「オフィス改革」は「働き方改革」の切り札!その理由と成功を導く方法を徹底解説

働き方改革の一環としてオフィス環境の整備に注目が集まっています。
オフィス改革は、人事制度の見直しや業務DX、組織の見直しなどと並ぶ、働き方改革の重要なテーマです。

さまざまな資料を参照しながら、働き方改革を実現するためにオフィス改革がなぜ必要なのか、その理由と効果、実施方法をみていきましょう。

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オフィスをめぐる動向と目指すべき方向性

働き方とオフィスとは強い関連性があります。
ザイマックス不動産総合研究所(以下、「ザイマックス総研」)は、この10年間の働き方とオフィスとの関係を以下のように示しています。*1

図1 働き方と働く場の変化
出所)ザイマックス不動産総合研究所「これからのワークプレイス戦略を考える」(2025年3月25日)p.1
https://soken.xymax.co.jp/wp-content/uploads/2025/03/2503-rethinking_workplace_strategy.pdf

特に2016年に働き方改革が提唱されて以降、働き方とオフィスとの関係性は目まぐるしく変化しています。
「働き方改革」は、働く人々が個々の事情に応じて、多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革です。*2
働き方改革によって「魅力ある職場づくり」が実現すると、それが「人材の確保」「業績の向上」「利益増」という好循環につながると、厚生労働省は説明しています。

これ以降コロナ禍が始まる2020年ごろまでの期間は、毎日出社する働き方を基本としながらも、一部の企業では在宅勤務制度やフレックスタイム制度の導入、外出の多い部署を対象としたフリーアドレス化などの動きがみられました。*1
また、シェア型サテライトオフィスの活用も広まり、時間や場所に縛られない働き方が徐々に浸透しました。

コロナ禍の期間は非接触が求められ、多くの企業が出社制限を実施しました。
ザイマックス総研の調査によると、平均出社率は2021年春に62.0%まで低下しました。
この時期に多くの社員が在宅勤務を経験したことで、テレワークが急速に浸透しました。
その結果、全員が毎日出社することを前提にしていたオフィスの稼働率は低下し、「オフィス不要論」が提唱されます。
リモート会議が定着した一方で、対面でのコミュニケーションの重要性も再認識されました。

新型コロナウイルス感染症が5類に移行してコロナ禍が収束へ向かい始めると、オフィス出社回帰の動きがみられるようになりました。

ただし、完全出社に戻る企業は少なく、多くの企業が出社とテレワークを組み合わせたハイブリッドワークを継続しています。

そして、企業には「あえて行く価値のあるオフィスづくり」が求められるようになりました。

多様化するオフィスの役割とアクティビティ

上述のように、働き方改革は「魅力ある職場づくり」を実現させ、「人材の確保」「業績の向上」「利益増」という好循環につなげることを目指します。

柔軟な働き方が推進される現在は、オフィスの役割とアクティビティが多様化しています。
その状況をみていきましょう。

オフィスに期待される役割

現在、オフィスに期待されている役割とはどのようなものでしょうか。*1

図2 オフィスに期待される役割の変化
出所)ザイマックス不動産総合研究所「これからのワークプレイス戦略を考える」(2025年3月25日)p.4
https://soken.xymax.co.jp/wp-content/uploads/2025/03/2503-rethinking_workplace_strategy.pdf

オフィスはもはや単なる作業空間ではありません。
「働きやすい執務スペース」に加えて、「コミュニケーション活性化」や「企業文化の共有」に注目が集まっています。
また、慢性的な人材不足が「人材採用強化」につながり、従業員の「エンゲージメント向上」「ワークライフバランス向上」「ウェルビーイング促進」といった役割がより重視されるようになりました。
さらに、AIの活用を含めた「生産性向上」「イノベーション創出」など、オフィスの役割は非常に多様化しています。

オフィスのアクティビティ

オフィスの役割が多様化することで、オフィスでのアクティビティ(業務内容、行動)の考え方も変化しています。

図3 オフィスのアクティビティの多様化
出所)ザイマックス不動産総合研究所「これからのワークプレイス戦略を考える」(2025年3月25日)p.5
https://soken.xymax.co.jp/wp-content/uploads/2025/03/2503-rethinking_workplace_strategy.pdf

オフィスでの従来のアクティビティは、執務席での個人業務や、会議室・来客スペースでの社内会議・商談といった、シンプルな内容でした。
しかし、オフィスの役割が多様化したことで、アクティビティの捉え方もさまざまな観点によって細分化されています。

こうしたアクティビティの多様化によって、それぞれのアクティビティに適したオフィス環境が求められるようになっています。

オフィス改革の効果

「働き方改革」に即したオフィス環境を整えることには、どのような効果があるのでしょうか。研究結果をみていきましょう。

オフィスに対する高評価がもたらす効果

法政大学と東急不動産は共同研究を行い、オフィス環境と従業員の作業効率やプレゼンティーズムの関係を分析しました。*3

プレゼンティーズムとは、就業はしているものの、病気や体調不良によって仕事に集中できず、生産性が低下している状態のことです。
この研究では、オフィス環境に対する評価の程度によって従業員を低位、中位、高位の3グループに分け、作業効率とプレゼンティーズムを、それぞれのグループで比較しました。

その結果、オフィス環境に対する評価が高いグループほど作業効率が高く、プレゼンティーズムの程度が低いことが明らかになりました(図4、図5)。

図4 オフィス環境に対する総合的な評価と作業効率の関係
図5 オフィス環境に対する総合的な評価とプレゼンティーズムの関係
出所)法政大学「法政大学と東急不動産が共同研究 ウェルネスオフィスがワーカーの作業効率及び健康状態に与える効果に関する経済便益を推計」
https://www.hosei.ac.jp/ichigaya/info/article-20230907135651/

調査の結果、1人あたりの経済損失額は、評価の低いグループが189.2万円、評価の高いグループが85.3万円で、オフィスに対する評価の低いグループは評価の高いグループに比べて、年間1人当たり約100万円多くの経済損失が生じると推計されました。

こうした研究結果から、従業員に評価されるようなオフィスづくりが従業員の働き方に影響し、経済効果につながることがわかります。

ABWのもたらす効果

次に、パフォーマンス向上やコミュニティ形成は、ABW環境とどのような関係があるか調査した研究についてみていきましょう。

ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)とは、従業員自身が仕事の内容や気分によって、働く場所を自由に選べるワークスタイルです。

三井デザインテックと東京大学の共同研究は、ABW環境を「個人の仕事」「チームの仕事」「コミュニティ形成」のしやすさという観点で評価し、それぞれが仕事にもたらす効果について分析しました。*4

その結果わかったのが、以下のようなことでした。

  • 個人の仕事のしやすさ(リラックスした雰囲気、集中できる環境) が個人の生産性を高めウェルビーイングや仕事のやりがいにつながる
  • チームでの仕事のしやすさ(効率的に協業できる環境) が、相互交流や一体感、協調性など組織のつながりを高め、ウェルビーイング、仕事のやりがいにつながる
  • コミュニティ形成のしやすさ (交流しやすい雰囲気、コミュニティの一員と感じやすい環境、気軽に相談できる雰囲気) が組織の一体感を産み、さらにはクリエイティビティにもつながる

このように、従業員が働く場所を自由に選べる、多様なオフィス環境がさまざまな効果につながることがわかります。

オフィスの活用方法と効果

三井デザインテックと東京大学の共同研究は、オフィスの活用方法と効果との関係についても分析しました。
ここで使用したのは、「オフィスでの滞在時間」と「オフィスで使用するエリアの数」の2軸です。
その結果、以下のことが明らかになりました。

  • オフィスの滞在時間が長く、多くのエリアを使用しているワーカーが最もクリエイティビティとワーク・エンゲイジメントが高くなる
  • 「オフィスの滞在時間が長いが、使用するエリアが限定されているワーカー(基本的に自分の固定席にいる人)」 はクリエイティビティが最も低い傾向がある
  • 総合職は多くの人と接すること、管理職は様々な場所で異なる組織の人と接することがクリエイティビティの向上につながる

このように、自由に働く場所を選べるABW環境を活用することで、個人とチームのパフォーマンス向上やエンゲージメントに効果が得られます。

オフィス改革の進め方

オフィス改革は、業務の特性などに応じて効率的に業務遂行できるオフィス環境を整備し、働きやすさや生産性を向上させる取り組みの1つで、政府も推進しています。*5

内閣官房が2025年に公表した「オフィス改革ガイドブック」から、そのポイントをみていきましょう。

オフィス改革は、一律的・画一的に進めるものではありません。
まず、目指すべき働き方を明確に定義し、それを促進し実現させるための環境構築を推進します。

また、場だけを変えるのではなく、仕事の進め方というソフト面、意識も変えなければ、本来目指す働き方改革につなげることは難しいでしょう(図6)。

図6 オフィス改革の3本の柱
出所)内閣官房「オフィス改革ガイドブック」(2025年3月)p.8
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/02_250331.pdf

おわりに

オフィス改革は働き方改革の切り札です。

現在は働き方とオフィス環境の関係性や効果についてさまざまな調査や研究の成果が蓄積されつつあります。
それらの知見を活かしたオフィス改革は柔軟な働き方を実現します。
そしてそれが、「人材の確保」「業績の向上」「利益増」という好循環へとつながっていくのです。

この記事を書いた人

横内 美保子

博士(文学)。総合政策学部などで准教授、教授を歴任。専門は日本語学、日本語教育。高等教育の他、文部科学省、外務省、厚生労働省などのプログラムに関わり、日本語教師育成、教材開発、リカレント教育、外国人就労支援、ボランティアのサポートなどに携わる。パラレルワーカーとして、ウェブライター、編集者、ディレクターとしても働いている。
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資料一覧

*1 出所)ザイマックス不動産総合研究所「これからのワークプレイス戦略を考える」(2025年3月25日)pp.1-5
https://soken.xymax.co.jp/wp-content/uploads/2025/03/2503-rethinking_workplace_strategy.pdf

*2 出所)厚生労働省「働き方改革とは?」
https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/point.html

*3 出所)法政大学「法政大学と東急不動産が共同研究 ウェルネスオフィスがワーカーの作業効率及び健康状態に与える効果に関する経済便益を推計」(2023年9月11日)
https://www.hosei.ac.jp/ichigaya/info/article-20230907135651/

*4 出所)三井デザインテック「三井デザインテック、東京大学との共同研究 「アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)の環境と働き方がもたらす効果に関する研究」を発表」(2021 年1月14日 )pp.3-4
https://www.mitsui-designtec.co.jp/topics/210114_newsrelease.pdf

*5 出所)内閣官房「オフィス改革ガイドブック」(2025年3月)p.2, 8
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/02_250331.pdf


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