
日々の通勤時間。面倒臭いと感じる人、一方で有意義に時間を使う人とそれぞれです。
ただ、多くの人に共通しているのはスマホに向かっている姿でしょう。
その手元を覗いてみると、動画、ゲームは「なるほど」と思えるのですが、「ショート動画をただただスクロールしているだけ」という若い人の姿には驚きました。
ショート動画ですら1本を最後まで見ないのです。何が知識として残るんでしょう?
そして中には電車を降りてもなお歩きスマホ状態で動画を見続けている人もいます。筆者からすれば猛者がここにもいるわー、と感じます。
スマホやSNSの何がそこまで、周囲の人など気にしないくらいに人を没頭させるのか。
脳科学の視点から、徐々に解明されつつあります。
この音声コンテンツは、記事の文脈をAIが読み取り独自に対話を重ねて構成したものです。文章の読み上げではなく、流れや意図を汲み取った自然な音声体験をお届けします。※AIで作成しているため、一部誤りや不自然な表現が含まれる場合があります。
「通勤時間」をみんなどう捉えている?
総務省統計局によると、2021年の平日の通勤・通学時間は全国平均で1時間19分となっています。*1
決して短い時間とは言えないでしょう。
では、その時間についてみなさんはどのように感じているのでしょうか。
マイナビの調査によれば、年代ごとに以下のような感想が得られています。

(出所:株式会社マイナビ「通勤時間のホンネ。みんなの過ごし方とは?」)
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/datalabo/21/
上位にきているのが、「無駄な時間」「切り替える時間」。特に40代までは「無駄な時間」との考えがトップに来ています。
では、その「無駄な時間」をどう過ごしているのか。
電車・バスでの通勤者では、年代別に以下のようになっています。

(出所:株式会社マイナビ「通勤時間のホンネ。みんなの過ごし方とは?」)
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/datalabo/21/
「SNSをチェック」が、どの世代でも20%を超えています。
確かに、電車の中で周囲を見渡すと、ほぼ全員がスマホにのめり込んでいます。みなさんも一度試してみていただきたいのですが、自分は何もせずに側から車内を見ると、車内が異様な空気に包まれていることがわかります。
筆者は時々申し訳ないと思いつつ隣の若い人の画面が見えてしまった時、注目してしまいます。
すると多いのはSNSのチェックもそうですが、TikTokやInstagramでショート動画や画像をひたすら高速スクロールする行為です。
何か目的があって新聞記事などを読んでいるのとは明らかに異なるのです。
これでは30分1時間続けても、何ひとつ最後まで見ていない。つまり何も頭には残らないことでしょう。ただただ画面上に次々と現れる視覚刺激を受け取っているだけ、そのように感じられるのです。
誤解を恐れずに言えば、動物が動くものを見ると次から次へ反応するのと同じ、とでも言えるでしょうか。
「高速スクロール」はなぜやめられないのか
大した意味もなく、ただただショート動画配信アプリの画面をスクロールするという行為。暇つぶしにはなりますが、それ以上の意味をあまり持たなさそうです。しかしなぜ高速スクロールにハマってしまうのか。
脳科学的な見地からの研究が進んでいます。
人がこの高速スクロールをやめられないのには、そこになにかの満足感や快楽が存在するからだというのは想像に容易いことです。脳になんらかの報酬がなければ、人はそんなことはしません。
SNS依存についてはいくつかの研究結果があります。
「不確実性」の魅力
こんな研究があります。
アメリカの心理学者バラス・スキナー氏によるものですが、マウスに対してこのような実験を行っています。*2
スキナー氏は、4種類の餌箱を準備しました。
| 1)レバーの押し下げに関係なく、一定時間間隔でエサが出る=固定間隔スケジュール2)レバーの押し下げに関係なく、不定期間隔でエサが出る=変動間隔スケジュール3)レバーを押すと、必ずエサが出る=固定比率スケジュール4)レバーを押すと、不確実にエサが出る=変動比率スケジュール |
さて、マウスが最も好んだのは4つのうちどれでしょう?
実は意外なことに、マウスがレバーを押した回数は上記の4→3→2→1の順でした。自分の行動によって確実に報酬を得られる3ではなく、不確実性を持つ4のほうが好まれたのです。つまり「不確実なものほどハマりやすい」という生理的志向が私たちにはありそうだ、ということです。いわゆる「ガチャ」にハマる人はその典型かもしれません。
そしてSNS依存やショート動画の高速スクロールという現象をこの視点に当てはめてみましょう。確かにSNSは自分の投稿にどんなリアクションが来ているか来ていないか不確実性を持っている、高速スクロールとなるとさらに、次にどんな動画が来るのか完全に予測不可能、そういう状況に私たちはハマってしまうというわけです。
ある意味では、ゲームもそうかもしれません。
「いいね!」は性行為よりも快感?
また、SNSへの投稿に対して「いいね!」のリアクションがつくことは「性行為と同等あるいはそれ以上の快感が得られる」とする研究もあります。*3
アルコールやギャンブルと同じく脳内物質ドーパミンが分泌されることで再び同じ快楽を味わいたい、という状況にさせられてしまう、というものです。
ただ、このドーパミンについての見方も変わってきています。
長くドーパミンは快楽物質であると考えられていたものの、最近の研究では、ドーパミンの効果は人に快楽を感じさせることよりも、何かを求めたり、欲したり、探させたりすることであることがわかってきているというのです。*4
そして快楽に関与しているのはオピオイドという物質であることがわかってきています。
この二つの系=欲求系ドーパミンと快楽系オピオイドは相補的に働くようで、欲求系=ドーパミンにより特定の行動に駆り立てられ、快楽系=オピオイドが満足を感じさせて追求行動を停止するという関係にあるということです。エンジンとブレーキのような関係です。
しかし一般に欲求系は快楽系より強く働くため、多くの人は常に何らかの欲求を感じて追求行動に駆り立てられているのだそうです。
そしてドーパミンシステムは、予測できない出来事に直面したときに刺激されます。
このシステムの怖いところは、脳内にはブレーキシステムがあるにもかかわらず、結局欲求の方が勝ってしまう、わたしたちの脳はそのような働きをしてしまうということです。
高速スクロールで次から次に予測不可能なコンテンツが出現すること。これは、ドーパミンシステムが働く格好の環境であるということです。
「脳腐敗」という言葉まで登場
オックスフォード大学出版局は2024年の言葉に、「脳腐敗」を選びました。*5
TikTok、Instagram、Twitterなどのソーシャルメディアアプリを継続的にスクロールする習慣がもたらす潜在的な医学的影響を指した言葉で、オックスフォード大学出版局が今年の言葉に「脳腐敗」を選んだことを受けて、医師らが警告を発しています。
SNSメディアアプリを継続的にスクロールすること、いわゆる「ドゥームスクロール」と呼ばれる習慣に対する警告です。
出版局は、脳の腐敗は「取るに足らない、あるいは挑戦的ではない」とみなされる素材を過剰に消費した後に起こる「人の精神状態または知的状態の劣化」と定義しています。
他の学術論文では、些細なコンテンツを受動的に消費し続けると、神経可塑性萎縮と呼ばれる状態につながる可能性があることが示されています。つまり、脳は怠惰になるということが指摘されています。
電車のなかでスマホを取り出したくなる気持ちは多くの人が理解することでしょう。
ですので、せめてなにかひとつでもいいから知識を得ると決める、あるいはスマホを手放して窓の外から何かを発見する。自分で何かを発見しようと試みることが重要です。

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この記事を書いた人
【参考資料】
*1
総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」
https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/pdf/gaiyoua.pdf p15
*2
PRESIDENT Online「電車に乗る人が「みんなスマホを見ている」のはなぜか…現代人がSNS依存症になっている本当の理由」
https://president.jp/articles/-/75519
*3
幻冬舎plus「SNSの「いいね!」は性行為より快感だった」
https://www.gentosha.jp/article/11181/
*4
PRESIDENT Online「電車に乗る人が「みんなスマホを見ている」のはなぜか…現代人がSNS依存症になっている本当の理由」
https://president.jp/articles/-/75519?page=3
*5
news.com.au「Warning issued over ‘brain rot’, the 2024 habit that’s ‘on the rise’」
https://www.news.com.au/lifestyle/health/health-problems/warning-issued-over-brain-rot-the-2024-habit-thats-on-the-rise/news-story/e1205ce0ddd91c63749c8d2bba47a078
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