ユニバーサルデザイン7原則とは 基本をおさえてオフィスデザインにも応用しよう!

働き方が多様化する時代、オフィスにも「誰もが快適に働ける環境」が求められています。企業にとってユニバーサルデザインは法的な責務・社会的な責任として位置づけられただけでなく、人材確保や生産性向上、企業ブランド強化の重要な経営戦略にもなり得るのです。

今回は、そんなユニバーサルデザインに基づいたオフィスづくりについてみていきましょう。

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ユニバーサルデザインの7原則

ユニバーサルデザインの考え方は、とてもシンプルです。「さまざまな人の、幅広い能力に合うようにデザインする」ということです。

まずは、公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会の資料に示された「ユニバーサルデザインの7原則」を見てみましょう。*1

  1. 公平なデザイン(どのようなユーザーにとっても有益で市場価値がある)
  2. 柔軟な利用が可能(幅広い個人ユーザーの趣向や能力に適応するデザイン)
  3. 単純で直感的(ユーザーの経験や知識、言語能力や現在の集中力に関わらず、デザインの使用方法が分かり易い)
  4. 知覚情報(周囲の状況やユーザーの知覚能力に関わらず必要な情報を伝えるデザイン) 
  5. 間違った使用法への寛容性(意図していない使用への負の結果や事故を最小限にくい止めるデザイン)
  6. 少ない肉体的労力(最小限の苦労で効率的且つ快適に使用できるデザイン)
  7. 接近及び使用に対するサイズとスペース(ユーザーの寸法や姿勢、稼動性に関わらず、接近、接触、操作、使用に対し適切なサイズとスペースを提供)

オフィスのレイアウトや設備を検討する際も、この7つの視点を一つずつ当てはめていくことで、より多様な人にとって使いやすい環境に近づけることができます。

なぜ今、オフィスにユニバーサルデザインが必要なのか

ユニバーサルデザインの7原則を理解したところで、「なぜ今、オフィスに取り入れる必要があるのか」という疑問が浮かぶかもしれません。実は、法的な背景から経営戦略まで、企業がユニバーサルデザインオフィスに取り組むべき理由は多岐にわたります。

法整備への対応

2018年(平成30年)に「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律」が施行されました。

この法律では、国や地方公共団体だけでなく、事業者や国民も「職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、ユニバーサル社会の実現に寄与するように努めなければならない」と明記されています。*2

つまり、オフィスも例外ではなく、すべての働く人が能力を発揮できる環境づくりが求められているのです。

多様性時代の人材確保

日本は急速な高齢化が進み、生産年齢人口は2000年の8638万人から2050年に4868万人へ大きく減少すると予測されています。また、18歳以上の在宅身体障害者の就業率は6%前後にとどまり、民間企業の実雇用率も1.49%と法定雇用率1.8%を下回っています。

こうした人口構成と雇用状況の変化により、多様な身体能力の従業員に対応できるワークプレイス整備は、企業の競争力維持と人材確保にとって重要な経営課題となっています。*1

知的生産性向上へのニーズ

働き方が多様化する中、オフィスには、一人当たりの知的生産性を高める場としての「集まる価値」(コミュニケーション・コラボレーション・企業文化の共有)が求められ、その実現にユニバーサルデザインが重要になります。

また、不特定多数が使うサテライトオフィスでは、個別対応が難しいため「どんなタイプのユーザーでも使える」ユニバーサルデザインが有効です。*1

企業ブランドと社会的責任の向上

米国や日本の企業では知的財産や研究開発費、ノウハウなどをベースとした経営に変化しており、それが企業価値を左右する重要な要素となっています。ユニバーサルデザインは、企業の社会的責任・社会的価値を体現する手段として評価される土壌があります。*1

従業員の健康・安全への備え

従業員の健康・安全問題は年々深刻化しており、経営者の責任も重くなっています。

米国では、事故や職場環境に起因する怪我・疾病の補償費用が企業経営を圧迫しています。従業員からの訴訟リスクもあるため、日本以上に経営者・ファシリティマネジャーは危機感を持っています。

ユニバーサルデザインを取り入れることで、事故や疾病の予防になりますし、たとえ怪我や病気になったとしても早期復帰が可能なオフィスを用意できます。結果として、人と企業の両方を守ることにつながるのです。*1

不動産価値と建物性能

これまではオフィスビルの価値(賃料等)の大半は立地条件で左右されてきました。しかし、今では耐震性やセキュリティ、環境影響の低減、建物イメージといった建物性能の比重が高まっています。

その結果、テナントは建物性能を基準にオフィスビルを選別する時代になったと言えます。*1

バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰受賞企業の取り組み

バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰は、内閣府が行う表彰制度です。高齢者や障害者、妊婦や子ども連れの人を含むすべての人が、安全で快適に社会生活を送れるようにすることを目的に、バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進において顕著な功績をあげた個人や団体を毎年表彰しています。*3

ここでは、過去の受賞事例から、ユニバーサルデザインの具体的な実践例と、職場づくりにも活かせる視点を考察します。

受賞団体の取り組み事例

令和5年度の受賞団体とその授賞理由は表1の通りです。*3


賞の名称

受賞団体名

授賞理由
内閣総理大臣表彰社会福祉法人あさがお福祉会 Tsuda-Machi-Kitchenユニバーサルカフェ、高齢者デイサービスや障害児支援などを一つの空間で運営し、すべての人が日常的に共存する「ごちゃまぜ」空間を実現した点が評価されました。
内閣総理大臣表彰特定非営利活動法人メディア・アクセス・サポートセンター字幕メガネやアプリ等を活用して映画業界におけるバリアフリーに尽力し、多種多様な情報保障事業を展開している点が評価されました。
内閣府特命担当大臣表彰 優良賞株式会社 Lean on Me知的障害に関するeラーニング「Special Learning」を開発し、多数の動画教材で障害福祉にかかわる事業者の学びを支援した点が評価されました。
公益社団法人鳥取県聴覚障害者協会鳥取県で手話言語条例が制定された際、知事や議会に働きかけ、全国に広がる手話言語条例の先駆けとなった点が評価されました。
内閣府特命担当大臣表彰 奨励賞千葉県立東金特別支援学校パラスポ推進隊児童・生徒が講師となる「パラスポキャラバン」等を通じ、ボッチャをきっかけに地域との交流と共生社会の形成に向けたモデルとなった点が評価されました。
特定非営利活動法人町田ハンディキャブ友の会福祉輸送とホームページ「バリアフリーマップ」の運営により、長年にわたり市民の外出機会の拡大に貢献し、バリアフリー情報提供を継続してきた点が評価されました。
表1:功労者表彰の一覧
出所)内閣府「令和5年度バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰式(第22回)受賞事例集」 P.1~P.11から筆者作成
https://www8.cao.go.jp/souki/barrier-free/r05hyoushou/pdf/r05_print.pdf

オフィスに活かすには?

受賞団体が評価されたポイントをオフィスにどう活かせるかという観点で考えてみましょう。

多様な人が集まれる場を作った事例は、オフィスでも誰もが立ち寄りやすく交流しやすい共用ラウンジやカフェスペースづくりのヒントになります。

字幕・音声ガイドやeラーニングを通じて、情報へのアクセスと学びの機会を整えた事例は、オフィスの表示や社内資料を文字・音声・動画など複数の手段で提供し、障害や多様性に関する研修コンテンツを用意する発想につながります。

移動支援やバリアフリーマップの取り組みは、ビル内外の動線や段差、トイレなどの情報を整理し、誰でも安心して移動できる「見える化」の重要性を示しています。

いずれの事例も、空間そのものの工夫だけでなく、サービス運用・情報提供・学びの仕組みをセットで設計している点が、ユニバーサルデザインのオフィスづくりに応用できるポイントではないでしょうか。

すぐに始められるユニバーサルデザインオフィスの第一歩

ここでは、公共建築物のバリアフリー・ユニバーサルデザインに関する論文を手がかりに、オフィスでは何から始めればよいかを考えてみます。

整備基準

論文では、東京オリンピック・パラリンピック競技施設のバリアフリー・ユニバーサルデザイン環境整備の事例が取り上げられています。東京オリンピック・パラリンピックでは、通路の幅やトイレのドア幅など、さまざまな項目に対して具体的な数値を用いてガイドラインが作られていました。*4

オフィスに当てはめると、例えば、「車いすでも通れる通路幅」「多機能トイレの寸法・レイアウト」など、設備を検討する際にはこのガイドラインが参考になります。

選択性

利用者が自分に合った選択ができるようにする「選択性」の重要性も指摘されています。

例えば、多機能トイレが設置されても、どの機能がどこにあるかわからなければ使えないため、案内が必要になってきます。東京オリンピック・パラリンピックの施設では、設備機器の情報がピクトグラムで表示され、わかりやすくなっています(図1)。*4

図1:東京体育館の改修前後のトイレ案内サイン(左:改修前、右:改修後)
出所)日本義肢装具学会誌「公共建築物のバリアフリー・ユニバーサルデザイン—東京オリンピック·パラリンピックに向けた環境整備の特徴と今後の展開—」佐藤 克志 P.153
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspo/36/2/36_150/_pdf/-char/ja

オフィスに応用すると、「どこに何があるか分かる」ことに加えて、そのときの体調や業務内容に合わせて「自分に合った場所を選べるだけのバリエーションを用意する」ことがポイントになるでしょう。

例えば、フロアごとに誰でも使いやすいトイレを配置する、椅子の高さや肘掛けの有無が異なる席を用意する、といった形で選べる余地を増やします。

当事者参加

論文では、設計・施工段階から当事者参加の場を設定することが1番のポイントだと述べられています。*4

オフィスづくりでも同じで、高齢の社員や障害のある社員、育児・介護中の社員などにヒアリングをしたり、小さなワーキンググループに入ってもらったりして、「実際に困っているポイント」「こうなったら助かる」という声をもとにレイアウトやルールを決めていくことが大切です。

まずは小さな一歩から

ユニバーサルデザインオフィスは、単なる「優しさ」や「配慮」の問題ではありません。人材確保や知的生産性向上、企業ブランド強化といった経営課題解決の有効な手段でもあります。

例えば、トイレの改修やスロープの設置は大掛かりな工事になってしまうかもしれません。しかし、案内表示を見やすくしたり、会議室の椅子を一部肘掛け付きに変えたりすることは、比較的簡単にできる改善です。

明日からでも始められる小さな変化が、やがて「誰もが能力を発揮できる職場」という大きな変革につながっていくかもしれません。

この記事を書いた人

田中ぱん

学生のころから地球環境や温暖化に興味があり、大学では環境科学を学ぶ。現在は、環境や農業に関する記事を中心に執筆。臭気判定士。におい・かおり環境協会会員。

参考資料

*1
出所)公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会「ワークプレイスへのユニバーサルデザイン導入の価値」P.1, P.3~P.7
https://www.jfma.or.jp/research/scm10/image/result01-03.pdf

*2
出所)内閣府「ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律(平成30年法律第100号)」P.1~P.2
https://www8.cao.go.jp/souki/barrier-free/pdf/kaigi/universal_hou.pdf

*3
出所)内閣府「令和5年度バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰式(第22回)受賞事例集」講評, P.1~P.12
https://www8.cao.go.jp/souki/barrier-free/r05hyoushou/pdf/r05_print.pdf

*4
出所)日本義肢装具学会誌「公共建築物のバリアフリー·ユニバーサルデザイン—東京オリンピック·パラリンピックに向けた環境整備の特徴と今後の展開—」佐藤 克志 P.151~P.153, P.155
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspo/36/2/36_150/_pdf/-char/ja


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