょうか。
この記事を書いた人

田中ぱん
学生のころから地球環境や温暖化に興味があり、大学では環境科学を学ぶ。現在は、環境や農業に関する記事を中心に執筆。臭気判定士。におい・かおり環境協会会員。
参考資料
*1
出所)読売新聞「社員食堂に再び脚光、ビュッフェ・アルコール有りの「夜の社食」…背景にオフィス回帰や物価高」
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20251012-OYT1T50097/
*2
出所)株式会社ウチダシステムズ「東ソー株式会社」
https://office.uchida-systems.co.jp/case/case69/
*3
出所)厚生労働省「日本人の長寿を支える『健康的な食事』」P5, P7, P11
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000030841.pdf
*4
出所)食品産業新聞社「社員食堂で“世界の料理”の提供が拡大、背景に外国籍労働者の増加」
https://www.ssnp.co.jp/feeding/630634/
*5
出所)株式会社ウチダシステムズ「株式会社大林組様 食堂」
https://office.uchida-systems.co.jp/case/case75/
*6
株式会社ウチダシステムズ「しのはらプレスサービス株式会社 様」
https://office.uchida-systems.co.jp/case/case28/
*7
株式会社ウチダシステムズ「NEC VALWAY株式会社 様」
https://office.uchida-systems.co.jp/case/case21/
*8
出所)株式会社タニタ「令和ビジネスパーソンのランチ事情に関する調査2025」P6, P8
https://api-img.tanita.co.jp/files/user/news/pdf/2025/lunch_research.pdf?_ga=2.229613852.1846006668.1760417656-1367682254.1760417656&_fsi=Qze5v70H
*9
出所)株式会社リクルートライフスタイル「社食がある人の利用頻度は平均で週2.1日 最も期待することは『旬の食材や季節感のあるメニュー』」P1
https://www.recruit.co.jp/wp-content/uploads/_old/newsroom/recruit-lifestyle/uploads/2018/09/RecruitLifestyle_ggs_20180904.pdf
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