ハイブリッドワークを叶える「行きたくなるオフィス」とは【セミナーレポート】

2024年10月15日(水)16日(水)、ウチダシステムズ大阪支店にて「ウチダシステムズフェア2024 in Osaka」を開催いたしました。今回のフェアはウチダシステムズ大阪支店が入居するOMMビルを会場に、いまオフィスに取り入れたい注目商品の展示や、大阪支店のオフィスツアーを行いました。

今回はセミナー会場で行われた、デザイン室長:尾花隆のセミナー「ハイブリッドワーク時代のオフィスデザイン」についてレポートいたします。

本セミナーでは、コロナウイルスの5類移行から徐々に定着してきつつある「ハイブリッドワーク」に焦点を当て、求められるオフィスの在り方について、オフィスデザイナーの視点で解説いたしました。

プロフィール

株式会社ウチダシステムズ
デザイン室 室長 尾花 隆
(アートディレクター / チーフデザイナー / 一級建築士 / 1級建築施工管理技士)


増えるオフィス回帰、ハイブリッドワークも増加傾向

アンケート調査*によると、オフィス回帰をしている企業は52.4%あり、出社のメリットはコミュニケーションが取りやすいことだと感じています。また、自社の今後の働き方が「オフィスとテレワークの融合」になると考えている人は67.4%と半数以上となっています。
*月間総務アンケート調査

尾花:改めてハイブリッドワークを定義すると、オフィスワークとテレワークを融合して働くということになります。ハイブリッドワークのメリットは、定期的にオフィスに来ることで必要なコミュニケーションが取りやすいというところです。あとは移動時間が大幅に削減できるので、育児や介護を含めていろんな働き方に対応できるところもメリットでしょう。

出社することのメリットも見直されています。出社の最大のメリットは、コミュニケーションコストが圧倒的に少ないことです。生産性やマネジメントの面でも大事だと思っています。私も実感していますが、メールやチャットで時間のかかるやりとりが5秒で終わる、顔色や表情が見えるなど、いちばんリッチなコミュニケーションの取り方だと思います。

多くの企業がオフィス回帰しているのですが、オフィスメインの働き方にはならない(ハイブリッドワークをする)という人が67.4%いること、そして約60%がオフィスを見直していることから、オフィスの在り方を定義し直す必要があると思っています。

ハイブリッドワークを促進するオフィスの特徴

尾花は、オフィスを「働くために来る場所ではなく、目的を達成するために集まるところ」と定義します。前提としてABW*という働き方が必要となりますが、出社する目的に適したワークポイントを、人数分確保しておくことが必要だと言います。
*ABW=アクティビティベースドワーキング(作業内容に応じて働く場所を自ら選ぶこと)

尾花:ワークポイントは、ワーカーが一定時間 快適に個人作業ができる座席を指します。一般的なデスク席の他に、集中席や、プロジェクトワークができるようなミーティング席などを足していってカウントします。そして出社を推奨するなら、全員出社しても座る場所があるように計画するのがミソです。

実際に計画する際は、アンケート式のオフィス調査を行います。デスクの幅やテーブルの数など物理的なことから、コミュニケーションがとれているか、オフィスにある機器類を使いこなせているかなど、運用面においても調査していきます。

尾花:オフィス調査を行ってもデスク席が一番人気ですし、これがベースになってきます。最近は社員の約80%のデスク席を設け、それ以外をコミュニケーション席にするというのが主流だと思います。コロナ禍の70%出社と比較すると、徐々に増えてきている傾向です。ちなみに、私の経験として一番少ないのは60%でした。

また、会議室は現状維持か微増程度。利用率の調査はしますが、まとまった期間や特定の曜日で予約している人がいたり、予約しても使っていない場合があったりして、調査結果だけでは設定が難しいのです。減らすとハレーションが起きるということもあり、現状維持か微増程度に落ち着くことが多い印象ですね。

ABWをオフィスで実践すると、WEBボックスやモバイルモニター、モバイルバッテリーなどもトレンドアイテムとして人気があります。WEBボックスは爆発的に導入事例が増えています。各メーカーで様々な種類が出ているので、性能と費用を比較しながらご選定いただければと思いますし、これを入れるだけで会議室問題が片付くこともあります。

モニターは据え置き型だと美観を損ねたり、モニター越しに会話しづらかったりといったことがありました。弊社オフィスでノートPCと同じサイズ感の折りたたんで持ち運べるモニターを導入したみたところモニターに縛られずどこでも働けますし、オフィス見学に来られたお客様からも「すぐ買います」と言っていただけるなど、非常に効果性が高いなと感じています。

オフィスのトレンドアイテム

ウチダシステムズにみる ハイブリッドワーク時代のオフィスデザインとは

オフィスをつくるとき、機能の配分と配置関係を考えることが重要だと尾花は言います。オフィスだからできる「交流」「専門」「集中」「便利」をキーワードに、ウチダシステムズのオフィスで事例として紹介しました。

【交流】社員同士の交流を促進するリフレッシュスペース
【専門】専門資料を1カ所に集約 作業や打合せもできる
【集中】高集中のための家具・環境が用意されている
【便利】必要な道具がまとまった文具スペース

尾花:限られたキャパシティの中で、機能の配分を考えることが1つのポイントだと思っています。さらにその配置関係を計画することで、計画と実際の使われ方に齟齬が生まれにくくなります。

また、デジタルツールは今のオフィスに欠かせないものになっています。会議室をはじめ、様々なデバイスや機器類を装備するのですが、装備しただけでは使えない人が必ず出てきます。使えない人をなくすために、ワンタップでセッティングができる環境にしたり、マニュアルを作ったりと、使い方をきちんと皆が知っているという状況をつくることを「やさしいデジタル」と呼んでお客様にも訴求しています。

オフィスだからできること
  • 交流
    • プロジェクトワークや、整ったオンライン会議の設備など
  • 専門
    • 専門書が揃っていたり、高セキュリティエリアなど
  • 集中
    • 自宅よりも没頭できる集中の場
  • 便利
    • 作業に必要な道具類がわかりやすくまとまっている

近頃よく聞く「行きたくなるオフィス」って?

オフィス回帰が進んで、聞かれるようになった「行きたくなるオフィス」。オフィスづくりのテーマになることも多いこのフレーズを、尾花は以下のように定義づけました。

尾花:「行きたくなるオフィス」「社員が帰ってきたくなるオフィス」をテーマにオフィスづくりをしたいというお客様は多いです。ただテーマとしては非常に広くて難しいのが正直なところですが、あえて表現するなら「その場所が自分にとっていい方向に作用していると感じる」「なんか悪くないな」と皆がそんな実感を持てる場所、ということだと思います。

決まった形はないのでその都度議論して決めていくものではありますが、そういう実感が持てれば社員はオフィスに「行きたくなる」し「帰りたくなる」ということは、オフィスをデザインする際に意識しています。

また快適に・健康に過ごせることが、皆が集まる場所としてふさわしい形じゃないかとも思っています。オフィスがウェルビーイング*につながる場であるのも大切なことなので、この点も踏まえてお客様と議論をし、アイデアを出し合いながら今後もオフィスを構築していきたいと思っています。
*ウェルビーイング=「身体的・精神的・社会的に良好な状態」を意味する

ウチダシステムズは、お客様のパフォーマンス向上の場づくりを通じて、成果と組織文化の発展に貢献させていただきたいと思っております。お客様の目的に合ったオフィスづくりができるよう、アイデアを出し議論しながら一緒にオフィスを構築していきますので、オフィスづくりや働き方でお悩みの際はぜひご相談ください。


組織力の強化や組織文化が根付くオフィス作りをお考えなら、ウチダシステムズにご相談ください。

企画コンサルティングから設計、構築、運用までトータルな製品・サービス・システムをご提供しています。お客様の課題に寄り添った提案が得意です。

この記事を書いた人

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そしきLab編集部

ウチダシステムズのスタッフを中心に、組織作りや場づくりについて議論を交わしています。業務の中で実際に役に立ったことなどを紹介していきます。