基礎からわかる!オフィス移転のスケジュールと押さえるべきポイント

オフィス移転を考えていても、社内にノウハウがなくてなにからすべきかわからない……というお悩みをよく耳にします。そこで、オフィス移転のプロであるウチダシステムズが、オフィス移転の流れ・スケジュールや、やるべきこと、ポイント・コツなどをまとめてご紹介します。

オフィス移転のスケジュール

オフィス移転は、オフィスの規模が大きいほどやることも増え、時間がかかります。オフィスの規模や業務内容などにより異なりますが、8ヶ月ほどかかることを想定しておきましょう。

オフィス移転の流れの中で、とくに大切なのはフェーズ1の基本計画と、フェーズ2の基本設計の部分です。「なぜオフィス移転が必要なのか」「新しいオフィスのコンセプトとは」という軸となる部分をしっかり決めておかなければ、スケジュールの後半で「やっぱりこうじゃなかった」と仕様変更を迫られ移転が延びたり、移転したあとも使いにくいオフィスになってしまったりします。

また、各種申請書類の届け出や工事などの専門的な作業については、自社内で完結させるのは難しいものです。とくに大規模なオフィス移転プロジェクトでは、一部または全体を外部業者に依頼することが一般的です。

オフィス移転のスケジュール詳細

オフィス移転をはじめて行う場合、具体的な工程がわからないという方も多いはずです。オフィス移転のフェーズごとにどんな工程が必要になるのかをご説明します。

【フェーズ1】基本計画(7~8ヶ月前)

推奨期間:2〜3ヶ月

まず、オフィス移転の基礎となる計画の策定を行います。ここでは、現状のステータスと、目指す新オフィスのコンセプトを決め、社内体制を整え、スケジュールを組みます。

全フェーズの中で最も重要な工程であり、この基本計画が万全でなければ、後のフェーズで課題が発生しがちです。

  1. 現状確認:現オフィスの現状調査や契約条件の確認
  2. コンセプト検討:新オフィスで目指す姿や方向性の検討
  3. 与件・予算検討:必要入居人数や個室要件、工事などにかかる費用の算出
  4. ビル選定:物件情報の収集、比較検討、内覧、契約締結
  5. スケジュール検討:移転スケジュールの検討
  6. プロジェクト体制検討:移転に向けた社内体制の検討

【フェーズ2】基本設計(5~6ヶ月前)

推奨期間:2〜3ヶ月

オフィス移転の基礎計画が決まったら、次にオフィスレイアウトを検討します。オフィスのゾーニングを計画し、どんな設備が必要になるのか、またそのための費用はどれくらいかかるのかを算出していきます。

ウチダシステムズでは、基本計画のゴールを間仕切(壁)の位置決定としています。

  1. 与件再確認:ビル選定時に定めた与件を再度確認し、物件に合わせた方針決めを行う
  2. ゾーニング計画:執務室や会議室、倉庫などの大まかなエリア配置を検討
  3. レイアウト計画:ゾーニング内の座席や家具の配置を検討 間仕切ラインを決定する
  4. 設備計画:ネットワークや電話、空調や防災などの設備の計画
  5. コスト算出:工事の概算コストを算出

【フェーズ3】実施設計(3~4ヶ月前)

推奨期間:2ヶ月

フェーズ2の基本設計で決めた内容を元に、各種工事の詳細な設計をします。発注可能な状態まで、すべての仕様を決定していきます。

  1. レイアウト決定:座席配置までの詳細なレイアウトを確定
  2. 品番・仕様決定:家具や内装材、設備の仕様を品番まで確定
  3. 施工図作成・届出:工事に向けた施工図などの作成と、ビル・官公庁などへの申請
  4. コスト調整:発注に向けた最終コストの調整
  5. 工事業者調整:工事の詳細スケジュールと業者間での取り合いを確認

【フェーズ4】準備実施(1~2ヶ月前)

推奨期間:2〜3ヶ月

工事・引っ越しの準備から実施までを行います。社内への周知を漏れなく行い、協力を仰ぎます。

  1. 引越準備:アドレス図の作成、説明会、断捨離、梱包作業
  2. 運用ルール検討:新オフィスの運用ルールの定義
  3. 届出・手続き:ビルや官公庁などへの申請、住所変更に伴う名刺やホームページの改修
  4. 工事・納品:施工図に合わせて工事を実施し、家具や備品の納品に立ち会う
  5. 検査:工事が正しく行われているかの内容確認

【フェーズ5】運用開始(移転後)

推奨期間:2ヶ月

オフィス移転後も、調整や資料の整理などの工程が必要です。

  1. 稼働後修正:入居後に感じた不具合などの調整・修正
  2. 竣工資料作成:各種施工図・オフィス運用マニュアルの作成
  3. アンケート取得:オフィス移転後の効果測定として社員アンケートを実施
  4. 原状回復工事:旧オフィスの契約期間内に原状回復工事を行う

なお、オフィス移転後も働き方の変化などにより理想のオフィスは日々変化していくものです。オフィス移転が終わったからといってずっとそのまま使い続けるのではなく、日々改善を重ねていけるような運用ができるとよいでしょう。

▼当サイトからオフィス移転スケジュールの資料もダウンロードできますので、ぜひご利用ください。

オフィス移転はコンセプト設定が大切

オフィス移転の際に「手狭になってきたから広くしたい」という理由だけでただ移転し什器を増やすだけでは、働きやすいオフィスづくりとはいえません。せっかく時間と費用をかけてオフィス移転するなら、よりよいオフィスにしたいと思う方が大半でしょう。会社としての目標と新しいオフィスの目的とを合致させることで、会社全体がまとまり、働きやすく業績を上げやすいオフィスにすることができます。

コンセプト設定の際には、現状分析をしてからコンセプト設定をする必要があります。

  • オフィスの現状調査
  • 目指すべき会社像の分析
  • オフィスの現状と、目指すべき会社像の比較
  • 経営陣の思いを従業員に伝えられるコンセプト設定

オフィスの現状調査をするときは、主に、目視調査とアンケート調査を行っています。

現状のオフィスの目視調査

目視調査では、下の表の点をチェックしています。まずは現状を把握することで、改善できる点を洗い出すことが目的です。

レイアウトレイアウト効率、通路幅の適正確保など
コミュニケーションミーティングスペース、コミュニケーションツールの整備など
書類・収納ファイリング、備品類の管理状態など
セキュリティ・安全入退・複合機のセキュリティ、AEDの完備など
ICTテレワーク・在宅ワークの体制整備など
働きやすさ密度、社員の健康管理など

ウチダシステムズのオフィスアセスメントサービスでは、このようにお客さまのオフィスの診断を行い、コンセプト設定のお手伝いをしています。

▼コンセプト設定を行うオフィスアセスメントサービスの詳細はこちら

アンケート調査

社員にアンケートをし、課題抽出を行うことでオフィス設計に反映させます。

コンセプト設定

オフィスの現状調査が終わったら、オフィス移転を企業成長の機会にできるようコンセプトを設定します。コンセプト設定はオフィス移転のためだけに役立つものではなく、これからの会社の方針を改めて考え、社内に共有できる機会にもなります。

コンセプト設定をするときは、社員へのアンケート調査結果などからのボトムアップにより会社の目指すべき姿を再定義します。次に、経営陣へのトップインタビューの内容をもとにワークショップで将来像の議論をします。そうすることで、社員一人一人の課題も、経営陣や上層部の思いも取り入れられるコンセプト設定をすることが可能です。

ワークショップで「どんな会社になりたいか」を議論し、「そのためにどんなオフィスが必要なのか」を確定させることで、「具体的にどんな部屋・什器・製品が必要なのか」を検討できるようになります。コンセプトが定まっていなければ、オフィスになにを置いていいのかわからなくなってしまうため、オフィス移転においてコンセプト設定は最も大切なプロセスになります。

▼組織づくり・場づくりについてのインタビューはこちら

オフィス移転のポイント・コツ

オフィス移転を進めるにはコンセプト設定が大切ですが、そのほかにも大切なポイントやコツがあります。オフィス移転のスケジュールをよりスムーズに進めるポイントをご紹介していきます。

プロジェクトオーナーの任命

オフィス移転を進めるためには、決定権を持ち、司令塔として動くプロジェクトオーナーの任命が必要不可欠です。一般的には、プロジェクトオーナーが図のような位置につきオフィス移転を進めるケースが多いようです。

プロジェクトオーナーの役割として重要なのは、連絡・承認をしっかりと行うことです。新オフィスの仕様を決定してスケジュールを組んでも、経営陣に必要な連絡や承認が取れていなかったりする場合には、後半の工程で大きな仕様変更が必要になることもあります。スケジュールの遅れや予算オーバーを避けるためにも、プロジェクトオーナーの任命は重要です。

コスト管理として予備費を設ける

オフィス移転では、予定外に工事費がかさむことも。あらかじめ予備費として10%ほど計上しておくと、対応できます。もし費用が余るようであれば、スケジュールの後半のフェーズ調整を行います。

ビルとの調整を密にする

オフィスビルなどの賃貸物件では、工事の条件がビルによって異なります。事前の確認と承認をしっかりと行い、スケジュールを押さえておく必要があります。

業者間の連携はオフィスベンダーなどの力を借りる

オフィスの規模が大きいほど、自社内だけでオフィス移転を完遂させることは難しいでしょう。知識の少ない中ですべてを自社内で行おうとすると、時間がかかり、失敗もしやすく、結果的にコストがかかりがちです。

中でもビル管理会社や各種工事業者とのやりとり、報告・申請の書類作成などは専門知識を必要とします。オフィス製品などについても、近年では半導体不足による納期の遅れなどが頻発しており、オフィス移転のタイミングで手に入らないこともあります。オフィス移転をトータルで任せられる業者に頼むことで、スケジュールとコストの管理がしやすくなります。

オフィス移転はコンセプト設定からお手伝いできるウチダシステムズにご相談ください

ウチダシステムズはオフィス移転などオフィスに関するさまざまなお悩みを解決している会社です。オフィス移転においては単に業者とのやりとりの調整をするだけでなく、会社の目指す形を叶えるオフィスにするために、会社のコンセプトを決めるところからお手伝いできます。もちろん、スケジュールの特定フェーズのみのお手伝いも可能です。

ご相談は無料ですので、まずはお気軽にお声がけください。


組織力の強化や組織文化が根付くオフィス作りをお考えなら、ウチダシステムズにご相談ください。

企画コンサルティングから設計、構築、運用までトータルな製品・サービス・システムをご提供しています。お客様の課題に寄り添った提案が得意です。

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そしきLab編集部

ウチダシステムズのスタッフを中心に、組織作りや場づくりについて議論を交わしています。業務の中で実際に役に立ったことなどを紹介していきます。