ワークライフバランスの取り組み例〜企業ができること〜

多くの企業で「ワークライフバランス」への取り組みがされています。従業員が健やかに生活できることは、仕事の質の向上につながり、企業にとっても有益です。そこでこの記事では、ワークライフバランスの取り組み例をご紹介します。

ワークライフバランスとは?

ワークライフバランスの取り組み例をご紹介する前に、勘違いされがちな「ワークライフバランス」の概念についてご説明します。

内閣府が発表している「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」には、ワークライフバランスとは以下の3つの要素を兼ねそろえていることとされています。

  • 就労による経済的自立ができること
  • 健康で豊かな生活のための時間が確保できること
  • 多様な働き方・生き方が選択できること

大切なのは、ワークライフバランスを”ワーク”と”ライフ”に分けて考えるのではなく、調和させるということです。ワークライフバランスと聞くと、「プライベートの時間を大切にしよう」「残業を減らして早く帰ろう」と解釈されがちなものです。

しかし、そもそもワークはライフを構成する1要素のはず。働きやすい環境で仕事をして、仕事を充実させることで、生活の質も上げると考えて取り組むべきです。

生活を充実させるための仕事環境は、人によってさまざまです。家庭環境・健康状態・本人の性格や素質などによって適切なバランスがあり、多様な働き方ができる環境が求められています。企業にとっては、従業員が生活や家族を大切にしながら働ける環境を維持することが、優秀な人材に働き続けてもらうために必要になってきます。

企業にとってはメリットが少ないのではないかと思われる方もいるでしょう。しかし、労働者人口が減少している今、ワークライフバランスは企業・従業員双方にメリットがある考え方になってきています。

ワークライフバランスの実現による企業のメリット

  1. 働きやすい環境による離職率の低下と、それによる育成・採用のコストダウンができる
  2. 多様な働き方を提供することで、限られた労働者人口から優秀な人材を確保できる
  3. 従業員の心身の健康やモチベーションアップにより生産性が向上する
  4. 環境整備により急な欠員でも支障が出にくい社内体制が得られる

ワークライフバランスの実現による従業員のメリット

  1. 健康に無理のない労働ができ、長期間働ける
  2. 結婚・出産・育児などのライフイベントを実現しつつ働くことができる
  3. 勉強や趣味、人との交流の時間が得られ、人生が充実する

企業のワークライフバランスの取り組み方

ワークライフバランスを実現するためには、従業員と企業とがどちらも意欲的に取り組まなければなりません。どんな取り組みをするべきかは、企業によって異なります。企業風土や従業員の特性を考えたうえで、従業員がどんな仕事環境を求めているかを把握して実施する必要があります。

近年では、経営層と従業員の1on1面談を行い、会社に求めていることや、普段言いにくいことなどをヒアリングする企業も増えています。仕事環境の改善のためには、従業員のストレスチェックなども参考になります。

従業員が健やかに過ごすことができ、意欲的に働ける取り組みを考えたいところです。

ワークライフバランスの取り組み例

目指したいワークライフバランスを実現するための具体的な方法について、迷っている方も少なくありません。そこで、具体的な取り組み例を紹介していきます。

・テレワーク

テレワークを導入することで、ケガや持病のある従業員、子持ち家庭の従業員、通勤時間が長い従業員などが働きやすくなります。また、リラックスできる自宅のほうが生産性の向上を感じるという人もいます。

・フレックス制度

テレワーク同様、さまざまな事情を持つ従業員が働きやすくなります。従業員個人での時間管理が難しい場合には、必ず出社するコアタイムを設けるとよいでしょう。

・時短労働制度

週4日労働や、16時退勤などの時短制度を導入することで、こちらもさまざまな事情を持つ従業員が働きやすくなります。出産した従業員の復職率も上がりやすくなります。

・休暇取得率を上げる工夫

有給休暇取得の表彰などが代表的な取り組みになります。ただし、表彰をするだけでは一時的な効果しか生まれないかもしれません。大切なのは、休暇を取りやすい仕組みを作っていくことです。属人化を防ぐチーム制の導入や、マニュアルの整備を進めることが重要になってきます。それらの取り組みは、業務効率の改善にもつながっていくため、長期的なスパンで考えてじっくり取り組んでいくのがよいでしょう。

・特殊な休暇制度

一般的な休暇以外に、誕生日休暇や長期旅行休暇、ペット忌引などの制度を設けている企業も多く見られます。近年では「推し休暇」などの一風変わった休暇を設ける企業も増えています。従業員に寄り添った内容の休暇制度は、採用シーンでのアピールポイントにもなり得ます。

・特殊な手当

健康に貢献できたり、生活が充実するような手当をつける場合もあります。禁煙手当、結婚記念日手当、出産祝い金など、従業員のためになる手当を考えられるとよいでしょう。

・福利厚生の充実

大企業でよくあるのは、社食を一律100円で提供したり、ジムを設置したりするなどの取り組みです。食事や運動により健康に過ごしてもらうようなものがよいでしょう。

・健康のための制度

よく取り組まれているのはシエスタ(仮眠)制度です。昼寝をすると業務効率がアップするというデータもあります。ラジオ体操などを行っている企業もあります。

・残業を防ぐ仕組み

残業を防ぐ方法としては、遅い時間に会議を入れないようにしたり、門の通過と残業時間の照らし合わせをしたり、PCを強制シャットダウンするなどの仕組みを取り入れる方法があります。

残業は本当に良くないこと?

従業員のライフの目的に応じて、ときにはワークの比重が高くてもよいはずです。一律に残業をさせなければいいというものではありません。
本来は、従業員個人個人が仕事量をマネジメントできているのが理想ですが、本人の性質や周囲の圧力により、難しい場合があります。そういった場合には、無駄な残業を防ぎ、限られた時間内で効率的に仕事ができるように、企業側から仕組みづくりに取り組むのもよいでしょう。

・定量目標の設定・掲示

有給休暇取得率や、育休取得率などの目標を掲示します。結果も見える状態にすることで、現状を知り、改善を実感してもらい、取り組みへの達成感を持たせます。また、ワークライフバランスについて従業員個人が考えるきっかけをつくることで、積極的に取り組みに参加してもらいやすくなります。

・家族の職場訪問

ファミリーデーとして従業員の家族を招いたり、従業員の子どもに職場体験をしてもらう取り組みです。どんな仕事をしているかを家族にも見てもらい、家庭での理解を得やすくする目的があります。家族に快く送り出してもらえると、仕事もしやすくなるはずです。また、家族ぐるみのお付き合いは社員同士の相互理解につながっていき、個人の尊重にもつながります。

ウチダシステムズのファミリーデイの様子

ワークライフバランスの取り組みのポイント

ワークライフバランスの取り組みがうまく浸透しない、目に見える結果が出ないという声も耳にします。そこで、効果的な取り組みができるような、進め方のポイントもご紹介します。

外部コンサルティング会社を利用する

自社だけで取り組んでもよいですが、外部コンサルティング会社を利用すると取り組みを進めやすくなります。外部コンサルティング会社の利用は、急ぐ場合は特に有効です。自社だけでは足りない知識を補ってくれるだけでなく、自社のワークライフバランスを外部からの目線で評価し、改善案を提案してくれます。

ライフワークバランス推進チームの制定

どんな業務でもそうですが、誰かがまとめ役となり引っ張っていくことで物事が進みます。推進チームがない状態では、誰かが進めてくれるだろうと誰も動かないことがあります。

まずは経営層から取り組む

上司が休んでいないと、部下も休暇申請を遠慮しがちになります。まずはトップである経営層から積極的に取り組み、アピールすることで社風が変わっていきます。とくに男性育休などは、上層部から「育休を取っていいんだよ」という姿勢を見せていかなければ取得率は増えません。そのほかにも無駄な残業をしない姿を見せたり、無理のない労働環境で働く姿を見せたりする必要があります。

取り組みに多様性を持たせる

従業員の事情やライフスタイルはひとりひとり異なります。そこで、より多くの従業員が働きやすくなる取り組みを考える必要があります。テレワーク制度があっても、オフィスに来たい人もいれば家で働きたい人もいるでしょう。そういった場合に、どちらも選択できる仕組みにしておくことが、ワークライフバランスの実現に近づきます。

不平等を減らす

テレワークや時短労働などを一部の従業員だけに許可すると、従業員が不平等だという感情を抱きやすくなります。出勤する従業員のほうが重要な仕事を任されがちで、責任や残業・タスク量なども増えがちな実態があります。

できるだけ全員に同じ制度を適応したいところですが、大きな企業であればあるほど現実的ではありません。テレワークの従業員がいるなら「出勤するメリット」や「テレワークでも影響のないワークフロー」を用意したり、時短労働制度の従業員がいるなら、「時短労働以外の従業員に仕事が集中しない仕組み」を用意したりするなどの工夫をします。

ワークライフバランスの取り組みはオフィスから

ワークライフバランスの取り組みを推進する場合には、働き方の仕組みを変えるとともに、オフィスのあり方も大なり小なり変えていく必要があります。そこで、ウチダシステムズでは、オフィスづくりを通して、働き方の改善のお手伝いをしています。よりよいワークライフバランスに近づけるようなオフィスや、そのオフィスを使った取り組みのご提案ができます。

ワークライフバランスを実現するオフィスについて悩んでいる方や、取り組みのために必要な什器に悩んでいる方は、ウチダシステムズにも一度ご相談ください。お客様の会社にとってワークライフバランスを向上させるオフィスや取り組みがどんなものになるのか、一緒に考えさせていただきます。

▼社内のワークライフバランスに不安がある場合は、ウチダシステムズのオフィス診断サービスもぜひご検討ください。


組織力の強化や組織文化が根付くオフィス作りをお考えなら、ウチダシステムズにご相談ください。

企画コンサルティングから設計、構築、運用までトータルな製品・サービス・システムをご提供しています。お客様の課題に寄り添った提案が得意です。

この記事を書いた人

アバター

そしきLab編集部

ウチダシステムズのスタッフを中心に、組織作りや場づくりについて議論を交わしています。業務の中で実際に役に立ったことなどを紹介していきます。