
コロナ前後でオフィスへの出勤に対する従業員の考え方は大きく変わりました。
オフィスの移転やレイアウト変更にこの視点は欠かせません。
とはいえ、「通いたくなる職場」というのはどういうものか、なかなか具体的なイメージは掴みにくいことかと思います。
そこで今回はメガバンクの調査結果をもとに、従業員がオフィスに最も求めているものは何かを探っていきましょう。
この音声コンテンツは、そしきlabに掲載された記事の文脈をAIが読み取り、独自に対話を重ねて構成したものです。文章の単なる読み上げではなく、内容の流れや意図を汲み取った自然な音声体験をお届けします。
※AIで作成しているため、読み上げ内容に一部誤りや不自然な表現が含まれる場合があります。
オフィスに通う「意味」が必要になった
コロナ前はオフィスに通うことについて、多くの人にとってはそう疑問を感じることのない「日々のルーティン」「当たり前の行動」だったことでしょう。
しかしコロナ禍で、リモートワークでできることの可能性が広がりました。
そしてコロナ後に在宅とオフィスのハイブリッド状態になると、「オフィスに通う意味」に対して疑問が生まれるようになった、という流れがあるように筆者は感じています。
よって企業側からすれば、オフィスに通いたくなる仕掛けが必要な時代が来ていると考えます。
若手・中堅のオフィス出勤頻度は理想と乖離?
長いフルリモートワークの中で人との直接コミュニケーションの必要性を感じ、いまでは「オフィス回帰」がトレンドになりつつあるように感じる人は多いことでしょう。
しかし、全世代がそうかというと、そうでもないようです。
三菱UFJ銀行の調査によると、出社頻度と理想の出社頻度のギャップが世代によって大きく異なっているのです。

(出所:三菱UFJ銀行「働きたいオフィス・働きたい街ランキングに関する生活者調査」)
https://www.tr.mufg.jp/houjin/fudousan/dokuji/pdf/dprime_rep01.pdf p12
20代では週5日以上出社している割合が54.9%ですが、それを理想とする人はわずか15.4%です。30代では週5日出社している人は48.3%、一方でそれを理想としている人は16.2%となっているなど、若年層ほど実際の出社頻度と本人の理想がかけ離れているのです。
オフィス利用者の理想と現実のギャップは他にも
そしてオフィスで働く人の理想と実際のオフィス状況について、大きなギャップが発生している項目がもうひとつあります。
三菱UFJ銀行の同じ調査では
「あなたがお勤めしている会社のオフィス内の設備やスペースはどのようなものでしょうか。【現状】にあてはまるものをすべてお選びください。」
「あなたはどのような設備やスペースがあるオフィスなら「働きたい」と思いますか。あなたの【理想】にあてはまるものをすべてお選びください。」
という2つの質問をしたところ、下のような結果が得られています。

(出所:三菱UFJ銀行「働きたいオフィス・働きたい街ランキングに関する生活者調査」)
https://www.tr.mufg.jp/houjin/fudousan/dokuji/pdf/dprime_rep01.pdf p18
働く人の需要は
「朝食や間食が無料で提供される」(理想40.8%、実態6.9%)
「安くて美味しい社員専用の食堂がある」(理想44.7%、実態11.0%)
「カフェ・ラウンジ・休憩スペースが充実」(理想45.2%。実態12.6%)
という、食環境の項目で非常に高くなっています。
しかしこれらの理想と実態の間には大きなギャップがあり、求めていることが充足されていないようです。
また興味深いことに、就活生も同じ項目に高い理想を持っていることがわかります。
どんな食事を望んでいる?
では、具体的には出社時にどんな食事に需要があるのでしょうか。
調査結果は下のようになっています。

(出所:三菱UFJ銀行「働きたいオフィス・働きたい街ランキングに関する生活者調査」)
https://www.tr.mufg.jp/houjin/fudousan/dokuji/pdf/dprime_rep01.pdf p23
味や価格はもちろんのこと、栄養バランスも重視されているようです。
確かに社員食堂というと、入り口のメニューにカロリーなど栄養成分表示が出ている印象があります。
ビュッフェ形式の食堂では、小鉢で栄養を意識できるようにもなっています。
外食や自炊では細やかな栄養管理は難しいものです。その分、「会社に来た時くらいは栄養バランスを意識しよう」と考える人も多いことでしょう。
「置き社食」に注目も
とはいえ、社員食堂はそう簡単に設置できるものではありません。
そこで注目されているのが「置き社食」です。
専用の冷蔵庫をオフィス内に設置して弁当や惣菜を提供するシステムで、近年市場が広がっています。
例えばスタートアップのKOMPEITO(コンペイトウ)では昨年9月の段階で、直近の累計導入台数が約1万3000台と、3年前の6.5倍にまで伸びたといいます。*1
背景として考えられているのは人手不足の地方企業が福利厚生充実の一環として取り入れているということがあります。
また都市部でも外食の値上げが相次ぐなか、比較的安くてかつ栄養バランスが取れている食事への需要は高いことでしょう。
置き社食のサービスはいま様々な企業が展開しており、それぞれに個性ある食事を提供しています。野菜をウリにするサービス、職人がつくる冷凍パンを売るサービス、惣菜を単品で購入できるサービスなど、各社特徴を出しています。
「タニタ食堂」で有名なタニタも得意の健康メニューで参入しており、雑穀を使ったショートパスタやトマト仕立てのカレー、たっぷりの野菜を入れたスープなど栄養バランスに配慮した8商品を販売しています。*2
社員が支払うのは、パスタは750~790円、カレーは770円、スープは500~580円となっています。
また日清食品の「完全メシ」もスタンド型の冷凍タイプで参入し、カツ丼やカレー、麺類と和洋中にわたるメニューを展開しています。*3
食事は人を動かすモチベーション材料
また外食であっても、「オフィスに行けば、近くのあの店で食事ができる」というものがあると通勤したい理由になるでしょう。
筆者にもTBSに勤務していたときの思い出があります。
本社ではなく省庁などの記者クラブでの外勤生活になると、それ以前に赤坂で利用していた数々の飲食店が恋しくなるものでした。なので本社に用事があるときは「赤坂まで行くのならば、きょうはこの店のこれを食べよう!」ということが頑張れる大きな要素になるものです。
オフィス近隣のグルメマップのようなものを作成してみるのも面白いかもしれません。
オフィスへの出社を促すことが、今ではなにかテーマパークへの誘致競争のようになってしまっているかもしれません。
しかしこの変化をきっかけに従業員の需要を汲み取り、そこで働く人が自慢したくなるオフィスづくりを目指すのも良いでしょう。
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参考資料
*1 日本経済新聞「「置き社食」導入6.5倍 地方で重宝、アパも人材確保に」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC29BE80Z20C24A8000000/
*2 読売新聞オンライン「冷蔵庫に「置き社食」、食費抑え出社を後押し…省スペース・低コストで中小企業も導入しやすく」
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250205-OYT1T50016/
*3 日清食品「法人向けサービス 完全メシスタンド」
https://stand.nissinkanzenmeshi.com/
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