
働き方の多様化や人手不足が進む中で、従業員の仕事への没入度や活力を示す「ワークエンゲージメント」が注目されています。
今回は、その定義や効果を改めて整理し、オフィス設計との関係性を紐解きながら、エンゲージメントを高めるためのヒントを考察します。
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単なる“やる気”とは違う概念、ワークエンゲージメントとは
近年の働き方改革で耳にするようになった「ワークエンゲージメント」の定義をご存じでしょうか。
厚生労働省のガイドブックによると、ワークエンゲージメントとは、「仕事にやりがい(誇り)を感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得ている状態を指しており、従業員個人と、取り組んでいる仕事との関係に着目した概念」と紹介されています(図1)。*1

出所)厚生労働省「働きがいのある職場づくりのための支援ハンドブック」P.4
https://work-holiday.mhlw.go.jp/work-engagement/pdf/02.pdf
ここで注意したいのが、「ワーカホリズム」です。ワーカホリズムは「強迫観念など本人の意思とは無関係に過度に仕事に取り組む姿勢」を指します。*1
みなさんの働き方は、どちらに当てはまるでしょうか。
筆者の過去を振り返ると、どちらかというとワーカホリズムに当てはまるのではないかと考えています。「過度」というほどではありませんでしたが、仕事から活力を得るというよりは、「やらなければならない」というプレッシャーでやっていました。
少なくとも、ワクワクしながら「この仕事を頑張ろう!」という姿勢ではなかったと思います。
ワーカホリズムの問題点は、「燃え尽き症候群(バーンアウト)」になる可能性があることです。*1
外部からの圧力で常に頑張って仕事をしていると、燃え尽き症候群になってしまうことも想像に難くありません。仕事に楽しさを感じていない状況で最大限頑張れと言われても、長くは続かないでしょう。
それに対して、ワークエンゲージメントは仕事に楽しさを感じています。自らの意思で仕事に積極的に取り組む姿勢が見られることから、ワークエンゲージメントは、持続可能で健全な働き方を目指すための重要な指標です。
では、なぜ今この概念がこれほど重要視されているのでしょうか。厚生労働省の資料によると、働きがい向上による効果は従業員と企業の両方にとって大きなメリットをもたらすことが明らかになっています。*1
従業員にとっては、以下のメリットがあります。
- 仕事の意義や面白さを見出し、前向きに業務へ取り組めるようになる
- 裁量や成長機会があることで、主体的にキャリアを構築でき、生産性や目標達成意欲が高まる
- 組織への信頼と目標の共有により、同僚と協力して成果を出そうとする姿勢が育まれる
- 職場で活き活きと働くことで私生活にも良い影響が及び、仕事との好循環が生まれる
一方、企業にとってのメリットも見逃せません。
- 企業の業績向上や成長につながる
- 自律的に働く従業員が増え、職場に活気が生まれる
- 働きがい向上の取り組みが採用力を高め、優秀な人材の確保・定着につながる
- 多様な人材の活躍により、多角的な視点とイノベーション力が強化される
このように、ワークエンゲージメントの向上は単なる従業員満足度の改善を超えて、企業の持続的な成長を支える重要な要素となっているのです。
ワークエンゲージメントは本当にメリットがあるのか?
ワークエンゲージメントが向上するとさまざまなメリットがあることがわかりました。
とはいえ、ワークエンゲージメントが向上すると、本当にこのようなメリットがうまれるのでしょうか。具体的なデータを見てみましょう。
定着率・離職率
図2は、ワークエンゲージメントと定着率についてまとめたものです。*2

出所)厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での『働き方』をめぐる課題について-」P.195
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3_02.pdf
スコアが高いほど、新入社員の定着率が上昇、従業員の離職率が低下する傾向が示されています。
また、人手不足に悩む企業においてもこの傾向が確認されています。*2
人手不足で仕事が忙しく大変な職場であれば、辞める人が多いというイメージを持つかもしれません。
しかし、上記のデータを見ると、仕事へのやりがいを感じている(ワークエンゲージメントが高い)状態であれば、仕事量が多くても従業員が辞める可能性が低く、いかにワークエンゲージメントが定着に影響しているかがわかります。
物理的な仕事の負荷の軽減だけでなく、働きがいややりがいといった内面的な要素が、離職防止や定着促進において重要な役割を果たしていることがわかるデータです。
生産性
ワークエンゲージメントの高さは、具体的な業務パフォーマンスの向上にも影響していることがわかっています。
図3は、ワークエンゲイジメントと個人の労働生産性について示したものです。*2

出所)厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での『働き方』をめぐる課題について-」P.198
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3_02.pdf
ワークエンゲイジメントスコアが高いほど、個人の労働生産性が高くなる傾向が示されています。また、人手不足企業においても、同様の傾向が確認できます。
この分析資料では、ワークエンゲージメントの向上と生産性の向上についての因果関係は示されていません。
しかし、仕事への熱意があり、仕事から活力を得ている状態であれば、一生懸命働きますから、生産性が上がるというのも当たり前といえば当たり前かもしれません。
ワークエンゲージメントは心理的な充足感だけでなく、実際のアウトプットの向上にも結びつく重要な経営指標であり、職場改善や人材戦略を検討するうえで欠かせない視点であると言えるでしょう。
オフィスづくりのヒント
前述の厚生労働省のガイドブックでは、企業におけるワークエンゲージメント向上の取組事例が掲載されています。
その取組の一部を抜粋すると、以下のようなものがあります。*1
- リーダーとその配下のメンバー間で1on1を実施する
- 社長と管理者層とのコミュニケーションを強化し、週に一度必ず対話の機会を設ける
- 会社負担による軽食の提供を行う
- DXツール(例:電子黒板やチャットツール)を導入する
- 従業員同士で価値観を共有するワークショップを開催する
- ブレインストーミングを日々の会議や社員合宿などで頻繁に実施する
このような取り組みから、どのようなオフィスがワークエンゲージメントの向上が期待できるのか考察してみましょう。
事例を見ると、ワークエンゲージメントの向上において「職場内のコミュニケーション」が極めて重要な役割を果たしているということがわかります。メンバー同士が気軽に言葉を交わし、上司とも率直に対話できる環境を作ることが必要です。
したがって、オフィス設計においても、コミュニケーションが自然に生まれる動線や空間づくりが重要となるでしょう。
ここで、2つの具体的なオフィス事例を紹介します。
大手化学メーカーである株式会社ダイセル・播磨工場では、部署を横断したコミュニケーションを活性化させるために、開放的なラウンジスペースや壁を最小限に抑えた会議エリアを導入するなど、社員が「偶発的に出会い、会話が生まれる」ようなレイアウトが施されています(図4)。*3

出所)株式会社内田洋行「株式会社ダイセル 様 – オフィス新設移転 事例紹介 」
https://office.uchida.co.jp/case/daicel.html
執務室フロアは「D字」を描くメイン通路が設置され、食堂・リフレッシュルームなどによって、部門を越えた自然な交流を促進する設計となっています。*3
大手ゼネコンである株式会社大林組では、コミュニケーションの活性化を目的とした革新的な食堂設計に取り組んでいます。同社では、従来の単一の食堂ではなく、2つの異なるコンセプトを持つカフェテリアを設置し、これらをコンコースで結んでいます(図5)。*4

出所)株式会社ウチダシステムズ「株式会社大林組様 食堂」
https://office.uchida-systems.co.jp/case/case75/
この設計の特徴は、社員が朝・昼・夕といった時間帯や気分に応じて空間を選択できることです。リラックスしたい時、集中して会話したい時、偶発的な出会いを求める時など、その時々のニーズに応じて場所を移動することで、自然なコミュニケーションが生まれる仕組みを構築しています。*4
食堂という誰もが利用する共有空間をうまくデザインすることで、部署の垣根を越えた交流が生まれ、思いがけないアイデアが生まれるきっかけになります。そうした動きが、結果的に職場全体のエンゲージメントを高めることにもつながっていくのではないでしょうか。
オフィスづくりでワークエンゲージメント向上
ワークエンゲージメントの高い組織にするためには、社内制度といったソフト的なアプローチももちろん重要ですが、物理的なオフィス空間もまた、社員の心理状態や行動に影響を与えます。
執務スペースのレイアウト、休憩スペースの快適さ、自然光の取り入れ方などは、日々の満足度を左右する要因です。
ぜひ、オフィス設計からワークエンゲージメントを向上させるという視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いた人
田中ぱん
学生のころから地球環境や温暖化に興味があり、大学では環境科学を学ぶ。現在は、環境や農業に関する記事を中心に執筆。臭気判定士。におい・かおり環境協会会員。
参考資料
*1
出所)厚生労働省「働きがいのある職場づくりのための支援ハンドブック」P.4, P.15~P.18, P.21~ P.22, P.25~ P.26, P.31~ P.32
https://work-holiday.mhlw.go.jp/work-engagement/pdf/02.pdf
*2
出所)厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での『働き方』をめぐる課題について-」 P.193~P.201
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3_02.pdf
*3
出所)株式会社内田洋行「株式会社ダイセル 様 – オフィス新設移転 事例紹介 」
https://office.uchida.co.jp/case/daicel.html
*4
出所)株式会社ウチダシステムズ「株式会社大林組様 食堂」
https://office.uchida-systems.co.jp/case/case75/
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