
「夕方になると疲れてふらふら」「週の後半まで気力が続かない」「睡眠をとっても疲れが抜けない」——そう感じている女性は少なくないでしょう。
2025年に実施された調査によると、「疲れている人」の割合は男性で76.9%、女性で80.2%となっており、男性より女性のほうが疲れ気味であるという結果になっています。特に若い世代の疲労状況は深刻で、女性にとって疲労は「あるのが当たり前」になっているのかもしれません*1。

https://www.recovery.or.jp/research/9513/

https://www.recovery.or.jp/research/9513/
このように疲労が慢性化している女性たちにとって、栄養ドリンクは心強い味方です。しかし、種類が多く、商品によって成分が異なるため、体の状態に応じたものを選ぶのはなかなか難しいものです。
そこで本稿では、女性特有の疲れの原因に合わせた栄養ドリンクの選び方を、成分に着目して解説します。摂取時の注意点も併せて紹介しますので、参考にしてください。
なぜ女性は疲れやすいのか
そもそも、なぜ女性は男性に比べて疲れを感じやすいのでしょうか。その理由を、女性を取り巻く環境や体の仕組みから見ていきましょう。
家事・育児などの影響
令和6年版「男女共同参画白書」によると、健康上の問題に対処できている人の割合は、仕事をしている男性に比べて女性のほうが若干少なくなっています*2。
これは、性別役割分担意識が残る社会構造のなかで、家事や育児の負担が依然として女性に偏りやすいことが一因と考えられます。

出所)内閣府男女共同参画局「男女共同参画とは>男女共同参画白書>男女共同参画白書令和6年版>第2節 仕事、家事・育児等と健康課題の両立>特-37図 健康認識、最も気になる症状に十分に対処できているか、心理的なストレスの状況(男女、就業状況別)」*2
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r06/zentai/html/zuhyo/zuhyo00-37.html
実際、小学生以下の子供と同居している正規雇用の女性は、仕事に加えて家事・育児・介護の負担が大きく、自分の体調管理を後回しにする傾向があることが調査結果からはうかがえます*4。
このように、仕事以外の負担が過大になりやすい状況が、女性の疲れやすさにつながっていると考えられます。

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r06/zentai/html/zuhyo/zuhyo00-40.html
女性ホルモンの影響
女性は、ライフステージごとに健康課題が大きく変化します。
20代〜30代では、月経不調により8割以上の人が生活に何らかの支障をきたしています*5。
月経不調の影響は年齢とともに小さくなりますが、管理職への登用や介護の負担が重なる50代前後になると、更年期にともなう症状で悩まされる人が増えてきます。

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r06/zentai/html/zuhyo/zuhyo00-51.html
このように、日々の家事や育児・介護などによる慢性的な疲労と、月経や更年期といった女性ホルモンの変動にともなう不調が相まって、女性は体調の揺らぎや疲れを感じやすい状況にあるといえます。
貧血の影響
女性は月経により血液中の鉄分が失われやすく、男性よりも鉄欠乏性貧血になるリスクが高いといえます。また、貯蔵鉄(体内に蓄積されている予備の鉄分)が不足する「隠れ貧血」になっている人も少なくありません。
貧血になると酸素が十分に供給できなくなるため、疲れや息切れ、めまいなどの症状が生じやすくなります。また、鉄が不足すると神経伝達物質の合成や筋肉で重要な役割を果たす成分の生成にも影響が生じるため、精神的に不安定になったり、体の不調が出やすくなったりすることもあります*6。
なお、鉄欠乏性貧血は、医療費を増大させるだけでなく、生活の質(QOL:Quality of Life)や生産性を低下させることから、日本全体で年間1兆円以上もの経済的損失につながっている、という報告もあります*7。
企業においても、プレゼンティーイズムや欠勤の増加といった形で同様の損失が生じていると考えるべきでしょう。
食事の影響
食事の量が少なかったり内容が偏っていたりすると、エネルギーや栄養が不足して疲れやすくなります。
特に、水溶性ビタミン(ビタミンB群やビタミンC)は体内に貯めておけないため、毎日必要量を摂取しなければなりません。また、筋肉やホルモン、免疫細胞の材料であるたんぱく質が不足すると、体力の低下や回復力の落ち込みにつながるため、疲労が慢性化しやすくなります。
たんぱく質・ビタミンB群(一部)・ビタミンC・鉄の食事摂取基準(1日推奨量)

出所)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書*8より筆者作成
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf
実際の栄養摂取量(1日量中央値)

出所)厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査報告」*9より筆者作成
https://www.mhlw.go.jp/content/001675217.pdf
働く女性が栄養ドリンクを選ぶときに注目したい成分と注意点
ここからは、疲れのタイプ別に意識すべき成分と、栄養ドリンクを摂取する際の注意点を解説します。
【疲れのタイプ別】注目成分ガイド
心身のストレスによる疲労
ビタミンB1・B2・ナイアシン(ビタミンBの一種)は、エネルギー代謝を支える栄養素です。また、ビタミンB6には、たんぱく質の代謝を助ける働きがあります*10。
これらが不足すると、エネルギーがうまく産生されず、疲労感が抜けにくくなるため、毎日必要量を確保することが大切です。
タウリンも注目すべき成分の一つです。肝臓の働きを整える作用が期待できることから、代謝をスムーズにして疲労の軽減に役立つと考えられています*11。
メンタルの不調が気になる場合は、ビタミンB群に加えてビタミンCや鉄分の摂取も意識しましょう。ビタミンCは、副腎(ストレスと関係の深い臓器)の機能を維持するために欠かせない栄養素です*12。
鉄は神経伝達物質の合成・作用に関与する*6ため、貧血がない場合でも不足しないよう注意が必要です。
ホルモン変化にともなう疲労
ローヤルゼリーは、月経前症候群や更年期の症状の改善に役立つ可能性が海外の研究で示されています*13。
イソフラボンはエストロゲン(女性ホルモンの一種)に似た作用が期待される成分ですが、報告されている研究結果にはばらつきがあります*13。
これは、体質やホルモン状態などの個人差が影響しているためと考えられます。したがって、イソフラボンについては、作用のあらわれ方に差があることを理解したうえで取り入れるとよいでしょう。
なお、イソフラボンは、疲労回復を目的とする栄養ドリンクではなく、美容を目的とした製品に配合されていることが多いです。
貧血にともなう疲労
貧血や隠れ貧血が気になる場合は、鉄分に加えて、ビタミンB6・B12・葉酸の摂取も重要です。これらはヘモグロビン(赤血球に含まれるたんぱく質)や赤血球の生成に関わる栄養素で、不足すると赤血球がうまく作られず、疲労感が続くことがあります。
ちなみに、葉酸は胎児の神経管閉鎖障害などの予防にも役立つため、妊娠を希望している方にもおすすめです。
エネルギー・栄養不足による疲労
忙しくて食事を十分に摂れないなど、疲労の原因がエネルギーや栄養不足にあると考えられる場合は、アミノ酸とビタミンB群を含む栄養ドリンクを選びましょう。
アミノ酸は、たんぱく質のもととなる重要な栄養素です。代謝をスムーズにするビタミンB群を一緒に摂れば、効率よく疲労をやわらげられます。
| 疲れのタイプ | 注目成分 | おもな働き | 補足 |
| 心身のストレスによる疲労 | ビタミンB1・B2・ナイアシン | エネルギー代謝を助け、疲労感の軽減に役立つ | 不足するとエネルギー産生が滞り、疲れが抜けにくくなる |
| ビタミンB6 | たんぱく質の代謝を助ける | 代謝がスムーズになり、疲労感の軽減に役立つ | |
| タウリン | 肝機能をサポートし、代謝を安定させる | 肝臓の働きが整うと、疲労が回復しやすい | |
| ビタミンC | 副腎の機能維持に必要 | ストレスが強いと消費量が増える | |
| 鉄 | 神経伝達物質の合成・作用に関与 | 不足するとメンタル不調につながる | |
| ホルモン変化にともなう疲労 | ローヤルゼリー | 月経前症候群・更年期症状の改善に役立つ可能性 | 海外研究で報告あり |
| イソフラボン | エストロゲン様作用が期待される | 効果には個人差がある/美容系製品に多い | |
| 貧血にともなう疲労 | 鉄 | 酸素を運搬するヘモグロビンの材料となる | 不足すると疲労・息切れなど |
| ビタミンB6 | ヘモグロビン合成に関与 | 鉄だけでは赤血球が作れないため重要 | |
| ビタミンB12 | 赤血球の成熟を助ける | 不足すると巨赤芽球性貧血の原因に | |
| 葉酸 | 赤血球の生成に必要 | 妊娠希望者には特に重要(神経管閉鎖障害の予防) | |
| エネルギー・栄養不足による疲労 | アミノ酸 | たんぱく質の材料で、体力維持に不可欠 | 食事量が少ないと不足しやすい |
| ビタミンB群 | 代謝をスムーズにし、エネルギー産生を助ける | アミノ酸と一緒に摂るとよい |
栄養ドリンクを摂るときの注意点
夕方以降に飲む場合はノンカフェインタイプを選ぶ
カフェインには、眠気を抑えたり疲労を感じにくくしたりする作用があることが知られています。
しかし、一般的に覚醒作用が4~6時間ほど続くため*14,15、就寝前に飲むと寝付きが悪くなったり、睡眠の質が低下したりすることがあります。
カフェインの作用持続時間には個人差があるため、夕方以降に栄養ドリンクを飲む場合は、念のためノンカフェインタイプを選ぶようにしましょう。
用法用量を守る
栄養ドリンクは、不足しがちな栄養素やミネラルなどを補うためのものですが、余分に摂取したところで「上乗せ効果」は期待できません。
飲みすぎると、体調不良をまねいたり、糖分の摂り過ぎにつながったりするおそれがあるため、必ず用法・用量を守ってください。
同じ日に複数の製品を併用する場合も、過剰摂取にならないよう注意が必要です。
根本的な対策を忘れない
栄養ドリンクは、一時的に疲労をやわらげる助けにはなりますが、疲れの原因そのものを解消するわけではありません。
食事・睡眠・休養といった基本的な体調管理を優先し、そのうえで補助的に活用するようにしましょう。
まとめ|栄養ドリンクは疲れのタイプに応じた成分を意識して選ぶことが大切
働く女性の疲労は、日々の忙しさに加え、ビタミン不足・ホルモンの変動・鉄不足など複数の要因が重なっていることが少なくありません。栄養ドリンクは手軽で即効性のある補助手段ですが、自分の疲れのタイプに合った成分を意識して選ぶと、より効果を実感しやすくなります。
ただし、疲労回復の土台となるのは、毎日の食事と十分な睡眠、そして適切な休養です。不調が続く場合は無理をせず、早めに医療機関を受診しましょう。
この記事を書いた人

中西 真理
公立大学薬学部卒。薬剤師。薬学修士。医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。
参考資料
*1
出所)一般社団法人日本リカバリー協会「調査データ>日本の疲労状況2025」
https://www.recovery.or.jp/research/9513/
*2
出所)内閣府男女共同参画局「男女共同参画とは>男女共同参画白書>男女共同参画白書令和6年版>第2節 仕事、家事・育児等と健康課題の両立>特-37図 健康認識、最も気になる症状に十分に対処できているか、心理的なストレスの状況(男女、就業状況別)」
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r06/zentai/html/zuhyo/zuhyo00-37.html
*3
出所)内閣府男女共同参画局「男女共同参画とは>男女共同参画白書>男女共同参画白書令和6年版>第2節 仕事、家事・育児等と健康課題の両立>特-36図 最も気になる症状(男女、年齢階級別)」
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r06/zentai/html/zuhyo/zuhyo00-36.html
*4
出所)内閣府男女共同参画局「男女共同参画とは>男女共同参画白書>男女共同参画白書令和6年版>第2節 仕事、家事・育児等と健康課題の両立>特-40図 最も気になる症状に十分に対処できていない理由(女性就業状況別、正規雇用労働者男女別・小学生以下の子供と同居している者)」
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r06/zentai/html/zuhyo/zuhyo00-40.html
*5
出所)内閣府男女共同参画局「男女共同参画とは>男女共同参画白書>男女共同参画白書令和6年版>第2節 仕事、家事・育児等と健康課題の両立>特-51図 月経不調の生活(仕事や家事・育児・介護)への支障の程度(年齢階級別・月経のある女性)」
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r06/zentai/html/zuhyo/zuhyo00-51.html
*6
出所)東京都 働く女性のウェルネス向上委員会「専門家コラム>女性の不定愁訴、メンタル不調は鉄欠乏・隠れ貧血を疑って!鉄の補充で元気になる人が続出」
https://women-wellness.metro.tokyo.lg.jp/columns/26/
*7
出所)Prevalence, treatment status, medical costs, quality of life, and productivity loss in Japanese adult patients with anemia: a real-world database study. J Med Econ. 2023 Jan-Dec;26(1):1386-1397.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37849298/
*8
出所)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書P.103,234-242,345
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf
*9
出所)厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査報告」P.58-59
https://www.mhlw.go.jp/content/001675217.pdf
*10
出所)厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット)>健康用語辞典>ビタミン」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-027
*11
出所)大正健康ナビ「成分ガイド>タウリン」
https://www.taisho-kenko.com/ingredient/9/
*12
出所)須藤紀子,他「ストレス負荷時の食事摂取量の変化と必要な栄養素-被災者への栄養・食生活支援のために-」日本栄養士会雑誌.2010,5(4),p. 349~355
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjda/53/4/53_4_349/_pdf/-char/en
*13
出所)国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「「健康食品」の安全性・有効性情報>素材情報データベース>有効性データベース」ローヤルゼリーおよびイソフラボン
https://hfnet.nibn.go.jp/material-infodb/validity-infodb/
*14
出所)アリナミン製薬「疲れの情報局>カフェインの効果を解説!効力時間やデメリットについても紹介」
https://alinamin.jp/tired/caffeine-effect.html
*15
出所)大正製薬製品情報サイト「大正製薬お役立ちコラム>疲れに効くコラム>カフェインの効果」
https://brand.taisho.co.jp/contents/tsukare/96/
組織力の強化や組織文化が根付くオフィス作りをお考えなら、ウチダシステムズにご相談ください。
企画コンサルティングから設計、構築、運用までトータルな製品・サービス・システムをご提供しています。お客様の課題に寄り添った提案が得意です。

