
デスクワーク中心の働き方では、夕方になるにつれて「足が重い」「靴がきつい」といったむくみを感じることがあります。
足のむくみは個人の体質だけでなく、長時間座り続ける働き方やオフィスの設計とも関係します。
そのため、近年ではオフィス環境や座り方が身体へ与える影響にも注目が集まっています。
そこでこの記事では、足のむくみが起こる仕組みから、オフィス環境での工夫、仕事効率との関係、日常で取り入れやすい対策までを医師の視点で解説します。
この音声コンテンツは、記事の文脈をAIが読み取り独自に対話を重ねて構成したものです。文章の読み上げではなく、流れや意図を汲み取った自然な音声体験をお届けします。※AIで作成しているため、一部誤りや不自然な表現が含まれる場合があります。
デスクワークで足がむくむのはなぜ?
それではまず、デスクワークで足がむくみやすくなる原因を医学的な観点から整理します。
長時間座り続けることで血流が滞りやすくなる
座りっぱなしの状態が続くと、足の血流が滞りやすくなります。
また、座った姿勢が続くことで、血流に応じて広がる血管の働きも低下することが指摘されています。
血液の流れが低下することで、足に十分な酸素や栄養が届きにくくなることがあります。
夕方になると足が重く感じたり、だるさを覚えたりする背景には、こうした変化が関係していると考えられています。*1
ふくらはぎの「筋ポンプ作用」が働きにくくなる
ふくらはぎでは、歩くなどの運動をすることで足の静脈の血液を心臓に送り返す筋ポンプ作用が働いています。
しかし、動かずに座っているとこの作用が働きにくくなるため、足のむくみにつながりやすくなります。*2
椅子や姿勢による圧迫も影響する
長時間座った姿勢を続けると、膝裏の圧迫などによって足の血流が滞りやすくなります。
その結果、むくみを感じやすくなることがあります。*3
女性や冷えやすい人はむくみを感じやすいことも
特に女性では、デスクワークや立ち仕事などで長時間同じ姿勢を続けることで、冷えやむくみを感じやすくなることがあります。
筋肉量の違いや末端の血流低下などが関係していると考えられています。*4
オフィス環境もむくみに関係している
足のむくみは、個人の体質だけでなく、働く環境の影響を受けることもあります。
ここでは、オフィス環境から見直せる、むくみ防止・改善のポイントを挙げます。
座りっぱなしを防ぐ「環境設計」が重要
特にデスクワークが多い場合、長い時間座りっぱなしになってしまう方も少なくないかもしれません。
例えば、コピー機や給湯室がすべて同じフロアの近い場所に集約されている場合、長時間ほとんど立ち上がらずに業務が完結してしまうことがあります。
そのようなケースでは、自然に「歩く」行動が生まれるようなオフィス動線にすることもよいでしょう。
例えば、一息つくための共有スペースをデスクから少し離れた場所に設置する方法などがあります。
昇降デスクは姿勢変化のきっかけになる
姿勢を変えることは、むくみの予防や改善につながると考えられます。
例えば、立った状態と座った状態を適度に切り替えることで、同じ姿勢を続けるよりも足のむくみを抑えられたという報告もあります。*5
昇降デスクは、立った状態でも仕事をしやすくする設備の一つです。
座る時間と立つ時間を無理なく切り替えやすくなり、長時間同じ姿勢が続くことを防ぐきっかけにもなります。
「マイクロブレイク」が身体負担を軽減する
近年、作業の効率を向上させ、健康を維持するためにマイクロブレイクという概念が注目されています。
マイクロブレイクは、こまめに休憩をとることで筋肉の疲労を軽減し、怪我や体調不良を予防するというものです。
例えば、20分は座ったままで作業をし、8分ほど立ち、その後2分ほどは軽いストレッチをするというサイクルも提唱されています。
ストレッチはデスクでも行えるような簡単なもので構いません。
20〜30分ごとにタイマーやアラームを設定し、座りっぱなしにならないように工夫することもよいでしょう。*6
椅子や座面設計も快適性に影響する
デスクワークをする際の椅子も、快適性や足のむくみに関係します。
例えば、足が床につかない高さの椅子では、脚が垂れ下がった状態になりやすく、太ももの裏側が圧迫されることで血流が滞りやすくなると考えられています。
また、背もたれが体の動きを制限すると、脚のむくみが強くなる場合もあります。*7
一方で、足が地面につく座面の高さに調整し、フットレストを使用することで足のむくみが軽減する効果も期待できます。
約30°の角度のフットレストで足のむくみが和らいだという報告もあります。*8
まずは、足が無理なく床につく姿勢を意識することが大切です。
足のむくみは生産性低下にもつながる
足のむくみは不快なだけでなく、生産性を下げてしまう要因にもなります。
足の重だるさは仕事のパフォーマンスも下げる
企業の生産性や、従業員満足度向上のため、従業員の健康状態は今後ますます重視されていくと想定されます。
一方で、1ヶ月の間で気になる症状として手足の冷えやむくみ、だるさを挙げる方も少なくなく、特に女性では約26%だったと報告されています。*9
また、女性特有の月経に伴う症状とプレゼンティーイズムとの関連についても研究が行われています。
プレゼンティーイズムは、出勤はしているものの体調不良によって仕事のパフォーマンスが低下している状態を指します。*10
月経周期に伴う女性ホルモンの関係で、めまいや足のむくみが出やすくなる方もいるため、これらの症状がひどい場合には仕事に支障が出る懸念もあります。*11
健康経営では「座りすぎ対策」も注目されている
健康経営の面でも、座りすぎへの対策が注目されています。
座っている時間が長くなると、足のむくみだけでなく腰痛や肩こり、頭痛、眼精疲労が引き起こされます。*12
オフィスに出勤する場合も、テレワークの場合も、座りすぎには注意が必要といえます。
健康経営の観点から、歩く、階段を使うようにする、ストレッチをするなど、身体をこまめに動かすことが勧められます。
企業によっては立ち作業を取り入れている例
立ち作業や運動を自然と促す取り組みを行っている企業も増えています。
例えば、日本のある企業では立ち仕事スペースを設けることで、立つ姿勢を適切に取り入れることを可能にしています。*13

*13 健康経営関連資料・データ(METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkokeiei_data.html
PDF:健康経営 オフィス レポート-経済産業省 p5
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeieioffice_report.pdf
また、日本の他の企業では、座りっぱなしになるのを防ぐために毎日ストレッチタイムを導入し、積極的に立つ時間を確保しています。*14
さらに、立ち会議室やバランスボール椅子を取り入れている企業もあります。*15
オフィスでできる足のむくみ対策
ここでは、オフィスや自宅で気軽に行える足のむくみ対策を紹介します。
座ったままできる簡単ストレッチ
座ったままでも、足首を回したり膝の上げ下げをしたりするなどは取り組みやすいストレッチです。
また、長時間座りっぱなしの姿勢を続けることでお尻の筋肉が通常よりも硬くなります。
これは、足のむくみだけでなく腰痛の原因になることもあります。
対策として、お尻の筋肉のストレッチをご紹介します。
方法は、座って片足をもう片方の太もものあたりにのせるというものです。
余裕がある方は、乗せた足の膝を手で下に押したり、上半身を前に傾けるとさらにお尻の筋肉の伸びが深まります。
なお、足をのせたときに、足首からふくらはぎ、膝にかけてさすることもむくみ対策として取り入れやすい方法です。*16
着圧ソックスを活用する方法
座りっぱなしでむくみが気になる場合、着圧ソックスを履くという方法もあります。
ふくらはぎにある程度の圧力がかかるような着圧レッグウェアを着用することで、仕事中の快適性も高まることが期待できます。*17
休憩中に足を少し高くする工夫も
休憩中に足を高くするという工夫も、足のむくみの軽減に役立つことがあります。*18
意外に思われるかもしれませんが、医師であっても画像読影やカルテ記載、受診者の検査終了までの立ち会いなど、座りっぱなしになるような時間があります。
筆者も足の疲れに悩んでいたところ、先輩医師に、人目につかない休憩時間に足を少し高くして休ませるとよいと教えていただきました。
それ以降、足のむくみや疲れが気になるときには、診察時間ではない待機時間などに周囲の状況に配慮しつつ足を少し高くして休ませる工夫を取り入れています。
まとめ
デスクワークによる足のむくみは、単なる疲労ではなく、長時間座位による血流低下や環境要因が関係しています。
そのため、個人でストレッチや着圧ソックスなどを取り入れるだけでなく、立ち上がりやすい動線設計や姿勢を変えやすいオフィス環境を整えることも重要です。
座りっぱなしを前提にするのではなく、自然に身体を動かせる工夫を取り入れることが、快適で働きやすい職場づくりにつながるでしょう。

この記事を書いた人

木村 香菜
行政機関である保健センターで、感染症対策等主査として勤務した経験があり新型コロナウイルス感染症にも対応した。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医、日本人間ドック・予防医療学会認定医。
資料一覧
*1 Kurosawa Y, Nirengi S, Tabata I, Isaka T, Clark JF, Hamaoka T. Effects of Prolonged Sitting with or without Elastic Garments on Limb Volume, Arterial Blood Flow, and Muscle Oxygenation. Med Sci Sports Exerc. 2022 Mar 1;54(3):399-407.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8830891/
*2 足の腫れ・むくみの原因は?-国立長寿医療研究センター
https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/09.html
*3 人間工学的手法による木製椅子の快適性評価と機能設計に関する研究(第7報) 重力、圧迫、関節角度が下肢の血行動態に与える影響.平成17年度 岐阜県生活技術研究所研究報告No.8 p1-6 p1
https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F9240429&contentNo=1
*4 着圧レッグウェアの生理心理的効果に関する研究.日本感性工学会論文集.2009;8(2):285-289. p285
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjske2008/8/2/8_285/_pdf
*5 高さ可変デスクを使用したデスクワークへの立位姿勢の導入が 身体違和感、疲労、下腿周囲長に及ぼす影響2-立位作業の適切な挿入時間の検討.労働科学.2018;94(2):27-38. p28
https://www.jstage.jst.go.jp/article/isljsl/94/2/94_27/_pdf/-char/en
*6 Microbreaks-Stanford Environmental Health&Safety
https://ehs.stanford.edu/subtopic/microbreaks
*7 Hodaka et al,Effect of Footrest Angle on Decrement of Leg Swelling while Sitting.International Journal of Affective Engineering.2014;13(3):197-203. p199
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ijae/13/3/13_197/_pdf/-char/ja
*8 Hodaka et al,Effect of Footrest Angle on Decrement of Leg Swelling while Sitting.International Journal of Affective Engineering.2014;13(3):197-203. p202
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ijae/13/3/13_197/_pdf/-char/ja
*9 令和5年度 男女の健康意識に関する調査報告書-男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/kenkou_r05s.html
PDF:令和5年度 男女の健康意識に関する調査報告書【印刷用一括データ】-男女共同参画局 p20
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/kenkou_r05s/10.pdf
*10 令和5年度 男女の健康意識に関する調査報告書-男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/kenkou_r05s.html
PDF:令和5年度 男女の健康意識に関する調査報告書【印刷用一括データ】-男女共同参画局 p11
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/kenkou_r05s/10.pdf
*11 職場における女性の健康保持増進のための効果的な産業保健活動の確立に向けた研究-厚生労働省科学研究成果データベース
https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/177342
PDF:分担研究報告書 疫学調査1 インターネット調査「日本の女性労働者における月経随伴症状と プレゼンティーズムとの関連」p5
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/24300_R6%E5%8E%9A%E5%8A%B4%E7%A7%91%E7%A0%94%EF%BC%88%E5%A5%B3%E6%80%A7%E7%94%A3%E6%A5%AD%E4%BF%9D%E5%81%A5%EF%BC%89%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8_%E5%88%86%E6%8B%85%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8_%E7%96%AB%E5%AD%A6%E8%AA%BF%E6%9F%BB%EF%BC%88%E5%A4%A7%E6%B2%B3%E5%8E%9F%EF%BC%89.pdf
*12 健康経営関連資料・データ(METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkokeiei_data.html
PDF:健康経営 オフィス レポート-経済産業省 p11
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeieioffice_report.pdf
*13 健康経営関連資料・データ(METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkokeiei_data.html
PDF:健康経営 オフィス レポート-経済産業省 p5
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeieioffice_report.pdf
*14 「スポーツエールカンパニー2025」認定を追加-スポーツ庁
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/houdou/jsa_00201.html
PDF:スポーツエールカンパニー2025認定団体リスト(追加認定更新) p15 No.20251059
https://www.mext.go.jp/sports/content/20250207-spt_kensport01-000039815_01.pdf
*15 「スポーツエールカンパニー2025」認定を追加-スポーツ庁
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/houdou/jsa_00201.html
PDF:スポーツエールカンパニー2025認定団体リスト(追加認定更新) p18 No.20250341
https://www.mext.go.jp/sports/content/20250207-spt_kensport01-000039815_01.pdf
*16 労災保険特別加入団体用テキスト フリーランスの労働災害防止|調査研究情報-中央労働災害防止協会
https://www.jaish.gr.jp/user/anzen/cho/joho/r06/cho_0004.html
PDF:フリーランス | 労災保険特別加入団体用テキスト-中央労働災害防止協会 p55
https://www.mhlw.go.jp/content/001499691.pdf
*17 着圧レッグウェアの生理心理的効果に関する研究.日本感性工学会論文集.2009;8(2):285-289. p289
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjske2008/8/2/8_285/_pdf
*18 Okino K, Aoki M, Yamane M, Kataoka Y, Nitta A, Kohmura C. Prolonged Sitting Causes Leg Discomfort in Middle Aged Adults: Evaluation of Shear Wave Velocity, Calf Circumference, and Discomfort Questionaries. J Clin Med. 2022 Jul 12;11(14):4024.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9320137/
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