
あなたが今オフィスにいるならば、天井を見上げてみてください。照明はどうなっていますか?
2027年末までに一般照明用の蛍光ランプの製造・輸出入が禁止されます。背景にあるのはLEDへの転換で省エネを進めるということもありますが、なによりも国際条約が締結され発効したことが大きいでしょう。
蛍光灯の生産停止の背景や、実際オフィスでLEDを導入するにあたってどのくらいの費用が必要なのかを解説していきます。
この音声コンテンツは、記事の文脈をAIが読み取り独自に対話を重ねて構成したものです。文章の読み上げではなく、流れや意図を汲み取った自然な音声体験をお届けします。※AIで作成しているため、一部誤りや不自然な表現が含まれる場合があります。
悲願の「水俣条約」締結・発効
2013年10月に「水銀に関する水俣条約」が外交会議で採択され、署名が行われました。これは水銀の一次採掘から貿易、水銀添加製品や製造工程での水銀利用、大気への排出や水・土壌への放出、水銀廃棄物に至るまで、水銀が人の健康や環境に与えるリスクを低減するための包括的な規制を定めるものです。*1
その後2017年5月18日付けで締約国が日本を含めて50か国に達し、規定の発効要件が満たされて2017年8月16日に発効しました。
なお、署名が行われたのは、日本の熊本県です。
過去に招いた悲劇
水銀は筆者が子どもの頃は身近な存在でした。体温計や温度計、またケガをしたときに塗る、いわゆる「赤チン」などにも使われていました。*2*3
しかし水銀は、過去には悲劇を生み出した物質でもあります。
その名を歴史に残す「水俣病」です。
公式な発生時期は1956年とされていますが、この年、熊本県水俣市で5歳と2歳の姉妹が運動障害や全身のけいれんに加え、手足が曲がったようになって、突然叫び声をあげるなどの症状を出しました。*4
水銀の功罪
その後の調査で分かったのは、原因が水銀中毒だということです。新日本窒素肥料株式会社(現在のJNC株式会社)水俣工場から八代海に流された廃液にメチル水銀が含まれ、それに汚染された魚を人が食べたことで発症しました。
当初は病名も原因も分からず、未知の病に地元の人は怯えていました。また海産物も「水俣病の臭いがする」と言われ買ってもらえないなどの差別も生まれました。*5
同じ頃、新潟でも同様の病気が発生していました。いわゆる「新潟水俣病」です。
長い間病に苦しめられ亡くなった人、差別を受けた人、いまもつらい症状を抱える人にとってはこの条約の締結・発効は悲願であったとも言えるでしょう。
製造・輸出入が禁止される照明器具
これらを背景に締結されたのが「水銀に関する水俣条約」です。
そして条約を受けて、水銀を利用している蛍光灯や蛍光ランプの製造が2027年末までに製造・輸出入禁止となります。
該当するのは以下のような製品です。

https://www.env.go.jp/chemi/tmms/lamp_pdf/20250324_lamp_01.pdf
使用・販売・輸入については禁止はされませんが、製造・輸出入が禁止されれば当然いずれは手に入らなくなりますから、早めの対応が必要です。
具体的には、照明をLEDに取り替えることです。
LED化にはどれくらいの費用がかかる?
では、LED化に関する費用はどのくらいでしょうか。
LEDの節電効果
LEDと聞いてまず思い浮かぶのは、省エネ性能でしょう。
まず環境省によればLED照明導入の効果として、
- 消費電力を約85%削減
- ランプ寿命は約40倍
- 長寿命であるため、交換にかかる費用(人件費、高所作業車の費用)の削減
といったことが挙げられています。

https://www.env.go.jp/earth/ondanka/gel/ghg-guideline/search/pdf/01_215.pdf p1
また、CO2排出量を減らす効果があることも知られているでしょう。
燃料コストが上がり続ける中、LED導入の効果は大いにあると考えられます。
具体的にこのような試算も出ています。

https://www.jlma.or.jp/led-navi/contents/cont34_officeLighting.htm
LEDへの交換にかかる工事費用は?
そして、実際にかかる費用についてです。
アイリスオーヤマによれば、まず蛍光灯からLEDへ交換する工事費用の相場は、1か所あたり4,000〜8,000円程度が一般的です。これはLED本体価格(約1,000〜3,000円)と、配線や器具交換を含む工事費(約3,000〜5,000円)を合わせた金額になります。
全体で10ヵ所を交換する場合、合計4〜8万円程度がかかると予想されます。*6
これをあなたのオフィスの照明数に合わせてみてください。
LEDへの交換にあたっての注意点
蛍光灯の製造禁止によって、いずれはどのオフィスも強いられることになるLEDへの交換ですが、注意すべき点もあります。
まず、照明本体だけを取り替えるのは危険だということです。蛍光灯を嵌めていた器具に長期間使用していた安定器に電球やライトだけを取り替えると発火の恐れがあります。

https://www.jlma.or.jp/led-navi/contents/cont13a_checkAndChange.htm
もうひとつは、LEDのランプそのものは長寿命であったとしても、器具は10年を目安に交換する必要があるということです。*7
電気がつかなくなったから交換する、というのではなく、器具そのものの劣化を考えましょう。
LEDへの交換にあたって利用できそうな補助金
なお、LEDへの交換にあたっては、様々な補助金があります。
まず省庁が実施しているものとしては以下です。
省エネ・非化石転換補助金(経済産業省)
まず、経済産業省が実施する「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」です。
経済産業省の「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金」を活用した補助金制度です。一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が執行団体として運営しています。制御機能付きLED照明器具の導入が対象に含まれています。*8
既存建築物省エネ化推進事業(国土交通省)
既存のオフィスビル等について、省エネ改修工事に要する費用やエネルギー使用量の計測に要する費用、省エネ性能の表示に要する費用などを補助するものです。*9
その他、都道府県単位で補助事業を実施しているところもあります。
先回りの対応を
今回の措置は、即座に蛍光灯の使用を禁止するものではありませんが、製造や輸出入が禁止されているため、いずれ手に入らなくなることは間違いありません。
場合によっては大規模な取り組みになるかもしれませんが、可及的速やかな計画を立て、交換に向けて動き出すことが重要です。
入手できなくなる間際になってしまうと、おそらく施工業者のスケジュールも逼迫することでしょうし、器具も品薄になってしまう可能性があります。
社内予算の確保も含め、のんびりと構えないようにしたいものです。
この記事を書いた人
【参考資料】
*1 経済産業省「水銀に関する水俣条約」
https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/mercury/minamata.html
*2 環境省「主な水銀使用製品リスト1」
https://www.env.go.jp/content/900415078.pdf p3、13
*3 一般社団法人東京環境経営研究所「マーキュロクロム液の光と陰」
https://www.tkk-lab.jp/post/yomoyama20231215
*4 環境省水俣病情報センター「水俣病の発生と原因」
https://nimd.env.go.jp/archives/faq/
*5 石牟礼道子「苦海浄土 わが水俣病」Kindle版 Page229
*6 アイリスオーヤマ「蛍光灯をLEDに変える工事の費用は?相場・コストを抑える方法・注意点を解説」
https://www.irisohyama.co.jp/b2b/itrends/articles/6130/
*7 一般社団法人日本照明工業会「LED照明器具に関するQ&A」
https://www.jlma.or.jp/led/led_kigu_qa.htm#Q2
*8 SII「2026年版特設サイト 省エネ・非化石転換補助金」
https://syouenehojyokin.sii.or.jp/about-type.html
*9 国土交通省「既存建築物省エネ化推進事業」
https://kizon-shoene.mlit.go.jp/kaishu/notice.html#20260507
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