雑談がチームを強くする!偶発的な会話をデザインするオフィスとは

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コロナ禍をきっかけに、テレワークが一層広がりました。

テレワークの定着によって業務の効率は上がった一方で、職場から雑談が消えつつあります。
雑談は、生産性には直接関係しないように思えるかもしれませんが、実はチームの心理的安全性や創造性を支える重要な要素です。

この記事では、人の心と体に働きかける偶発的な会話を生むオフィス設計の工夫を紹介し、ハイブリッドワーク時代に求められるつながりのデザインを考察します。

雑談がもたらす「心理的安全性」と健康効果

オフィスでは、さまざまなコミュニケーションが行われています。
以下に、その分類を示します。
横軸はコミュニケーションのスタイル、縦軸はコミュニケーションの規模を表しています。*1

(引用) *1 オンラインコミュニケーションの普及によるオフィス環境の変化.日本画像学会誌.2023;62(5):479-486. p482
https://www.jstage.jst.go.jp/article/isj/62/5/62_479/_pdf/-char/en

オフィスのなかでの雑談は、インフォーマルで小規模なコミュニケーションに当てはまるでしょう。*1

そして、業務内容には直結しないものの、従業員同士の信頼関係の構築や状況の共有など、組織のマネジメントにおける重要性が指摘されています。
つまり、日常的にコミュニケーションをとることで、お互いの状況を理解することが可能となり、仕事が進めやすくなります。*2

また、雑談は、ちょっとした相談をしたり、アドバイスを受ける良い機会ともなります。
雑談をすることで、それぞれの従業員が抱える問題を明らかにしたり、孤独感の解消につながります。

また、発言しやすい環境づくりにも貢献します。
結果として、雑談をすることは心理的な安全性の確保やモチベーションの向上につながり、ひいては企業としての生産性向上にも寄与するといえるでしょう。*3

(引用)*3 ICT利活用の促進|テレワークの推進-総務省
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/
→PDF:テレワーク時におけるコミュニケーション・ マネジメント面の課題解決等に関する先進事例集(令和4年度 テレワークの先進事例等に係る調査研究)-総務省  p23
https://www.soumu.go.jp/main_content/000951833.pdf

なお、チームで仕事を進めるうえでの心理的安全性とは、「このチームでは、率直に自分の意見を伝えても、他のメンバーがそれを拒絶したり、攻撃したり、恥ずかしいことだと感じたりして、対人関係を悪くするような心配はしなくてよい」という信念が共有されている状態を意味します。*4

心理的に安心して発言できる環境が整うことで、メンバー間の創造的なアイデア交換を行うことができるようになるでしょう。

医学的な観点から、会話や雑談の効果も調べられています。
その結果、信頼関係のある人同士の短時間の対話でオキシトシンというホルモンが分泌されることがわかっています。*5

オキシトシンは、視床下部で合成され、下垂体後葉より分泌される神経ホルモンです。
ストレスによる視床下部-下垂体-副腎系の活性化を抑制する作用から、ストレスを軽減し幸せな気分をもたらす「幸せホルモン」と呼ばれています。*6
オキシトシンは、ストレス対処分子、抗炎症分子、そして抗酸化物質として機能し、特に逆境やトラウマに直面した際に身体や心を保護する効果を発揮します。*7

その一方で、現在ではICT(Information and Communication Technology)の活用などによって、業務に関する情報共有や進捗管理を行う際に、自然と雑談が減ってしまうようになってきています。*3

そのため、オフィスのレイアウトやデザインを工夫することで、より一層偶発的な会話を生み出すことの重要性が高まっているといえるでしょう。

偶発的な会話を生み出すオフィスの条件

では、こうした偶発的な会話や雑談を生み出すために、オフィスの空間をどのように設計するとよいのでしょうか。

オフィスでは、人と人との距離が遠いほど、コミュニケーションは取りづらくなる傾向があります。
例えば、違う部署の人同士の場合には別のユニットで働いているなど、物理的な距離がどうしても生まれてしまうことも多いでしょう。
そういった影響を和らげるため、接触の場について注目が向けられてきました。

例えば、廊下やカフェテリア、ロッカールーム、自動販売機などの近辺は、人と人とが行き交う場であり、偶発的なコミュニケーションの場として機能するのではないかと考えられています。
実際に、アメリカの大学では、ビルの統合の際に全学科のメールボックスを一ヶ所に統合し、付近に椅子を設置したり飲み物を提供したりすることで、たまり場としての機能をはたすようになったという報告があります。
教授や生徒が同じ場所に集うことで、人々の間の接触が増加したのです。*8

このように、人と人とが集まるような場所を用意することで、コミュニケーションの機会が増えることが想定されます。

偶発的な交流を促すスペースを作る工夫としては、広い動線を確保する、マグネットスペースを整備するなどが挙げられます。*9
なお、マグネットスペースとは、カフェコーナーのように従業員が集まってくる場所を指します。*10
オフィスの配置としては、中央のコミュニケーションエリアに、ミーティングエリアのほか、パーソナルロッカーやパントリー、文房具置き場などのユーティリティ機能を配置するようにするなどの工夫があります。*11

自然な会話を促すオフィスづくりのヒント

偶発的な会話を増やすための工夫は、大規模なオフィス改修をしなくても実現可能です。
重要な点は、人が自然に出会い、立ち止まり、会話を交わすきっかけを空間の中に埋め込むことだと考えられます。

偶発的な会話を促すオフィス設計の工夫

それでは、実際に具体的な事例をみていきましょう。
ウチダシステムズでは、以下のようなオフィス設計の工夫によって偶発的な会話を生むようにしています。

ビッグテーブル
角席を多く設け、視線が交わりやすく、会話が始まりやすい構造となっています。

ステーショナリーカウンター
文房具を共有することで、使うついでに従業員同士の対話が生まれるようになります。

また、ある大手IT企業のオフィスでは、自由席制や多様なミーティング空間を導入し、偶発的な対話を促進しています。
さらに、オンラインと対面を統合した仕組みで、柔軟かつ創造的な働き方を支えています。*12

オフィス設計の工夫によって日常業務にコミュニケーションを組み込もう

従業員同士が会いやすいようにする仕掛けは、大掛かりな空間整備に限らず、普段の行動設計としても応用できます。
日常業務の中に軽い交流を組み込むことで、自然と会話が循環するオフィスを実現することができます。

例えば、部署を越えて利用できる共用テーブルの設置や、廊下・出入口付近の立ち話スペースを作るといった構造的な工夫が挙げられます。
また、さらには週1回の雑談タイムを作るなどの身近な取り組みも、コミュニケーションをとる機会を作る良い方法といえるでしょう。

また、プライベートの話題に関する雑談のほかにも、仕事に関する雑談を誘発する仕掛けが試みられている例もあります。
例えば、休憩室内にタッチパネルディスプレイなどを設置し、休憩をとっている従業員の仕事に関連する情報を、まるでニュースのヘッドラインのように提示します。
表示させる情報は一定の時間経過すると新しいものに変わります。
興味を引くような情報がでた時には、その情報をタッチすることでより詳しい情報が別ウインドウに表示されるといったものです。

以上のようなディスプレイシステムを休憩室に設けることで、その場にいるメンバーが自然と仕事に関連した雑談を行うようになる効果が期待されています。*13

偶発的な会話を生み出す空間づくりは、チームの関係性を健やかに保ち、ハイブリッドワーク時代の「人が集まる理由」を再び生み出す鍵となるでしょう。

まとめ

今回の記事では、雑談の医学的、経済的なメリットや、オフィスでのコミュニケーションを促すヒントについて解説しました。
雑談は、業務のすき間に生まれる小さな交流ですが、それがチームを強くする大きな力になるでしょう。
また、偶発的な会話を促すオフィス設計は、心理的安全性や創造性を高め、組織の「健康」を支えます。

ハイブリッド時代にこそ、「人が自然に出会う空間」は、出社する意味を再び取り戻すヒントにもなり得るでしょう。
人と人が言葉を交わすことの価値を再発見することこそ、これからのオフィスづくりの原点なのかもしれません。

この記事を書いた人

木村 香菜

行政機関である保健センターで、感染症対策等主査として勤務した経験があり新型コロナウイルス感染症にも対応した。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医、日本人間ドック・予防医療学会認定医。

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資料一覧

*1 オンラインコミュニケーションの普及によるオフィス環境の変化.日本画像学会誌.2023;62(5):479-486. p482
https://www.jstage.jst.go.jp/article/isj/62/5/62_479/_pdf/-char/en

*2 オンラインコミュニケーションの普及によるオフィス環境の変化.日本画像学会誌.2023;62(5):479-486. p483
https://www.jstage.jst.go.jp/article/isj/62/5/62_479/_pdf/-char/en

*3 ICT利活用の促進|テレワークの推進-総務省
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/
→PDF:テレワーク時におけるコミュニケーション・ マネジメント面の課題解決等に関する先進事例集(令和4年度 テレワークの先進事例等に係る調査研究)-総務省  p23
https://www.soumu.go.jp/main_content/000951833.pdf

*4 組織の「心理的安全性」構築への道筋.医療の質・安全学会誌.2020;15(4):366-371. p366
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsqsh/15/4/15_366/_pdf

*5 Seltzer LJ, Prososki AR, Ziegler TE, Pollak SD. Instant messages vs. speech: hormones and why we still need to hear each other. Evol Hum Behav. 2012 Jan;33(1):42-45. doi: 10.1016/j.evolhumbehav.2011.05.004. PMID: 22337755; PMCID: PMC3277914.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3277914/

*6 便秘に伴う諸症状と漢方薬.女性心身医学.2023;7(3):283-284 p283
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/27/3/27_283/_pdf

*7 Carter CS, Kenkel WM, MacLean EL, Wilson SR, Perkeybile AM, Yee JR, Ferris CF, Nazarloo HP, Porges SW, Davis JM, Connelly JJ, Kingsbury MA. Is Oxytocin “Nature’s Medicine”? Pharmacol Rev. 2020 Oct;72(4):829-861. doi: 10.1124/pr.120.019398. PMID: 32912963; PMCID: PMC7495339.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7495339/

*8 空間的構造のマネジメント.組織学会会誌.2017;6(2):38-46. p39
https://www.jstage.jst.go.jp/article/taaos/6/2/6_38/_article/-char/en

*9 内閣人事局におけるオフィス改革の取組
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/officereform.html
→PDF:オフィス改革ガイドブック | 内閣官房 p18
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/02_250331.pdf

*10 オフィス内カフェコーナーの利用実態からみたマグネットスペースにおける遭遇・会話発生量の考察.日本建築学会計画系論文集.2016;81(720):281-291. p 282
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aija/81/720/81_281/_pdf/-char/ja

*11 内閣人事局におけるオフィス改革の取組
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/officereform.html
→PDF:令和3年度 内閣人事局の執務環境整備に関する調査業務 調査報告書 p35
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/01_220331.pdf

*12 ワークプレイスの多様性・柔軟性・統合性:日本マイクロソフト社の品川オフィスの事例.組織科学.2013:47(1):4-14 p7−8
https://www.jstage.jst.go.jp/article/soshikikagaku/47/1/47_4/_pdf/-char/ja

*13 業務における知識継承・情報共有を促す「休憩所での雑談」を 生み出す仕掛け.第31回人工知能学会全国大会論文集.2017 p1
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2017/0/JSAI2017_4B2OS23b2/_pdf/-char/ja


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そしきLab編集部

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