サービスオフィス16ブランド、どう選ぶか なぜ迷う?自社に合う3〜5つへ絞る早見表と予想される効果は?

サービスオフィスを検討して、公式サイトを開く。「約600拠点」「都心一等地」「1名から」が並び、どれも良さそうに見えて、どれが自社に合うのか分からなくなる。検討の現場で起きることは、たいてい同じだ。

迷子になるのは、拠点数と料金の額面から比べ始めるからだ。先に自社の状況を決めれば、16ブランドは3〜5つまで絞れる。

前回は、なぜいまサービスオフィスが選ばれ始めたのかを市場データで見た。今回はその続きで、実際にどう選ぶか。専業オペレーター8つ、ディベロッパー系8つの公式サイトを2026年8月4日にすべて開き、各社のIR資料と突き合わせた。あわせて、サービスオフィスを日常的に扱う不動産仲介の現場にもヒアリングし、公開情報だけでは見えない実務の感覚を補っている。

16ブランドの早見表

各社公式サイト・IR資料・仲介実務へのヒアリングをもとに筆者作成

結論を1枚にまとめた。縦に16ブランド、横に運営会社・実勢の席単価・最短契約期間・規模・特徴。並べたのは、専有の個室を構えられるサービスオフィスである。立ち寄り型のシェアオフィス(東急のNewWork、野村のH¹Tなど)は業態が別なので、後半の分散サテライトの章で扱う。オフィスを探している方は自社の状況と照らして、仲介の方はお客様との打ち合わせに、このまま使ってほしい。

読み方の注意は3つある。

  • 席単価は、公式サイトの定価ではなく、仲介の現場で実際に提示された金額を1席あたりの月額に換算した実勢値である(丸の内・東京駅エリア中心、2026年8月時点の提示例。税込・税抜は提示のまま)。サービスオフィスの費用は、この「1席あたりいくらか」で見るのが実務の標準だ。同じブランドでも拠点・区画・募集状況で金額は変わるので、目安として見る。空欄は提示例がなかったという意味である。※印の2ブランド(THE HUB・天翔オフィス)は提示例がなく、公式サイトに掲載された料金(共益費・管理費込、2026年9月時点)を席単価に換算して補った
  • 規模も募集状況で変わる。区画は埋まれば消え、空けば出てくるので、2026年8月時点の目安である
  • 拠点数の列は、あえて置いていない。自社運営と提携ネットワークの合算値が流通していて、そのままでは比べられないからだ(理由は後半で書く)

最短契約の空欄は「公式サイトで確認できなかった」という意味である。隠しているというより、物件ごとに条件を組むのがこの業態の実態で、空欄は問い合わせれば埋まる。

実勢の席単価の幅は、1席8万円台から28万円台まで、3倍以上ある。この並びからは、定価表に出てこないことが2つ読める。

  • 同じ会社の中で、3倍以上違う。リージャスの席単価を8.36万〜28.23万円と幅で書いたのは、低価格ラインのOpenofficeからハイエンドのSignatureまで、5ブランドのどれか・どの拠点かで答えが変わるからだ
  • 同じビルの中でも、窓で変わる。同じビルの同じ6名用区画でも、窓側は15.2万円、通路側は12.2万円という提示例があった。「窓の有無・区画の向き」という定価表にない条件が、2割の差になって表れる

だから席単価は、ブランド名では決め打ちできない。早見表で候補を3〜5つに絞ったら、「エリア×人数×窓」の同じ条件で見積もりを取る。それで初めて、横に並べて比べられる。

そのうえで、仲介の現場から聞いた実務の感覚を4つ足しておく。公開情報ではないが、検討の初動で判断の助けになる。

  • 契約の重さには傾向がある。ディベロッパー系は6ヵ月からの契約が多く、施設利用契約と定期建物賃貸借契約が混在する。専業オペレーターは1ヵ月単位・施設利用契約が基本
  • 法人登記は、専有区画を契約するならどのブランドでも基本的に対応できる。逆に、共用部だけを使うシェア型のプランでは登記できないことが多い。分かれ目はブランドではなく契約の型だ
  • 専用回線は、複数人の区画なら追加料金でほぼ対応できる。公式サイトに明記があるのはH¹OとWAWだけだが、実務上の壁は低い。1席区画だけは要問い合わせ
  • 実務で分かれるのは、受付対応が「有人か、無人か」。問い合わせの入り口で秘書サービスまで求められることは、ほとんどない。一方で、来客をどう迎えるかを気にするお客様は一定いる。受付を置かない型(天翔オフィスや、リージャス系列のOpenofficeなど)は、来客対応を自社でやる代わりに費用が抑えられている

ここから、よくある5つの状況ごとに候補を絞っていく。自社に当てはまる章だけ読めばいい。

1〜5名で登記して事務所を構えたい

仲介実務へのヒアリングをもとに筆者作成

士業の独立、スタートアップの設立、地方企業の東京連絡所。この規模はほぼすべてのブランドが受けられるので、絞る軸は登記ではなく費用帯になる。仲介の現場では、まず2つの帯に分けて案内される。

費用を抑える帯(受付を置かない型が中心)

  • 天翔オフィス大手町竹橋の1人用ブースが29,700円〜(キャンペーン適用時。通常36,300円、共益費込)。「退去時も費用が発生しません」と明記する独立系
  • リージャス系列のOpenoffice:三菱地所グループ5ブランドのうちの低価格ライン。61施設(三菱地所Data Book
  • THE HUB:ギグワークス100%子会社のnexが運営。1名〜。東京駅周辺では京橋の1〜2名用個室が月74,250円(管理費込)と、公式サイトに料金まで開示されている

有人受付・サービス付きの帯

  • ビジネスエアポート:アドレス会員で登記可。「敷金や初期インフラ費用不要」「契約審査の保証人不要」。DESK 104,500円〜
  • SENQ:ルーム/スペース会員は登記無料。コワーキング22,000円/月・名(税込)
  • ワークスタイリングFLEX:85,000円/席・月〜(税抜)。全国拠点の従量利用権と有人管理が付く
  • H¹O:登記は「ご入居者様に限り可能」。契約は24ヵ月が基本なので、腰を据える前提

月3万円弱の無人型から、8万円台の有人・サービス付きまで。来客の多い業態なら受付が看板になり、作業拠点と登記先が欲しいだけなら無人型で十分だ。費用差は、そのままサービスの差である。

10〜30名の仮拠点を数ヶ月だけ借りたい

各社公式サイト・仲介実務へのヒアリングをもとに筆者作成

前回の導入事例で見た型だ。エムエム建材は本社リニューアル工事中の会議・採用面接に使い延べ450人以上が利用、Faciloは1ヵ月で移転を完了させた。ここで見る軸は2つ。契約をどこまで短く・軽くできるかと、人数分の区画があるかである。

この用途で第一候補になるのは、専業オペレーターだ。1ヵ月単位・施設利用契約が基本で、数ヶ月で出る前提の使い方と契約の型が合っている。ディベロッパー系は6ヵ月からが多いなかで、ワークスタイリングFLEXの1ヵ月〜は例外的に短い。月単位で借りられる拠点の例を挙げる。

規模のほうは、30名前後にはっきりした崖がある。

  • 〜20名:サーブコープがFAQで「20人またはそれ以上の人数でのご利用にも対応可能」、THE HUBが検索条件に「20名以上」、xLINKが大手町で最小2席〜最大22席の全25区画、TECが渋谷に10〜20名用個室
  • 30名前後:H¹O赤坂に191.86㎡(58.03坪)・登録可能人数29名の区画。GROWTH虎ノ門は約25坪の個室を連結して50坪相当に
  • それ以上:WeWorkが「1名~1,000名+」「フロア専有オフィス」と明示。面積で確認できた最大は58.03坪で、100坪以上の区画を公式サイトで示すブランドは16のうち1つもない

ここに挙げた区画や人数は、募集状況で入れ替わる目安である。そして30名を超えたら、公開情報での比較はそこで終わり、問い合わせに進むしかない。なお前回見たCBREの試算では、借りるか作るかの損益分岐は3年程度だった。数ヶ月から2年のつなぎ利用なら、迷わず借りる側である。

日本法人の立ち上げ拠点を東京駅周辺に構えたい

各社公式サイト・仲介実務へのヒアリングをもとに筆者作成

前回の導入事例では、FitesaCNC JapanとMeinhardt Japanが日本法人設立を機にサービスオフィスを選んでいた。この状況で決め手になるのは、有人受付・秘書・言語対応に加えて、高級感と、東京駅・丸の内エリアの立地だ。判断の場面で問われるのは、本国の役員が来日したときに、そのまま案内できる場所かどうかである。

  • リージャスのSignature:三菱地所グループのハイエンドライン。9施設(三菱地所Data Book
  • The Executive Centre:アジア圏本拠の外資系ハイエンド。渋谷に10〜20名用個室
  • サーブコープ:「バイリンガル秘書サービス」「専任ITサポートチーム」を明記。レンタルオフィス10万円〜
  • xLINK:丸の内・大手町に集中する三菱地所直営。東京駅周辺の看板が要るならここ

なお、TEC・Compass Offices・JUSTCOの3社は日本語サイトに日本法人名の記載がないが、登記上はそれぞれディ・エグゼクティブ・センター・ジャパン株式会社Compass Offices Japan株式会社JustCo Japan株式会社が存在する(経済産業省gBizINFO)。契約主体を確認したいときは、この登記名で当たればいい。

営業・出張で使う分散サテライト

各社公式サイト・三菱地所Data Book・gBizINFOをもとに筆者作成

4つ目の状況は、決まった席ではなく「立ち寄れる場所の網」が欲しい場合だ。使い方は具体的で、外回りの営業が商談の合間に資料を直す、出張者が客先訪問の前後に作業する、在宅と出社の中間に寄る場所を置く——このどれかである。候補は3つのネットワークに絞れる。

  • NewWork:定額制35,000円/月・ライセンス(税別)、従量制770円/時間(税別・基本料金なし)
  • ワークスタイリングSHARE:10分単位の従量利用。FLEX契約者は追加なしで全国拠点を使える
  • H¹T:561店舗(提携店含む)。STATION WORKとの相互利用が2026年2月に始まった

この3つは、個室を構えるサービスオフィスではなく、立ち寄り型のシェアオフィスのネットワークである。「網」が欲しいこの用途では、この3つが同じ土俵に載る。

選ぶ基準は総拠点数ではない。営業先のエリア、出張の行き先、社員の住む沿線——自社の人の動きと、拠点マップが重なっているかである。3つとも駅ナカ・駅近ブースを提携で束ねたネットワークで、同じ施設が複数ブランドの拠点数に数えられている(次章)。数の大小より地図の重なりを見る。料金モデルにも差がある。毎日使う人が多いなら定額、週1〜2回なら従量が安い。

出島・新規事業チームの拠点

各社公式サイトをもとに筆者作成

本体から切り離したチームを外に置く使い方は、実務では2つに分かれる。外の刺激が欲しいのか、本体の看板のまま分室が欲しいのか。

スタートアップや共創の隣に置くなら——

  • GROWTH:「シード・アーリーステージからミドル・レイターステージまでのスタートアップ企業」向けと明示。GLOBIS・ANOBAKA・UntroD Capital Japanと連携
  • SENQ:「多様な業界から日本を動かす先駆者が集まり、オープンイノベーションを加速させる協業と共創の場」
  • WeWork:国内30拠点以上の共用席を使うオールアクセス型。拠点をまたぐコミュニティがある

大手企業のプロジェクト分室なら——

VCや先駆者と物理的に隣り合うことに価値を置くか、取引先への近さと本体同等の管理水準を取るか。ここでも先に決めるのは場所ではなく目的である。

拠点数はそのままでは比べられない

各社公式サイトをもとに筆者作成

早見表から拠点数の列を外した理由を書いておく。公式サイトに並ぶ数字は、そのままでは比較に使えないからだ。

三井不動産の2026年3月期 決算ハイライトには「拠点数:全国596(WORKSTYLING113拠点、STATION BOOTH/DESKとの提携483拠点)」とある。自社運営は113、残りはJR東日本の駅ナカブースとの提携である。野村不動産のH¹T 561店舗も、リリースを見ると直営153+BOX17+STATION WORK提携250+地方提携という構成だ。東急のNewWork(シェアオフィス)はIRでは直営145施設だが、公式サイトを数えると提携個室ブース726を含む1,005になる(2026年8月時点の実測)。

しかも、同じ施設が複数ブランドの数字に入る。CocoDeskはZXYの提携枠にもNewWorkの105拠点にも計上され、京急RoomUsの一部拠点はZXY・NewWork・H¹Tの3つに載る。相互利用のネットワークを組む以上、構造上そうなる。どこかが水増ししているという話ではなく、数え方の問題だ。極めつけはSTATION WORKで、三井のIRでは483拠点、野村のリリースでは250拠点と、参照する側で2倍違う。運営主体のJR東日本ビルディングは総数を公表していない。

実務での読み方は2つだけである。自社運営と提携を分けて数える。個室を借りられる拠点と、立ち寄れるだけの拠点を分ける。この2つを聞けば、拠点数は使える道具になる。

問い合わせ時に確認する5項目

各社IR資料・公式サイトをもとに筆者作成

最後に、どの状況でも共通する詰めの部分。早見表の空欄にあたる5項目は、16ブランドのどこを見ても事前には分からない。だから最初の問い合わせで全部聞く。

1. 契約形態 ── 施設利用契約か、定期建物賃貸借契約か。稟議の通し方も解約条件も会計処理も変わる。公式に明記するのはSENQH¹Oだけで、両者とも「物件・プランによって両方ありうる」と書く。ディベロッパー系では特に混在しやすい

2. 契約期間と中途解約の条件 ── 最短、予告期間、違約金。公開している6ブランドの幅は1ヵ月から24ヵ月まで20倍以上ある

3. 原状回復の扱い ── 退去時の負担は、利用年数や契約形態に応じて「原状回復工事」か「クリーニング」かの2択になる。原状回復工事なら通常のオフィスと同じで床・壁・天井の張替えまで、クリーニングなら張替えなしで済むぶん費用は軽い。仲介の現場によれば、サービスオフィスの退去はクリーニングで済む比率のほうが高い(セットアップオフィスと同様だ)。公式サイトの書き方も、H¹Oの「解約時には現状復旧費用が発生します」から天翔オフィスの「退去時も費用が発生しません」まで幅があるので、自社がどちらの型になるかを契約前に確認する

4. 専用回線を引けるか ── 明記はH¹OとWAWの2ブランドだが、複数人の区画なら追加料金で対応できることが多い。1席区画は個別確認

5. 想定人数の区画があるか ── 30名を超えるなら必須

回答の早さと具体性そのものが、その事業者が法人利用にどれだけ慣れているかを示す。セキュリティも同じ枠で、共同利用型オフィス等のセキュリティ認証プログラムの公表はワークスタイリングの1ブランドだった。個人情報を扱う業務を持ち込むなら、ここも最初の問い合わせに足しておく。

まとめ

選ぶ手順は3つである。自社の状況を決める。早見表で候補を3〜5つに絞る。最初の問い合わせで5項目を確認する。

拠点数と料金の額面から入ると、16ブランドは比べられずに迷子になる。状況から入れば、候補は一気に減り、残った差は「聞けば分かること」だけになる。

企業がその場所を選ぶ理由は、条件表の比較だけではない。「この期間、この場所にいる」という判断そのものが、社員にも取引先にも意味を持つ。所有でも賃借でもなく、必要な期間だけその場所にいるという三つ目の持ち方が定着しつつあるいま、選び方の順序を持っているかどうかが、そのまま調達の速さになる。

この記事を書いた人

吉田 学

オフィスづくりの現場に12年。起業直後のマンションの一室から4,000坪超の本社移転まで、100件を超えるプロジェクトで経営者や総務・人事の方々と対話してきました。その経験を物差しに、公開情報から企業の「場づくり」の意図を読み解きます。

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