オフィスのエアコン|温度設定の正解は?健康と作業効率に配慮した空調管理を詳しく解説

オフィスが「寒すぎる」あるいは「暑すぎる」という悩みは、職種を問わず多くの職場でみられるものでしょう。しかしながら、温度の感じ方には個人差があり、全員が快適に過ごせる環境を整えるのは簡単ではありません。

一方で、オフィスの温度環境は単なる快適性の問題にとどまらず、働く人の健康や業務効率にまで影響をおよぼします。では、オフィスにおける適正温度とはどの程度なのでしょうか。

オフィス環境などに関する規定である「事務所衛生基準規則」によると、室温は18~28度に維持することが事業者の努力義務とされています*1

事務所衛生基準規則第五条第三項 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十八度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない。
引用)e-Gov 法令検索「事務所衛生基準規則」*1
https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000043/20220401_504M60000100029

もっとも、この規定で適正とされる温度範囲は幅が広く、たとえ空調設備の温度をこの範囲内に設定しても、外気温などによっては必ずしも快適に過ごせるとは限りません。加えて、この目安が示しているのはエアコンの「設定温度」ではなく「室温」である点にも留意する必要があります。この違いを正しく理解せず、設定温度だけを管理している企業も少なくないと思われます。

図:「クールビズ」の目安温度である「28℃」が、冷房の「設定温度」ではなく「室温」であることを正しく理解している人の割合

引用)環境省デコ活ポータルサイト「COOLBIZ>「クールビズ28℃」の真実多くの人が「○○の○○○○」と思っていた!?」*2
https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/coolbiz/article/action_detail_007.html

そこで本稿では、オフィス内の温度が健康や業務効率にどのような影響を与えるのかを解説し、夏・冬それぞれに適した室温の目安を示します。オフィスの改装・移転の際に取り入れたい温度環境改善策も紹介しますので、快適さと生産性、省エネを同時に実現するオフィスづくりの参考にしてください。

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オフィス内の温度環境が健康・業務に与える影響と理想の温度環境

オフィスでは、冷暖房の使い方ひとつで快適さが変わり、健康リスクや作業効率にも影響が生じます。ここでは、温度環境が心身や業務にどのような影響をもたらすのかを解説し、オフィスにおける理想的な温度環境を提案します。

まず、オフィス内の温度環境が、働く人の健康や作業効率にどのような影響を与えるのかをみていきましょう。

温度が健康に与える影響

夏場の冷房は、効きすぎると外気との温度差が大きくなり、自律神経の乱れをまねきやすくなります。体が冷えることで血行が悪くなり、だるさや疲労感を覚えることも少なくありません。これは、いわゆる「冷房病」と呼ばれる状態で、肩こりや頭痛、消化不良などをともなうこともあります*3

反対に冷房が十分に効いていないと、暑さによる不快感を覚えやすくなり、熱中症や脱水といった深刻な症状につながるおそれがあります。このように、冷房による室内温度は、低すぎても高すぎても健康に悪影響を与えるのです。

冬場も同様に、暖房の使い方が健康に大きく影響します。室内温度が高くなりすぎると、のぼせや脱水を起こしやすく、外気との温度差が大きい場合には自律神経が乱れて体調を崩すこともあります*4

一方で室内温度が低すぎると、手指の動きが悪くなるほか、血行不良や血圧上昇をまねくこともあります。さらに、寒さによる筋肉の緊張は肩こりや腰痛を悪化させる要因にもなるため*5、デスクワークに支障をきたすこともあるでしょう。

このように、オフィス内の温度環境は単なる快適さの問題にとどまらず、働く人の健康に影響する重要な要素といえます。

表:オフィス内の温度環境と生じるおそれのある健康リスク

季節空調が十分に効いていない場合空調が効きすぎている場合
夏(冷房)暑さによる不快感熱中症・脱水など体の冷え・血行不良自律神経の乱れだるさ・疲労感・肩こり・頭痛・消化不良など
冬(暖房)手指の動きの鈍化血行不良・血圧上昇肩こり・腰痛の悪化などのぼせ・脱水自律神経の乱れなど

温度が業務に与える影響

オフィスの温度環境は、作業効率にも大きく影響します。日本建築学会の研究によると、室温を25度から1度上げるごとに業務効率が約2%低下するという結果が示されています*6。わずかな温度差であっても、集中力や判断力に影響がおよぶことは、日常の体感とも一致するものといえます。

さらに海外の研究では、21~22度の環境下で業務効率が最も高くなると報告されています。この研究では、22度の場合に比べて30度では業務効率が8.9%低下するという結果も示されています*7

その他、25度を超える環境では温度上昇にともない業務効率の低下がみられる一方、21~25度の範囲では温度変化による影響はほとんどみられなかった、という報告もあります*8

もちろん、海外と日本では湿度や日照条件などが異なるため、これらの結果は参考値としてとらえるべきでしょう。しかし、温度が業務効率に影響することは明らかであり、適切な温度管理は企業の生産性向上に欠かせない要素といえます。

オフィスにおける理想の温度環境は?

それでは、オフィスにおける温度設定の最適解はどの程度なのでしょうか。

健康への影響と業務効率の両面を考慮すると、夏場はオフィス内の温度を25度前後、冬場は21度前後に保つのが望ましいといえます。ただし、外気との極端な温度差は体調を崩す原因となるため、季節ごとの微調整は必要です。

さらに、オフィスの快適性は湿度にも影響されます。室内の湿度は年間を通じて55~70%程度に保つのが良いという報告もありますが、夏場は少し低めに、冬場はやや高めにするとより快適に過ごしやすくなります*9
特に冬場の乾燥は、ウイルスの活動を活発化させる要因にもなるため、加湿は感染症対策としても有効です。

オフィスの改装・移転でかなえる快適な温度環境

オフィスの温度環境を改善するには、単にエアコンの設定温度を調整するだけでは十分とはいえません。建物の構造や機器の配置、空調の制御方法などを総合的に見直すことで初めて、快適さと効率を両立できる環境が整います。そして、オフィスの改装・移転は温度環境を整える絶好の機会です。

温度ムラを少なくする*10

オフィス内を快適に保つには、室内の温度ムラを抑える工夫が不可欠です。温度差が大きいと、同じ空間にいても人によって快適さが異なり、業務効率の低下にもつながるおそれがあります。そのため、空間全体の温度を均一に近づける取り組みが重要です。

まず、コピー機や冷蔵庫など熱を発する機器は執務エリアから離して配置するようにしましょう。照明をLEDに切り替えることも有効です。従来の蛍光灯や白熱灯に比べてLEDは発熱量が少なく、室内の温度上昇を抑えられるため、温度ムラの軽減に役立ちます。照明の消費電力を削減できるため、省エネ効果も期待できます。

また、外気による温度変化を抑える工夫も必要です。出入り口付近にパーティションを設置したり、机の配置を工夫したりすることで、外気の影響を軽減できます。

エアコンの効き方に偏りがある場合は、ルーバーやファンを後付けして冷気や暖気を拡散させると効果的です。扇風機やサーキュレーターを併用すれば、空気の循環が促され、温度差をより緩和することが可能です。

エアコンの影響で空気の乾燥が気になる場合は、加湿器を設置すると快適性を高められます。卓上タイプの加湿器を導入すれば、個人ごとの快適さの違いに柔軟に対応することもできます。

図:オフィス内の温度ムラの例

引用)環境省デコ活ポータルサイト「COOLBIZ>「クールビズ28℃」の真実多くの人が「○○の○○○○」と思っていた!?」*2
https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/coolbiz/article/action_detail_007.html

空調制御システムを導入する

オフィスの温度環境を安定させるためには、空調制御システムの導入が効果的です。センサーで室内の温度や湿度を常時監視し、自動で調整する仕組みを整えれば、快適性を維持しながら余分なエネルギー消費を抑えられます。

オフィス内の複数個所に温度計・湿度計を設置して定期的に数値を確認することも、温度環境の安定化に対する基本的な対策です。このようにすれば、空調の効き具合や温度などの変化を客観的に把握でき、天候や外気温に左右されない快適なオフィス環境を実現できます。空調管理者を配置して担当者以外が勝手に空調の操作をできないようにすれば、より安定した管理が可能になるでしょう。

ゾーニングを取り入れる

ゾーニングは、オフィス全体の快適性と省エネを両立させる有効な方法です。執務エリア、エントランスエリア、会議室など用途に応じて温度設定を変えることで、それぞれの空間に適した環境を整えられます。

例えば、執務エリアでは働く人の快適さと作業効率を優先し、室内温度を調整することが重要です(夏場:室温を25度前後/冬場:21度前後に調整)。
エントランスエリアは、夏はやや涼しめ、冬は少し暖かめに設定しつつ、外気温との差が極端に大きくならないよう配慮することで、訪れる人に心地よい環境を提供できます。
会議室については、使用直前までは省エネモードで管理し、必要なタイミングで適温に切り替えることで、無駄なエネルギー消費を防ぎながら快適性を確保できます。

さらに、フリーアドレスを導入すれば、暑さが苦手な人は直射日光の影響を受けにくい涼しいゾーンを、寒さに敏感な人は南側の暖かいゾーンを選ぶなど、各従業員が自分に合った温度環境を選べるようになります。結果として、一人ひとりが快適に働けるだけでなく、空調を過剰に使うこともなくなるため、省エネにもつながります。

遮熱で外気の影響を軽減する*10

オフィスの温度環境を快適にするためには、遮熱にも目を向けるべきでしょう。窓から入り込む熱や冷気は室内の温度を大きく左右するため、適切な対策を講じることで空調の効率を高められます。

実際、窓に遮熱フィルムを貼り付けたり、二重窓を採用したりすると、外気の影響を大幅に抑えられます。また、窓の内側ではなく外側に専用のブラインドを設置して直射日光を遮れば、室内の温度上昇を防ぐことが可能になります。冷房効率も向上するため、必要以上に空調を稼働させることもなくなります。

遮熱対策は長期的な省エネやコスト削減にもつながるため、オフィスの改装・移転のタイミングで積極的に取り入れたい施策の一つです。オフィスの設計段階から考慮すれば、快適性を高めるだけでなく、企業の環境負荷低減にも貢献できます。

まとめ|最適な温度設定がオフィスの快適性・生産性を高め、省エネにも貢献

オフィスの空調管理で大切なのは、エアコンの「設定温度」ではなく、実際の環境を把握して「室温」を適切コントロールすることです。しかし、室内の温度ムラや外気の影響を抑えて快適な環境を維持するのは容易ではありません。

その点、オフィスの改装・移転は温度環境を根本から見直す絶好の機会です。温度管理は目に見えにくい要素ですが、戦略的に取り組むことで、オフィスの快適性と生産性、省エネを同時に実現することが可能になります。つまり、温度管理は単なる経費削減策ではなく、従業員の健康と作業効率を高め、同時に企業の持続的な成長と社会的価値を高める投資といえるのです。

この記事を書いた人

中西 真理

公立大学薬学部卒。薬剤師。薬学修士。医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。

参考資料

*1
出所)e-Gov 法令検索「事務所衛生基準規則」
https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000043/20220401_504M60000100029

*2
出所)環境省デコ活ポータルサイト「COOLBIZ>「クールビズ28℃」の真実多くの人が「○○の○○○○」と思っていた!?」
https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/coolbiz/article/action_detail_007.html

*3
出所)アリナミン製薬「疲れの情報局>クーラー病(冷房病)とは?主な症状や原因、だるさや疲れの対処方法について解説」
https://alinamin.jp/tired/cooler-disease.html

*4
出所)環境省デコ活ポータルサイト「WARMBIZ>「ウォームビズ」日めくりトリビア>12月29のぼせる前にウォームビズ?お風呂の話じゃありません……」
https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/warmbiz/archives/2017/yw/20161229.html

*5
出所)澤田晋一「暑熱、寒冷環境下での作業に伴う健康リスクと予防方策」安全工学.2011,50(6),p.458~467 表4
https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/50/6/50_458/_pdf/-char/ja

*6
出所)多和田友美,他「オフィスの温熱環境が作業効率及び電力消費量に与える総合的な影響」日本建築学会環境系論文集.2010,75(648),p.213-219
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aije/75/648/75_648_213/_pdf

*7
出所)Olli Seppänen,他「Effect of temperature on task performance in office environment」5th International Conference on Cold Climate Heating, Ventilating and Air Conditioning.2016.
https://www.osti.gov/servlets/purl/903490

*8
出所)Olli Seppänen,他「Control of temperature for health and productivity in offices」ASHRAE Transactions, 111(pt2),Jun. 2004.
https://www.osti.gov/servlets/purl/886957

*9
出所)東賢一「室内環境における湿度基準と居住者への健康影響問題」表2
https://www.kinki-shasej.org/upload/pdf/situn.pdf

*10
出所)環境省デコ活ポータルサイト「COOLBIZ>オフィスの暑さを“見える化”して、温度のムラを少なくしよう!」
https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/coolbiz/archives/2017/office/action_detail_006.html


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