リモートワークにも便利なフリーWi-Fi、実は危険!セキュリティ上の大きな落とし穴を知って安全に使おう

移動中や出先での作業にとても便利なのが、フリーWi-Fiです。むしろ欠かせない存在になっているかもしれません。

今では多くの駅や空港、そして飲食店や商業施設がフリーWi-Fiスポットを提供しており、それを当たり前のように使ってしまいますが、実はフリーWi-Fiには大きな危険が潜んでいます。
有名チェーン店などの名前がついたWi-Fiであっても、情報を抜き取られるなどの被害が発生しうるのです。

なぜでしょうか。フリーWi-Fiの危険性や安全対策についてご紹介します。

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フリーWi-Fi、どのくらいの人が使ってる?

総務省によれば、フリーWi-Fi(公衆無線LAN)は半数近くの人が利用しており、その多くは店や自治体などが提供しているサービスです。

フリーWi-Fiの利用状況
(出所:総務省「無線LAN利用者に対するアンケート調査 集計資料」)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000897265.pdf p23

しかし中には、提供者不明の無料サービスを利用しているという人も少なくありません。
ただ、一定の不安感はあるようです。

フリーWi-Fi利用時の不安
(出所:総務省「無線LAN利用者に対するアンケート調査 集計資料」)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000897265.pdf p23

情報窃取や漏洩、外部からの侵入といったセキュリティ上の意識がある人は多くいますが、「漠然とした不安」というところに止まる人が半数近くにのぼっています。

その「漠然とした不安」を漠然で済ませないために、フリーWi-Fiの具体的な危険性を解説していきます。

なりすまし「SSID」の脅威

フリーWi-Fiにアクセスしようとするとき、スマートフォンなどには下のような画面が表示されます。

フリーWi-Fiスポットなりすましのイメージ
(出所:トレンドマイクロ「フリー Wi-Fi は危険?安全に利用するためのセキュリティ対策」)
https://helpcenter.trendmicro.com/ja-jp/article/tmka-12361

この段階でまず、全く知らない名前のアクセスポイントに接続するのは危険です。

しかし大きな問題になっているのは「なりすましSSID」です。

実は端末に表示されるSSID(アクセスポイントの名前)は、すでに存在しているものと重複していても、誰にでも作ることができるのです。*1
そこで店の名前に非常に似た文字列で、悪意あるなりすましのSSIDを作り、利用者を自分のネットワークにアクセスさせるという犯罪手口があります。

偽アクセスポイントのイメージ
(出所:NTTドコモ「フリーWi-Fi(公衆無線Wi-Fi)に危険性はある?安全な接続方法やセキュリティ対策を紹介!」)
https://anshin-security.docomo.ne.jp/security_news/wifi/column001.html

誤ったほうを利用してしまうことは「見知らぬネットワーク」に接続しているということで、さまざまな被害が考えられます。
さらに悪質な場合、店のSSIDと全く同じものが使われていることがあります。SSIDだけでは見分けられない「悪魔の双子」とも呼ばれています。

悪意あるアクセスポイントで起こりうる被害

考えられる被害を具体的にご紹介しましょう。*2

データ改竄、ID抜き取り

利用者が偽アクセスポイントに接続すると、サイバー攻撃者は送受信されるデータをリアルタイムで傍受・改竄できてしまいます。
そうして利用者のIDやパスワードを抜き取り、利用者になりすまして多額の買い物をしたり、抜き取られたIDがさらに犯罪に使われるといった危険性があります。

偽サイトへの誘導

フリーWi-Fiの中には、ログインページでユーザー認証を求めるものもあります。ここで個人情報を入力してしまうと、入力した情報は攻撃者に筒抜けになってしまいます。

スニッフィング

スニッフィングとは暗号化が不十分ではないネットワーク上で、専用ツールを用いて通信パケットを捕捉する手法です。捕捉されたパケットからはメールやログイン認証情報、個人情報などが解読できるようになっています。

端末の乗っ取り

もちろんネットワーク経由でウイルスを忍び込ませれば、端末を遠隔操作することも可能になります。すると利用者の銀行口座番号や暗証番号を取得して犯罪用口座にしてしまう、端末から繋がっている企業のネットワークにウイルスが侵入してしまう、という最悪の事態も考えられます。

フリーWi-Fiを使った犯罪から身を守る方法

では、被害に遭わないためにはどうすれば良いでしょうか。

まずはここまで述べてきたような危険性があることを知った上で、以下のような対策が考えられます。

  • 接続しようとしているフリーWi-Fiの名前をきちんと確認する=店内に掲示されているSSIDを1文字ずつ丁寧に確認しましょう。
  • 安全性の低いフリーWi-Fiは利用しない=鍵マークのついた、保護されているネットワークを利用するようにしましょう。
  • ログイン画面でIDやパスワードを求められた時には「https://」で始まっていることを確認しましょう。
接続先の確認
(出所:NTT東日本BIZ DRIVE「いま企業に求められる情報セキュリティ対策(第7回)便利だけど危険!?「フリーWi-Fi」を安全に使う方法」)
https://business.ntt-east.co.jp/bizdrive/column/post_210.html
  • 正規の保護されたフリーWi-Fiであっても、個人情報の入力は最低限に抑えましょう。住所氏名や銀行口座やクレジットカードなど重要な個人情報は利用を控えるのが良いでしょう。
  • VPN(仮想専用通信網)サービスを利用する
  • セキュリティソフトを導入する

また、気をつけたいのが端末の「自動接続」機能です。
移動中にスマートフォンなどの設定でWi-Fi自動接続がONになりっぱなしだと、時々「野良
Wi-Fi」に接続されます。こうした、誰が設置したのかわからないWi-Fiへの接続は避けたいところです。
そのためには、Wi-Fiを利用しない時は自動接続の設定をOFFにしておくのが良いでしょう。

そして最も難しいのは「悪魔の双子」への対処です。
画面上に全く同じSSID、しかもどちらにも鍵マークがついているという場合は、念のために店などの設置者に確認するのが良いでしょう。
できれば利用を控えたいものです。

サイバー犯罪者はあらゆるところに攻撃口を探しています。
実際、旅行者の4人に1人が海外旅行でフリーWi-Fiを利用している間にハッキング被害に遭っているという統計もあります。*3

自分の身は自分でしっかり守っていきましょう。

この記事を書いた人

清水 沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後TBSに入社、主に報道記者として勤務。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として国内外の各種市場、産業など幅広く担当し、アジア、欧米でも取材活動にあたる。その後人材開発などにも携わりフリー。取材経験や各種統計の分析を元に各種メディア、経済誌・専門紙に寄稿。趣味はサックス演奏と野球観戦。
X(旧Twitter):清水 沙矢香 FaceBook:清水 沙矢香

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参考資料

*1
日経クロステック「SSIDでは見抜けない「悪魔の双子」の偽Wi-Fi、実は危険な自動接続」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02635/110700002/

*2
マイナビニュース セキュリティソフト「Wi-Fiがハッキング・乗っ取りされる手口と対処法を詳しく解説」
https://news.mynavi.jp/securitysoft/wifi-hacking/

*3
NordVPN「4人に1人が休暇移動中にハッキング被害に合っているという事実」
https://kyodonewsprwire.jp/release/202208044809


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そしきLab編集部

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