
アムステルダムのオフィスビル「The Edge」は、「世界で最もスマートでサステナブルなビル」として、高い評価を得ています。
その主要テナントが、デロイト(Deloitte)。
同社はブランド価値を、企業の競争力を左右し、長期的な成長や持続可能な利益を実現するための重要な指標だと捉えています。
「The Edge」に移転後、デロイトのブランド価値にはどのような変化があったのでしょうか。
この事例を通して、オフィスはブランド価値にどのような影響を与えうるのか考えていきます。
この音声コンテンツは、記事の文脈をAIが読み取り独自に対話を重ねて構成したものです。文章の読み上げではなく、流れや意図を汲み取った自然な音声体験をお届けします。※AIで作成しているため、一部誤りや不自然な表現が含まれる場合があります。
世界で最も持続可能な建物
The Edge は、アムステルダムのズーダス・ビジネス地区にある、40,000㎡の革新的な複合オフィスビル。*1
2016年に「世界で最も持続可能な建物のひとつ」としての地位を確立しました。*2
スペインの新聞『エル・パイス』、ニュースチャンネルBBC、そして「Wired」「Bloomberg」「Fast Company」といった国際的なオンライン雑誌など、複数のメディアがこぞってThe Edgeを取り上げたのです。

The Edge“The greenest building in the world.”
https://edge.tech/portfolio/the-edg
このビルはなぜそれほどまでに注目を集めているのでしょうか。
The Edgeの設計を手がけたのは、PLP Architectureの選び抜かれた専門家チーム。*1
ヨーロッパの環境指標「BREEAM-NL」で98.36%という世界最高水準の持続可能性スコアを達成しました。
洗練されたデザインと最先端技術の融合が評価された結果です。
コネクテッド照明システムでは、約6,500台のLED照明器具が接続され、建物15階分にわたる「デジタル天井」を構築しています。*3
そのうち 3,000台の照明器具にはIoTセンサーが組み込まれており、照明、温度、湿度、二酸化炭素濃度、人の動き、さらにはオフィスのコーヒーマシンの状態まで、あらゆるデータがリアルタイムで収集されています。*4
再生可能エネルギーも導入。*5
地下130mの蓄熱冷暖房システムでは、夏場に蓄積した湯を冬場に利用し、夏になればその逆にして、冬場に溜めた冷たい水を利用します。
こうしたシステムによって、膨大な量のエネルギーが節約され、一般的なビルに比べて、保守管理コストは40%減、電力消費量は70%減を達成しています。
デロイトが重視する従業員エクスペリエンス
ビルの基本設計はデロイト仕様。
クライアントであるデロイトの設計要件書には、2つの具体的な目的が明記されていました。*4
1つ目は、市内に分散していたデロイトの従業員を1つの屋根の下に集めること。
2つ目は、同社がデジタル時代へ移行するのに有益な「スマートビルディング」を設計することでした。

出所)Architecture lab “The Edge / PLP Architecture”
https://www.architecturelab.net/the-edge-plp-architecture/
新しいワークカルチャーを育むオフィス
こうした目的を達成するために、建築家たちは高い持続可能性を備えた構造だけでなく、その中で新しいワークカルチャーを創出することにフォーカスしました。
効率性を重視して設計された従来型オフィスのレイアウトは、もはや現代の従業員のニーズを満たすことができません。*1
The Edge は現在のニーズに応えるために、さまざまな働き方を支援するスマートテクノロジーを統合し、コラボレーションを促進する空間をつくっています。
設計の中心にあるのは、ユーザーの快適性と生産性。オフィスでの多様な働き方、過ごし方をサポートしています。
さまざまな作業スペースや会議エリア、リフレッシュゾーンが用意され、贅沢なフィットネス・ルームなど、アメニティも充実。*5
高級感のあるレストランでは、地域で生産された新鮮な食材が使われています。

出所)Architecture lab “The Edge / PLP Architecture”
https://www.architecturelab.net/the-edge-plp-architecture/
屋根がかかったコンピュータ
The Edgeで展開されているワークスタイルは、1つのモバイルアプリで完結できる「APPセントリックワーク(アプリ中心主義の働き方)」。*5
専用のモバイルアプリは、デルフト工科大学発スタートアップだったMapiq(マピック)とデロイトとの共同開発で、デロイト以外のすべてのテナントが利用しています。
ワークスペースの確保も、同僚の居場所の検索も、ロッカーやドアの解錠も、アプリ1つで行うことができます。
さらに、利用可能なワークスペースを探したり、自分の周囲の照明や温度を調整して環境をコントロールすることもできます。*1

出所)PA“The Edge, Amsterdam: A Paradigm of Smart and Sustainable” *4
https://parametric-architecture.com/the-edge-amsterdam-case-study/
開業以来、従業員から快適性に関する苦情は1件もなく、従業員の 72% が、このアプリを使って自分の環境をコントロールできることに満足しているということです。*6
根幹的な役割を担うアトリウム
オフィス体験を形成する上で根幹的な役割を果たしているのが、アトリウム。
自然光と換気を効率的に取り入れると同時に、従業員にとっての「ソーシャルハブ(社交の場)」としても機能しています。*4
内部空間の配置を工夫したことで、約70%のデスクに日光が降り注ぎ、ふんだんに降り注ぐ自然光が、ワーカーの幸福感、生産性、創造性の向上をもたらします。*5

出所)PA“The Edge, Amsterdam: A Paradigm of Smart and Sustainable” *4
https://parametric-architecture.com/the-edge-amsterdam-case-study/
アトリウムがあることで、たくさんの人々が働く姿を見渡せることも効用の1つです。*5
同僚と直接話す機会がなかったとしても、姿が見えることで、同じ組織の一員だと思える。
ワーカーはそうした感覚を楽しむことができます。
デロイトのブランド価値はどう向上したか
ブランド価値とはどのようなもので、デロイトはその効果をどのように捉えているのでしょうか。
また、The Edgeへのオフィス移転は、デロイトのブランド価値にどのような影響を与えたのでしょうか。
ブランド価値とその影響
ブランドは、消費者・顧客が企業や商品、サービスを選択する際の大きな要素です。*7
デロイトはブランド価値について、以下のように述べています。
ブランド価値とは、そのブランドによって獲得される将来利益が定量化されたものです。これは消費者や市場における信頼や認知度、ロイヤルティなどを総合的に評価したものであり、企業の競争力を左右し、長期的な成長や持続可能な利益を実現するための重要な指標となります。
ブランド価値を高めることは、各ステークホルダーにメリットをもたらし、事業の収益性の向上につながるとともに、長期的な企業価値の成長を実現する上で重要な役割を果たします。

出所)デロイト「ブランド価値評価」
https://www.deloitte.com/jp/ja/services/financial-advisory/services/brand-valuation.htm
The Edgeによってもたらされたもの
では、The Edgeによって、デロイトには何がもたらされたのでしょうか。
ビルの設計段階ではデロイトのワーカー3,100人に対してデスク数3,100席、床面積は5万㎡を想定していました。*5
しかしその後リーマン・ショックに見舞われ、広さとコストのバランスの再考を余儀なくされます。
その結果、当初の計画は、4万㎡に1,000席、3,100人を収容する空間に見直されました。
ワーカー1人あたりの面積は減ったものの、業務内容に合わせてデスク、ソファ、スタンディング・デスク、ブースなどの作業空間を選べるABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)を導入し、働き方の自由度を高めました。
実際の稼働データをみると、デロイトは従業員1人あたりの使用スペースを12.6㎡から7.6㎡へと削減することに成功し、同時に従業員の快適性と満足度を向上させたのです。
運用開始からの20か月で、デロイトの従業員は1,000人以上増えましたが、1人当たりの年間コストを1,800ユーロ以上削減しました。*3
さらに、The Edgeに移転してから、人材募集には以前に比べて2.5倍の応募が寄せられるようになり、従業員の欠勤数が45%減少することによって生産性が向上しました。*5
現在の若い世代が求めるのは、楽しく過ごせ、生産性や満足度を向上させてくれる、環境意識の高い職場。
だからこそ、職場でリアルに感じ取れるエクスペリエンスの高さが強い影響力をもつのです。
おわりに
The Edge の成功は、革新的な技術や優れた建築デザインが従業員エクスペリエンスに強く結びついている点にあるといえるでしょう。
オフィスや職場環境は、どれだけワーカーの創造性や幸福感を支えるものになっているでしょうか。
ブランド価値を高めるための第一歩は、従業員エクスペリエンスを中心に据えた思想にある—デロイトのオフィスThe Edgeの事例は、非常に示唆的です。
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資料一覧
*1
出所)Architecture lab “The Edge / PLP Architecture”
https://www.architecturelab.net/the-edge-plp-architecture/
*2
出所)The Edge“The greenest building in the world.”
https://edge.tech/portfolio/the-edge
*3
出所)Interact Lighting“A smarter office with Interact Office software” p.2
https://www.interact-lighting.com/b-dam/b2b-li/en_AA/interact/case-study/the-edge/case-study-the-edge.pdf
*4
出所)PA“The Edge, Amsterdam: A Paradigm of Smart and Sustainable”
https://parametric-architecture.com/the-edge-amsterdam-case-study/
*5
出所)Worksight「スマートビルに『エクスペリエンス』を取り入れたパイオニア」
https://www.worksight.jp/issues/1663.html
*6
出所)Scheider Electric“The world’s most SUSTAINABLE office”
https://www.se.com/us/en/work/campaign/life-is-on/case-study/the-edge/
*7
出所)デロイト「ブランド価値評価」
https://www.deloitte.com/jp/ja/services/financial-advisory/services/brand-valuation.html
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