安全なモバイルバッテリーの導入で、学習用タブレット端末の充電切れをカバー

2024年5月、中央区教育委員会様を主導とし、中央区の小中学校様にモバイルバッテリー「crevio」をご導入いただきました。教師や子供たちの持つ端末の充電用として、各教室に整備されています。
今回は中央区教育委員会様と京橋築地小学校様にご協力いただき、導入の背景や利用時の感想などを伺いました。GIGAスクール構想から3年がたち、2ndGIGA(端末の更新など)が始まるにあたって、物を長く大切に使うというSDGsの観点からもお話しいただきました。

プロフィール

(右から)※2024年インタビュー当時
●株式会社多摩電子工業 営業統括本部 営業二部 特販課 主任|徳永智之様
●京橋築地小学校 校長|佐藤興二様
●中央区教育委員会事務局 指導室 教育ICT推進係|久間倉啓太様
●株式会社ウチダシステムズ|小寺
●株式会社内田洋行|大西様

Q. モバイルバッテリー「crevio」導入を検討された経緯を教えてください。

久間倉様:GIGAスクール構想で学校に学習用タブレットが入ってから、モバイルバッテリーを整備するという話はずっと上がっていたのですが、なかなか予算がつかないという状況でした。タブレットを使い始めて4年になりますが、学校からちらほら授業中にバッテリーが不足してしまうという声が上がってくるようになって。本区では授業中のタブレットの活用率が高いので、ICT教育を推進するためにはバッテリーの整備は必須と考え、整備にいたりました。

中央区教育委員会事務局 久間倉様

―実際に学校の中でも課題になっていましたか?

佐藤校長:バッテリー問題は当初からありました。1日のうち1時間だけ使うなら対応できますが、何時間も使うようになるとCPUやメモリを食ってしまい、消費電力が増えてしまう。1日持たない、すぐにバッテリーが切れてしまうというのは、先生たちの生の声としてあがっていました。そんな時に、教育委員会の方からモバイルバッテリーはどうでしょうか、という話が上がってきました。

Q. タブレットの利活用については地域や学校によって差があると思いますが、実際にタブレットの活用率は高い方ですか?

佐藤校長:日によりますね。単元の進み具合にもよりますが、総合的な学習の時間で調べ学習をするときは、よく使っていると思います。平均時間は出せていませんが、使う学級は4時間とか。毎時間使うわけではないものの、しっかり使ってくれています。

久間倉様:自宅に持ち帰って学習で使う場合もありますよね。

佐藤校長:家に持ち帰って充電を忘れてしまうという子もいますし、4年も経つとバッテリーの劣化で消耗が激しいという子もいます。個人によって差はありますが、致し方ないですよね。とはいえ、授業中にコンセントの方に電源コードを持っていって、一人だけ背を向けている子も見かけたので、そういった環境はよろしくないなと。モバイルバッテリーが欲しいという要望は学校現場からも強かったと思います。

京橋築地小学校長 佐藤様

Q. 数あるモバイルバッテリーの中から、crevioを選定された決め手は何だったのでしょうか。

久間倉様:学校現場で使うということに適していると判断したからですね。発火防止の対策が施されていたり、堅牢性や耐久性、安全性が高かったりというのは、学校で安全に使っていく上で一番大事だと思っていました。京橋築地小学校で令和5年度に使ってもらって、評判が良かったところも決め手になりました。

佐藤校長:一番の決め手は安全性です。社会一般的にリチウムイオンバッテリーがスマホ等で使われていて、膨張したり、発火のニュースも結構ありましたよね。そういうバッテリーを子どもに使わせるのはいかがなものかという風潮もあって。crevioを初めて持って来ていただいたときに、「リチウムイオンバッテリーではないので安全です」とアピールしていただいたのが一番の決め手でした。

徳永様:開発時は、バッテリー自体の素材にもこだわりました。小さい子が落としてしまう危険性もあるので、バッテリー本体を守れるような内部構造にしたり、専用のケースを用意したりするなど、より安全に使っていただく環境が作れたと思っています。

佐藤校長:一般的なものより容量よりが大きいというのもインパクトが強かったです。決め手の二つ目ですね。

―他社製品とも比較はされたのでしょうか?

久間倉様:いくつかの製品を比較検討しましたが、安全性と耐久性の部分でcrevioに決めました。

徳永様:昨年のNEW EDUCATION EXPOで、中央区教育委員会様に弊社のブースにお越しいただいたんですよね。こういう製品であれば話にあげてみたいとお話しいただいたのがちょうど1年前。その後、こちらに試作機レベルでお持ちしました。ウチダシステムズのような販売店をはじめ、色々と意見を伺って製品化したので、安全性や容量の点をお褒めいただいたのは、メーカーとして嬉しいです。

佐藤校長:充電のスピードも速いですよね。

徳永様:充電が早ければ1日のうち何回か使っていただけると思い、3時間でフル充電を実現しました。

株式会社多摩電子工業 徳永様

Q. 反対に、導入にあたって懸念事項や心配事はありましたか?

佐藤校長:容量が大きくて安全性も高いのですが、一番のネックは重さですね。机の上に置いておく物なので、軽いと落としやすい、重いと落ちにくいということもあるので痛し痒しかな。先生や子どもたちが持って歩くときに重さを感じるのが懸念ですかね。まだ運用してから時間も経っていないので、思っていた以上に運用に支障はないかなと思っています。

―持ち運びや落下防止のために、内田洋行専用カバーもついていますね。使い心地はいかがですか。

佐藤校長:四つ足の机だとちょうどいいのですが、今の上下昇降できる机はフックの形が違うので、ぶつかったときに落ちるかなという心配がありました。置いて使う方が安定している気もしますが、置いておくと落下するという危険性はあるので上手く活用して欲しいなと思っています。

久間倉様:委員会としては壊れるのを防ぎたいので(笑)

専用カバーを装着したcrevio使用の様子

Q. ウチダグループやこれからのGIGAに向けて期待することがあればお聞かせください。

佐藤校長:机に置くだけで充電できるという机を開発してほしいです。スマホのコードレス充電器のように、机と一体化しているものがあるといいですね。あとは、内田洋行さんの壁全面がディスプレイ型の黒板*があると思うのですが、早く入ってほしいです。文字も書けて、映像や資料もポーンと出せる。板書が邪魔だったらすっとスライドさせたり。
*未来の教室 FUTURE CLASS ROOM

Q. 2ndGIGAの整備が始まります。中央区としてどのようなことに取り組んでいきたいですか?

久間倉様:ICT環境の充実ももちろんですが、学校現場のDXを進めていきたいと思っています。令和6年度からDX担当係長という職が生まれ、学校のDXを進めています。2ndGIGAの中でも力を入れてやっていきたいですね。今は、中学校に採点システムを入れて、先生の業務負荷を改善するという取り組みを行っています。

佐藤校長:タブレットのGPSを使って「登校した/下校した」を保護者にメールで通知できないかなと考えています。登下校の時刻で遅刻や出席簿の管理ができれば、出席簿をデジタル化できます。先生たちの持っているタブレットで、帳簿類もすべて管理できるようになったらいいなと思っています。

久間倉様:令和7年度から学習系のシステムと校務系のシステムを統合する予定なので、引き続きDX推進も進めていきたいと思います。

crevio教室設置の様子

この記事を書いた人

アバター

そしきLab編集部

ウチダシステムズのスタッフを中心に、組織作りや場づくりについて議論を交わしています。業務の中で実際に役に立ったことなどを紹介していきます。