
空き時間や空いた日に数時間だけ、あるいは単発で仕事をする「スキマバイト(スポットワーク)」という働き方が広がっています。
企業からすれば人手不足の解消や繁忙期の人員増強をスピーディーかつ柔軟に行えるというメリットがあり、また働き手にとっても自分の都合に合わせて働ける気楽さがあるでしょう。
もちろんデメリットもあります。企業が直接面接を実施するわけではないので人員にバラツキがあることや、労務管理が煩雑になることです。
ただ、職場を気に入ってもらえれば働き手にとってはモチベーションも上がりますし、仕事内容に興味を持ってもらえる、さらにはスカウトのチャンスにもなり得ます。
スキマバイトの実態を知り、同時に適切なマネジメントについて知ってみましょう。
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企業のスキマバイト(スポットワーカー)への関心
帝国データバンクが国内の1,685社を対象に実施したアンケート調査では、4割弱の企業が「活用に前向き」と回答しています。企業側もある程度の関心を持っていることがうかがえます。

(出所:帝国データバンク「スポットワーク(スキマバイト)に関する企業の意識アンケート」)
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20241121-spotwork/
そしてスキマバイトの活用に前向き、あるいは興味がないとするそれぞれの理由は下のようになっています。

(出所:帝国データバンク「スポットワーク(スキマバイト)に関する企業の意識アンケート」)
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20241121-spotwork/
もちろんどのような仕事でもスキマバイトにすぐ任せられるものではありませんので、業種や業務内容によって活用できるかできないかは異なりますが、マネジメント次第で可能性は広がるかもしれません。
働き手は何を考えている?
そこで、働き手の実態や意向についてみていきましょう。
パーソル総合研究所の簡易推計によれば、全国のスキマバイト人口は452万人とされています。*1
そしてスキマバイトをするワーカーの動機は下のようになっています。

(出所:パーソル総合研究所「スキマバイト/スポットワークに関する定量調査」)
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/spot-work/
最も多いのは「隙間の時間を埋めたかった(42.5%)」というものです。次いで「娯楽費を稼ぐため(39.0%)」、「仕事内容が難しくなさそう(38.2%)」、「自由な時間で何かをしたかった(36.4%)」が続いています。
スキマバイトの5類型
これに基づいてパーソル総合研究所は、スキマバイトの動機を5種類に分類しています。
- 隙間活用タイプ:隙間時間を有効活用したい
- 小遣い稼ぎタイプ:趣味に充てる資金が欲しい
- 生計維持タイプ:すぐに生活費を稼ぎたい
- 経験投資タイプ:興味のある仕事をたくさん経験したい
- 簡便志向タイプ:手軽に働きたい
そしてそれぞれの特徴と、どのような属性の人が多いかを下のように整理しています。

(出所:パーソル総合研究所「スキマバイト/スポットワークに関する定量調査」)
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/spot-work/
スキマバイトをする人は、無職者から正社員まで幅広く存在しています。
なかでも注目したいのが、正社員が多い「経験投資タイプ」です。自分の経験の幅を広げたいという人が多く、かつワーク・エンゲイジメント、さらには再就職意向が相対的に高い傾向にあります。

(出所:パーソル総合研究所「スキマバイト/スポットワークに関する定量調査」)
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/spot-work/
こうした「経験投資タイプ」の働き手の場合、興味のある仕事や自分の勉強になりそうな仕事を「お試し」する良い機会、という考え方がありそうです。「仕方なく働いている」というのとは訳が違います。
よって実際に働いてみて業務内容や環境が気に入れば、そのままそこでの仕事を続けたい、ひいては就職したいという気持ちが芽生えてくる可能性が大いにあるのです。
スキマバイトの長期雇用化も
実際、スキマバイトからのレギュラー化(長期雇用化)は存在しています。
パーソル総合研究所の調査結果を引き続きみていくと、スキマバイトのマネジメント経験がある店長・管理者の7割弱が、スキマバイト人材をレギュラー化したことがある、という結果が得られています。

(出所:パーソル総合研究所「スキマバイト/スポットワークに関する定量調査」)
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/spot-work/
スキマバイトを活用しマネジメントをしてみたところ、長期雇用したい人材が含まれていたことが比較的多かったということでもあります。活用してみないとわからないメリットもあるのでしょう。
スキマバイトの労務管理
さて、スキマバイトの活用には注意点もあります。特に労務管理です。
まず基本として、スキマバイト(スポットワーク)の募集は仲介事業者のアプリなどで行われることがほとんどですが、雇用主はあくまでも自社であるということです。
よって労働契約法、労働基準法が適用されます。*2
スキマバイト(スポットワーク)の労働契約は、仲介業者のアプリで事業主が掲載した求人にワーカーが応募し、面接などをしないまま短時間に求人と応募がマッチングすることが一般的です。
この場合、特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人にワーカーが応募した段階で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立すると一般的にはみなされます。
また労働基準法上、実際の就業開始前に労働条件を明示すること、事業者都合で休業させる場合には休業手当の支払い義務が生じること、労災などの適用対象となることなどにも注意が必要です。
上手な運用を考えてみよう
ここまでスキマバイトの特徴についてみてきました。
先ほども述べましたが、すべての業務について有効とは言い切れませんし、直接面接をするわけではないという点には一定のリスクは存在します。当日になってみないと、どんな人が来るかわかりません。
ただ、ご紹介したようにスキマバイトのマネジメント経験者の多くが人材を長期雇用化していることを考えると、マネジメント経験やマネジメント方法によっては、採用の手間や経費を軽減できる手法になり得ます。
実は筆者も比較的最近、ちょっとしたきっかけでスキマバイトを数回経験しました。しかしそこは非常に働きづらい場所でした。というのは、仕事の教え方が雑な上に、いざ業務が始まってしまうと誰も彼もが忙しそうで誰にも声をかけられないという環境にあったからです。
また、教わっていない業務が急に始まり、「聞いてないよ!」という状況のまま、見よう見まねでやるしかなかったこともありました。
確かにスキマバイトの場合、次も来てくれるかどうかがわかりませんから、あまり時間をかけて説明する手間を取られたくないという考えや、繁忙期にこそ雇用しているので会社側にも余裕がないという事情もあるでしょう。
ただ、働き手としては「職場の感じが良くて、かつやったことがある仕事」であれば、次回以降の応募のハードルは下がります。また仲介業者に事前にマニュアルを確認してもらうようお願いしておくという手段もあるでしょう。
人手不足は今後ますます避けられそうにない課題です。
選択肢のひとつとしてスキマバイトを検討してみるのも悪くはないことでしょう。
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参考資料
*1
パーソル総合研究所「スキマバイト/スポットワークに関する定量調査」
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/spot-work/
*2
厚生労働省リーフレット「「知らない」では済まされない 「スポットワーク」の労務管理」
https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/001512368.pdf p2-3
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