理念を現場に落とす3時間。「福祉みらいFES 2026 #1」開催レポート in石神井いとなみの起点

2026年10月20日(火)、当社の地域福祉営業部が主催する「福祉みらいFES 2026 #1」を開催しました。

会場は、社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会様の「石神井いとなみの起点」地域交流スペース。2026年の開設にあたり当社も企画段階からご支援させていただいた施設です。

今回ご参加いただいたのは、人材の育成と定着・現場やチームの思いを一つにすることに課題をお持ちの、社会福祉法人の経営層・管理職および次期リーダーの皆様です。
法人の枠を超えて学び、語り合い、気づきとつながりを持ち帰ってほしい。日々の仕事を少し違った視点から振り返り、話し、出会い、自施設の未来を共有する。そんな時間として企画しました。

前半は、社会福祉法人ひだまり 理事長・永田かおり様のセミナー「これからの社会福祉で大切にしたいこと」。
後半は、株式会社TUMUGUYA 代表取締役・老久保剛毅様を講師に、参加した法人同士が自施設の気づきを言葉にするワークショップを行いました。

セミナーレポ「これからの社会福祉で大切にしたいこと」

社会福祉法人ひだまりができるまで

社会福祉法人ひだまりの始まりは、永田様の叔母の一言だったといいます。叔母が大きなデイサービスを見学したとき、皆が同じ流れで過ごす様子に「ここは嫌だ」と感じた。そして地域のなかで人が自然に集まっている場を見て、子どもからお年寄りまで触れ合える場所をつくりたいと言ったそうです。

叔母が亡くなった後もその願いを手放せず、永田様は30歳のときにNPOを立ち上げ、2015年に「社会福祉法人ひだまり」となりました。
拠点は滋賀県米原市。高齢・障がい・子どもを分けず、複数の事業所があり、職員は約189名。ヘルシー・ソサエティ賞も受賞されています。

社会福祉法人ひだまり 理事長 永田 かおり様

人が定着する施設を、理念と人財でつくる

過疎化の進む土地で十年前に決めたのは、「人が二割減っても続く組織をつくること」でした。24時間365日あけ、施設でも在宅でも支えきる社福ひだまりの構造が語られましたが、それを担うのは人です。人が減る土地で施設を続けるなら、職員が辞めず、採用に困らない運営が必要となる。その芯を、永田様は「理念」と「人財」としてお話されました。

理念:朝礼では、職員が理念を唱和します。ただし、唱和しただけでは困ったときの指針にはなりません。利用者の前をまたいで同僚と話していないか、などの所作まで毎日見ているのは、理念を現場の判断に落とすためだといいます。

ケアだけが良くて経営が弱い法人も、給料だけ高くて現場が乾いている法人も、十年は続かない。だからケアと経営は掛け算であり、利益の使い道は先に職員へ説明し、利用者への還元、働く人への還元、未来への投資とする。数字をケアと切り離さないのは、人が残る組織の前提だという考え方でした。

人財:人材ではなく「人財」と書き、育成という言葉を使わずに”一緒に学ぶ”姿勢をとるのも、同じ理由です。無資格でも人柄で迎え、初任者研修、実務者研修、介護福祉士の受験対策まで自前で持つ。大切にしているのは、研修などの人が育つ仕組みを外に預けない、ということでした。

また、子育て中の職員が半数を超えても離職が少ないのは、長年かけて作り上げてきた制度です。ただし制度だけでは足りない、と永田様は言い切ります。働きがいがなければ人は残らない。人が定着する施設はその両方からつくる、と話されました。

人が残れば、空いた時間の使い方も変わります。ICTや業務の整理で生まれた時間は人員削減に使うのではなく、ご家族のもとへ、祭りに参加する、地域へ出る、と約束されています。

介護や支援という言葉より、「生活を支える」。人が定着する運営が、地域に出る余力になり、「地域にはここがないと困る」施設につながる、というお話をお伺いしました。

気付きを自分事化する、ワークショップ

セミナーを聞くだけでは、せっかくの気付きがメモで終わってしまうことも少なくありません。成功事例をメモするだけでなく、その場で自施設に置き換えて言葉にしてみる。

後半に行った老久保様のワークショップでは、永田様のセミナーで聞いた内容をアウトプットする時間となりました。

株式会社TUMUGUYA 代表取締役 老久保 剛毅 様

自分たちの施設のこととして捉え、言葉にする時間

グループに分かれて「なぜ理念は大切か」「自施設の”らしさ”」などを順番に話し、付箋に書き出します。大切にしている価値観が、日々の行動と体験の積み重ねとして現れた “組織ならではの文化” と老久保様は定義します。

また、5年後の利用者の様子、職員の気持ち、地域からの見え方、自分のことなども付箋に書き出し、共有する時間も。チームメンバーと話すうちに、一人で聞いていた内容が、自施設のこととして咀嚼した言葉になっていく様子が見受けられるワークショップとなりました。

理念とビジョンは混ざりやすい。体現している人は誰か、その人はどんな行動をしているかまで落とすと、現場は動きやすい、と老久保様は言います。自施設での1時間の対話から始めてみるのが第一歩だとして、ワークショップを締めくくりました。

ワークショップ中の様子

約40名の方にお越しいただいた今回のイベント。アンケートでは、96%の方にご満足いただける機会となりました。

「育成ではなく、共に育つ共育ということが印象に残りました。」

「らしさの共有が強みの自覚化に繋がる。職員さんたちも、発見して言葉にしやすいかな。」

「経営も仕事も『今』やるだけではなく、5年先10年先も同じように続いていることが重要」

など、それぞれの気付きを持ち帰っていただけたようでした。

ウチダシステムズの福祉支援

ウチダシステムズは、福祉施設の改築や改修の計画、ICT、人材の募集と定着など、多岐にわたるご支援しています。空間だけでなく、人と組織の関係を考えることまでを場づくりと捉えているため、課題が固まっていない段階でも、ぜひご相談ください。

この記事を書いた人

そしきLab編集部

ウチダシステムズのスタッフを中心に、組織作りや場づくりについて議論を交わしています。業務の中で実際に役に立ったことなどを紹介していきます。


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