
DXという言葉が登場してしばらく経ちますが、いまだに「DXとは何か」「デジタル化とどう違うのか」という点を明確に説明できる人は多くないかもしれません。
人手不足、AI技術の発達、そして新しくクリエイティブな事業発展のために、今後ますますDXは避けて通れません。
そこでいまいちど「DX」とは何か、という定義から、導入の好事例をご紹介します。
この音声コンテンツは、記事の文脈をAIが読み取り独自に対話を重ねて構成したものです。文章の読み上げではなく、流れや意図を汲み取った自然な音声体験をお届けします。※AIで作成しているため、一部誤りや不自然な表現が含まれる場合があります。
「DX」とはそもそもなにを示す言葉か?
国連開発計画では、DXに似たいわゆる「デジタル化」の2つの形態をこのように定義しています。*1
1)デジタイゼーション=既存の紙のプロセスを自動化するなど、物質的な情報をデジタル形式に変換すること。
2)デジタライゼーション=組織のビジネスモデル全体を一新し、クライアントやパートナーに対してサービスを提供するより良い方法を構築すること
これを踏まえてDX(デジタルトランスフォーメーション)について政府は、
3)DX=企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
としています。
やや長い説明ですが、これらを総合すると、1)→2)→3)と段階が進むにつれて、デジタルの恩恵を受ける人の範囲が組織の内側からどんどん外に、社会に向かって広がっているということです。
身近な話に例えると
同じ総務省の資料では、カメラを例にこれらの違いを説明しています。
1)デジタイゼーション=フィルムカメラをデジタルカメラに変えること。
2)デジタライゼーション=写真現像の工程がなくなり、オンライン上で写真データを送受信する仕組みが生まれる。
3)デジタルトランスフォーメーション(DX)=写真データを使った新たなサービスやビジネスの仕組みが生み出され、SNSを中心にオンライン上で世界中の人々が写真データをシェアするようになる。
なんとなく違いがお分かりいただけるかと思います。
では早速筆者の選りすぐり「DX」の具体的な成功事例をご紹介していきます。
AIだから世界中どこにでも届く味
バウムクーヘンでお馴染みの老舗洋菓子店ユーハイムがAI搭載のバウムクーヘン専用オーブン「THEO(テオ)」による予約販売を始めたのは2021年のことです。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000058.000034027.html
バウムクーヘンを焼き上げる職人は、一人前になるには10年の時間を要するといいます。*2
しかしTHEOは職人の生地の焼き具合を、バウムクーヘンの層ごとに画像センサーで解析、その技術をAIに機械学習させることで、無人で職人同様のバウムクーヘンを焼き上げることができるようになっています。
かつ予約販売機能も搭載、買いたい人にはできたてのものを提供でき、売れ残りを出さずにフードロスの解消につながります。
避けられない現場の反発
もちろん、開発にあたっては現場の反発もありました。*2
一番苦労したのは、専用機器の開発ではなく、職人たちの理解と協力を得ることだったといいます。
社内に約200人いる職人たちは長年、先輩の背中を見て技を習得してきました。100年前からレシピこそ変わらないものの職人の“勘”で焼き方や材料の配合を変えることで、味を磨き続けてきた自負があるのです。自分たちの経験に勝る技術はないと職人たちは主張していました。
しかし職人歴50年以上の社員の技術をデータ化すると、数値上に焼き方の「癖」が現れました。焼成するタイミングなどが職人自身が思っていたものと“違って”いたといいます。そこから職人たちの理解が深まり、THEOは社内で認められるようになりました。
THEOが抱く大きな野望
かつ、THEOは「DX」の目的である「顧客エクスペリエンスの変革」を体現したAIといえます。
THEO開発のきっかけは「日本から遠く離れた国の子供たちにバウムクーヘンを届ける方法はないか」との考えからです。現地で製造できれば雇用が生まれますが、設備や職人もないロケーションでは肝心の製品が作れません。しかしTHEOならば自動での焼き上げが可能で、世界中どこでもバウムクーヘンを提供することが可能になります。
さらに、調達できる材料の種類は地域によって異なります。
そこでTHEOは広島で、地元の米粉100%のバウムクーヘンを焼くという経験も積んでいます。また、THEOを海外に派遣して外国のシェフから学習するという試みもあります。*3*4
こうしてTHEOのバウムクーヘンの味や製法に関する知識は強化されていきます。新商品の開発にも繋がるでしょう。
また、今後はレシピの利用履歴を管理し、利用した事業者などから考案した職人に利用料が払われるという新たな仕組みを構築する予定です。*5
職人のモチベーションも維持されることでしょう。
繊細なデザインのチョコレート製造、新工場で3倍に
もうひとつご紹介したいのは、北九州市で名物となったチョコレート菓子を製造する「オーエーセンター」です。*6
2015年7月に北九州市の八幡製鉄所などを含む「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に登録されたことをきっかけに「鉄」をイメージした商品を作ろうというのがきっかけでした。最終的に考案されたのが「ボルトとナット」の形をしたチョコレート「ネジチョコ」です。

https://journal.meti.go.jp/future/32483/
このチョコレートは実際にチョコレートのボルトとナットを締め外しできるものです。この精密さこそネジチョコの最大の特徴です。
そして2016年2月の発売以降、各メディアに取り上げられ売り切れが続出、SNSでの話題もあいまって生産が追いつかなくなってしまいました。当時は20人の職人が3Dプリンターで作った型からチョコレートを抜く作業を手作業で行っていました。しかし腱鞘炎になる人が続出したため、手作業を減らしつつ生産量を増やすため、生産を大幅に自動かした「ネジチョコラボラトリー」を建設、生産数は1日1万個から3万個に増加、不良率は3~5%から1%未満と大幅に削減されました。

https://journal.meti.go.jp/future/32483/
この工場も徐々に手狭になりつつあるため、2027年までの移転を目指しています。その際には工場見学コースを充実させて北九州市の観光資源にしたい、としています。デジタルによって新たな価値を生み出す、まさにこれもDXと言えるでしょう。
顧客や地域に新しい価値をもたらすということ
ここまでDXの2つの事例をご紹介してきました。
ここで語られているのは、ビジネスの効率化ということだけでなく、提供する製品にこれまでにない付加価値や新たなビジネスチャンス、あるいは地域への貢献といったところまでを提供できて初めて「DX」だということです。これは企業の高い目標、それを叶えようとする信念によって支えられます。
そして日本でこうしたDXがあまり浸透しないのは、「結局上層部が何も考えてないんだよね」という話を耳にします。一方でDXは「全社的」に行われなければ不可能です。
THEOが一度は職人の反発を招いたように、大きくものごとを変える時、現場の反発は必至です。
しかしそれを束ねていくのは経営層にほかなりません。
また「DXって何ができるの?」と漠然と考えているだけでは何も進みません。「こんなコンセプト、ビジネスを考えてみたんだがどこからDXすればできるか?」と考えなければなりません。

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この記事を書いた人
【参考資料】
*1
総務省「デジタル・トランスフォーメーションによる経済へのインパクトに関する調査研究の請負報告書」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei//linkdata/r03_02_houkoku.pdf p4、p6
*2
日経クロストレンド「「AIオーブン」が作る極上バウムクーヘン 老舗が職人技をデータ化」
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00548/00003/
*3
PR TIMES「広島県三次市の自然の恵みで作る地産スイーツ!AIオーブン「THEO(テオ)」初の米粉バウムクーヘン発売」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000087212.html
*4
THEO「AI バウムクーヘン職人「THEO(テオ)」 ロンドンへ派遣!」
https://theo-foodtechers.com/wp/wp-content/uploads/2021/11/release_1110.pdf
*5
日本経済新聞「ユーハイム、AI搭載オーブンでバウムクーヘン 職人にレシピ収入」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF1495M0U5A710C2000000/
*6
経済産業省METI Journal「【福岡発】実際に締まるネジチョコ、新たな定番お土産を作った「地元愛」」
https://journal.meti.go.jp/future/32483/
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