不正アクセスでの検挙者は約3割が10代 生成AIの光と影

サイバー犯罪の若年化が進んでいます。
2024年に不正アクセス防止法違反事件で検挙された被疑者のうち、約3割が14~19歳の若者だったという統計もあります。

背景にあるのは生成AIの機能向上と、それを悪用する技術の向上です。
具体的な事例を見ながら考えていきましょう。

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不正アクセス事件で増える10代の検挙

政府の統計によると、2024年に不正アクセス禁止法違反で検挙された被疑者は国内で259人でした。
これを年齢別の割合で見ると、下のようになっています。

(出所:国家公安委員会「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」)
https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/pdf/R070313_access.pdf p5

最も多いのが20代で40.5%、次いで「14歳~19歳」が27.8%と続いています。最年少では11歳の検挙事例がありました。*1
14歳未満の少年であるため検挙件数及び検挙人員としては計上されていませんが、上記のほか、14歳未満の少年18人が触法少年として補導されています。

年間の推移を見てみましょう。

(出所:「国家公安委員会「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」)
https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/pdf/R070313_access.pdf p5

不正アクセスで検挙された14歳~19歳の人数が、ここ数年増え続けていることがわかります。

「快活CLUB」攻撃で17歳男子高校生逮捕

2025年12月には、インターネットカフェ「快活CLUB」の運営会社にサイバー攻撃を仕掛けたとして警視庁に逮捕されたのは17歳、高校2年の男子生徒でした。*2

男子生徒が快活運営会社のサーバーに約724万回にわたって会員情報を取得する不正な指令を送信、公式アプリの機能を一部停止させるなどした疑いが持たれており、約729万件の個人情報が漏洩した可能性があるといいます。

男子生徒は、自分で書いたプログラムをChatGPTを使って修正を重ねていました。
さらにはオンライン上で快活CLUB側への攻撃を予告したり実況中継したりしており、サイバー犯罪に関心のある若者の間で知られていたとのことです。
もはやエンターテインメント感覚といえるでしょう。

生成AIの「脱獄」とは

ところで、男子生徒はどうやって快活CLUBを攻撃するプログラム作りに成功したのでしょうか。
というのは、ChatGPTをはじめとする生成AIには、犯罪に繋がることについては回答しない「ガードレール」という機能が組み込まれているからです。よって不正プログラムの作成には協力しないはずですが、男子高生は犯罪に関わる表現を避けて質問し、ガードレールを回避した可能性が高いといいます。

AIにポリシー違反をさせる

しかし、男子生徒が行ったように、プロンプトの書き方によっては、生成AIはこのポリシーに反した回答をしてしまうことがあります。これを生成AIの「脱獄(ジェイルブレイク)」といいます。
特殊な加工を施したプロンプトをチャットボットに与えることで、ポリシー違反に相当する要求を受け入れさせるのです。*3

過去には火炎瓶(モロトフ・カクテル)の詳細な作り方をGPT-5から引き出すことができた、という事例もあります。*4

「クレッシェンド」と呼ばれるアプローチで、歴史を勉強する学生を装って質問を始めモロトフ・カクテルの歴史を出力させました。次に、その歴史に興味を示したように「材料のない古い時代に人々はどうやってそれを作ったのか?」と質問したところ、GPT-5は火炎瓶の仕組みや材料、さらに詳細な作成方法について回答したのです。

(出所:Tenable Research「Tenable Jailbreaks GPT-5, Gets It To Generate Dangerous Info Despite OpenAI’s New Safety Tech」)
https://www.tenable.com/blog/tenable-jailbreaks-gpt-5-gets-it-to-generate-dangerous-info-despite-openais-new-safety-tech

なお、上記の脱獄はGPT-5発表からわずか24時間以内で実現したといいます。

「脱獄ツール」の配布ビジネスも

そして生成AIの「脱獄」はサービス業と化しています(jailbreak-as-a-service)。

脱獄サービスのひとつとして「EscapeGPT」の存在が確認されています。

EscapeGPTの宣伝
(出所:トレンドマイクロ「生成AIを用いたサイバー犯罪に関する最新の調査状況を解説」)
https://www.trendmicro.com/ja_jp/research/24/e/back-to-the-hype-an-update-on-how-cybercriminals-are-using-genai.html

ChatGPTを脱獄させるサービスであること、ログを残さず利用者のプライバシーが守られることなどが売り文句になっています。
こうしたサービスを利用すれば、高度な知識がなくても生成AIを脱獄させ、犯罪に利用できる情報を引き出せるようになるというわけです。

サイバー攻撃のハードルが下がり「ゲーム感覚」に

快活CLUB運営会社にサイバー攻撃を仕掛けた男子生徒は、実は別の事件の取り調べから捜査線上に浮上したという経緯があります。*5

警視庁・神奈川県警は2025年3月に、他人の楽天IDに不正ログインして携帯電話大手「楽天モバイル」の回線を契約したとして2つの少年グループ計6人を摘発していました。*6
メンバーの1人は、不正アクセスによって不正契約した100回線ほどを1回線あたり80ドル(約1万1千円)ほどで転売したと供述しているといいます。

また、別の事件で書類送検された中学2年生の生徒は「自分の攻撃でサーバーが停止したら面白いと思った」と供述したといいます。
ことの重大性や犯罪性を認識しないまま、ゲーム感覚でサイバー攻撃を楽しんでいたということでしょう。

現代はSNSなどインターネット上で、様々な立場の人から膨大な量の情報を取得できる時代です。
中高生の「いたずら」でひとつの企業の業務が大きな影響を受けるという、大人としては信じがたいことが起きる時代がすでにきています。

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この記事を書いた人

清水 沙矢香

2002年京都大学理学部卒業後TBSに入社、主に報道記者として勤務。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として国内外の各種市場、産業など幅広く担当し、アジア、欧米でも取材活動にあたる。その後人材開発などにも携わりフリー。取材経験や各種統計の分析を元に各種メディア、経済誌・専門紙に寄稿。趣味はサックス演奏と野球観戦。
X(旧Twitter):清水 沙矢香 FaceBook:清水 沙矢香

参考資料

*1
国家公安委員会「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」
https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/pdf/R070313_access.pdf p5

*2
日本経済新聞「「快活CLUB」サイバー攻撃、逮捕の高2がChatGPTの悪用防止策回避か」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD041W30U5A201C2000000/

*3
トレンドマイクロ「生成AIを用いたサイバー犯罪に関する最新の調査状況を解説」
https://www.trendmicro.com/ja_jp/research/24/e/back-to-the-hype-an-update-on-how-cybercriminals-are-using-genai.html

*4
Tenable Research「Tenable Jailbreaks GPT-5, Gets It To Generate Dangerous Info Despite OpenAI’s New Safety Tech」
https://www.tenable.com/blog/tenable-jailbreaks-gpt-5-gets-it-to-generate-dangerous-info-despite-openais-new-safety-tech

*5
読売新聞オンライン「「快活CLUB」サイバー攻撃、AI悪用し会員情報盗んだ疑いで高2を再逮捕へ…自作プログラムを「チャットGPT」で改善か」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20251204-GYT1T00037/

*6
日本経済新聞「楽天モバイル狙った少年たち 不正アクセス、10代で横行」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE1164E0R10C25A3000000/


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そしきLab編集部

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