
「上司との飲み会には、できれば行きたくない」
そういう若手がいる。
マイナビが2026年に行った調査では、入社1年目の22〜25歳303人のうち、26.1%が上司を含む飲み会や懇親会に「できるだけ参加したくない」と回答している。
この気持ちは、よくわかる。
特に私が新人だった20年ほど前は、飲み会で若手はよくこき使われた。
酌をして回ったり、上司の武勇伝を聞くのも仕事だった。
まあ、一種の接待だったと考えればよいのだが、業務時間外にもずっと気を張っていないといけない飲み会は、大変だ。
実際、リクルートの調査でも、職場の飲み会に対するイメージとして、気を遣ってくつろげないという回答と、私生活の時間が削られるという回答が多い。
大人数で入れる居酒屋の料理はおいしくないものが多かったし、飲み会には会費が必要であることもしばしば。
お金を払ってまで、なぜ上司の機嫌を取らなくてはいけないのかと疑問に思ったものだった。
ただ、正直なところ今は、上司がなぜ、飲み会へ来いと言っていたのかはわかる。
現実的には、サラリーマンの直接のお客さんは、実際には「顧客」ではなく「上司」なので、上司を接待することは、顧客を接待することとほぼ同じ意味だ。
金を稼ぐためだから、黙ってやっとけ、という話だと割り切れれば、当時もそれほどイヤではなかったかもしれない。
でも、実は上司と飲みたい人も少なくない
だから、当時もそうだったが、上司との飲み会を、交流の機会として期待している人も結構いる。
ALL DIFFERENTの行った「社内コミュニケーションに関する若手社員意識調査」では、上司や先輩と交流を深めたい手段として、38.3%が平日の飲み会を挙げている。
もちろん、全員ではないが、社内営業が得意な人もいるのだ。
そうした人物は上司から声がかかることを待っているし、仕事がいまいちであっても、上司と仲が良いことで出世することもある。
(もちろん、それが良いかどうかは状況次第だ)
したがって、こうした状況は上司からすると、個々のさじ加減が結構難しい。
「よく一緒に飲みに行く」という状況だけで、えこひいきだとうわさされてしまうこともあるからだ。
仕事はまじめだが、上司とのコミュニケーションが低い人物はどうしたって、評価はその分低くなるから、余計に話がややこしくなる。
誘われたくない人もいれば、誘ってほしい人もいて、それは表面的にわかりにくい。
飲み会で嬉々として上司と盛り上がっていた人が、裏では「飲み会なんて無駄だろ」と言っていたりするのを私は数多くの職場で見てきた。
上司も、部下に気を遣っている
だからわかってほしい。
実は、飲み会で緊張しているのは、部下だけではない。
今は上司も部下たちの反応を恐ろしく気にしている。
大鵬薬品が2024年に、普段お酒を飲み、職場の飲み会に参加している600人を対象に行った調査がある。
部下が上司に失礼がないかを気にしている一方で、上司は部下に対しては、相手が楽しめているか、ということを気にしているのだ。
また、冒頭のマイナビの調査では、Y世代上司に、ハラスメントを意識して控えた行動を聞いたところ、
「プライベートな会話を控えたことがある」
「飲み会や懇親会を控えたことがある」
「叱咤激励を控えたことがある」
と、約7割の上司がプライベートな会話や飲み会などの誘いを控えたことがあるのだ。
休日の話は、どこまで聞いてよいのか迷う。
自分の経験が、自慢話に聞こえないかと考える。
部下が黙っていれば、今度は退屈させているのではないかと気になる。
部下からは楽しそうに見える上司も、その間ずっと、話題を探して苦悩しているかもしれい。
上司は部下を評価し、仕事を指示する側である。
だから、部下からは強い立場に見える。
しかし、権限は人間関係を保証しない。
仕事を頼むことはできる。
しかし、「自分との飲み会を楽しめ」と命令することはできない。
むしろ、人望を得るか失うかという点では、飲み会は上司のほうが勝負だろう。
飲み会で上司が、店員やタクシーの運転手をぞんざいに扱ったことのほうが、その人との今後の付き合いを考える材料になるからだ。
友人と飲むときと、基本は変わらない
上司と飲むことになったら、過剰に気を遣う必要はない。
最近の30歳前後の管理職であれば、ソフトドリンクを頼むことや、部下がお酌をしないことを否定的に捉える人はほとんどいないだろう。
いや、40代、50代の管理職でもそんな人はもはや、少数派だ。
だから、上司と飲むときにも、友人や知人と飲むときと同じ、基本的な気遣いを大事にすればよいのだと思う。
上司も部下も、相手の話を否定せず、飲めない人に飲ませず、ごちそうになったら、お礼を言う。そして、相手の話を、すぐに評価しない
例えば、だれかが「休日は、ずっとゲームをしていました」と話したとする。
そこで、「その時間を勉強に使ったら」と言えば、もう気楽な雑談ではなくなってしまう。
そもそも友だちにそんなことをしていたら、誰も友達になってくれないだろう。
今は上司だって、気の置けない部下と飲みたいと願っている。
過剰に上司との飲み会を嫌う必要はない。
逆に上司だって、飲み会で上司に阿る部下を警戒する時代なのだから。

この記事を書いた人
安達 裕哉
生成AI活用支援のワークワンダースCEO(https://workwonders.jp)|元Deloitteのコンサルタント|オウンドメディア支援のティネクト代表(http://tinect.jp)|著書「頭のいい人が話す前に考えていること」100万部(2026年9月末時点)(https://amzn.to/49Tivyi)
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◯note:(生成AI時代の「ライターとマーケティング」の、実践的教科書)
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