企業文化とオフィス空間の話〜営業企画座談会【後半】〜

前回の座談会(USS式付加価値のつくりかた〜営業企画座談会【前半】〜)では、ウチダシステムズがモノを売る会社からコトを売る会社へどのように変わっていったのか?について話を伺いました。今回は、場づくりと企業文化の醸成をどのように実現してきたのか?どのように結びついているのか?ということをLab編集部のメンバーで話し合ってみました。

そしきLab編集部の座談会メンバー

常盤(営業企画部 部長)
紆余曲折を経てウチダシステムズに流れ着いた2児の父

篠宮(営業企画推進部 企画推進課 担当課長)
営業支援スタッフ歴十数年でありながら、日々右往左往して営業の奥深さを感じている迷い人。趣味は徒歩通勤

山田(営業企画部 営業企画課)
営業から企画マーケティングの仕事を担当するようになった、営業企画推進部の実務担当者。横文字と悪戦苦闘中。

インタビュワー 神田
実はこのホームページを作ったWeb制作会社の人だが、ウチダシステムズのファンになってしまったWebプロデューサー。

企業文化とオフィス空間の関係

ーウチダシステムズには「全員参加」という行動ポリシーがありますが、場づくりの会社としては、全員参加という文化醸成をどのようにオフィス空間に落とし込んでいるのでしょうか?

常盤:今のオフィスに移転する前から「オフィスは経営の装置」であるという考え方を元にして場づくりをしています。自分たちが「5年後こうなりたいよね」というビジョンに耐えうる場にしたい、という考えでオフィスをつくっているんですよね。オフィスは、家具を置いている場所じゃなくて、何かを叶えるための手段なので。
また、全員参加という話だと、オフィスをつくるときにみんなの意見を出し合って、「正解かわからないけどやってみる」という行為自体が文化をつくる手段になっているかもしれないですね。オフィスのリニューアルをするとき、みんなでカーペットを貼ったりして、社員が自分たちでオフィスをつくる体験をしています。

ーウチダシステムズの場合、自社オフィス自体をショールームとして使っているので、その辺りも企業文化をつくることに役立っているのでしょうか?

常盤:そうですね。BtoBの業態で、お客様が頻繁に来社されるということは少ないと思いますが、当社の場合は自分たちが働く場所自体をショールームとして使っているため、仕掛けとして役に立っている部分はあると思います。日頃お客様と接する機会が少なかったり、電話やメールだけのやり取りを基本とする内勤のスタッフが、実際にお客様と接する機会を持てるんです。「これを納めたお客様はこの人だったんだ」と思えるというか。

場づくりのプロが考える、オフィスの在り方

ーIT業界では「アジャイル型開発」という「仕様変更は当たり前に発生するから運用しながらつくっていこうね」という考え方が広まってきました。考え方としてはウチダシステムズのオフィスも近いものがあるのでしょうか。

篠宮:そうですね。オフィスづくり自体にゴールは無いと思っています。絶対良いと思ってつくったものでも問題は出てくるし、そもそもの前提条件が変わってきたりします。

常盤:昔の会社は、総務が家具を発注をしたあとに課題が出てきたりして「またレイアウトを変えたい」となったときに、「これだけお金かけて作ったのに、なんでまた変えようとしてるんだ」と言われることが普通だったと思います。でも、世の中の流れが早くなって、そういう形態では太刀打ちできなくなってきている。

篠宮:でも、お金がかかるような設備投資ではない、人のアイデアだけでできるようなことでオフィスは結構変わってくると思います。ウチダシステムズのオフィスにはそういったアイデアがたくさん散りばめられていますよね。

常盤:うちの傘立てはいい例ですよね。僕もあんな仕掛けは思いつかなかったんですが、 小学校の下駄箱には名前が書いてある、あれと同じ仕掛けなんですね。

ー「オフィスづくりにゴールはない」というのはすごく印象的ですね。

常盤:今日ベストのオフィスは、明日にはもう古くなりますよね。だから、会社の3年後ぐらいを見据えてつくるのがちょうどいいと思っています。「オフィスに完成がない」っていうのはその通りだし、今のベストをつくっちゃいけないというのも、当たり前の話かなと。ただ、そういった当たり前だけどわかりづらい話は、実際に体験していかないと腹落ちしない部分も大きいので、そういった実体験をお客様にわかりやすい形で届けていく必要があるなと感じています。

人づくりが先か? 場づくりが先か?

ー家具屋さんのショールームって、一般的にはちゃんとつくられた空間だと思うんです。でも、ウチダシステムズのオフィスに遊びに来ると、お客様として扱われるのではなく「自分がウチダシステムズの中に紛れ込んじゃった」感じで居心地が良く、とても新鮮でした。

篠宮:例えばですけど、「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」って言うようにしていることも関係してるかもしれないですね。私たちも最初は「いらっしゃいませ」って言ってたのかな。でも、実際自分たちが「いらっしゃいませ」と言われると返しようがないというか。「こんにちは」と言われれば、「こんにちは」と返せるんですけれど。そういうことも、運用していく中で自然と生まれてきた文化ですね。

常盤:当たり前ですけど、僕らは商売なので「お客様が来たらこんにちはって言いなさい」と言っています。トップダウンといえばそうかもしれないけれど、やっぱり始めは誰かが言う必要があると思いますね。やってるうちに目的なのか手段なのかも分からなくなってきたりして、それが文化になっていくこともあると思います。

篠宮:刷り込みみたいなところありますよね。

常盤:刷り込みだと思います。だけど、一方で刷り込まないと企業文化は根付かないのかなと思います。

ー理想とする企業文化を目指して場づくりを行っていったのか? それとも、こういう企業文化が元々あったから、こういう場づくりになったんでしょうか。

山田:今のオフィスを2020年にリニューアルしたときには私も関わっていました。まずは、コロナ禍なのでオフィスに来る頻度はかなり下がるだろうという推測をしました。なので、「オフィスではしっかりコミュニケーションを取れないとダメだよね」ということを考えていました。パーソナルロッカーのエリアに自然と挨拶するような仕組みを考えたり、マグネットスペースを残して会話が生まれやすくしたりという工夫をしています。意図的に要所要所でコミュニケーションが発生するポイントをつくりました。

ー外部の人間から見ても、良いロッカーだなと感じます。ひとりひとりの顔写真があったり趣味が書いてあるので、見るほうは相手を知ったつもりになりますよね。親しみを持てるというのがコミュニケーションの取りやすさに繋がっているのかなと思いました。

篠宮:コミュニケーション促進の工夫でいうと、実は前のオフィスで個人の机にあったゴミ箱を全部廃止しました。それで、劇的に人の流れが変わった。「なんで紙1枚捨てるのにわざわざゴミ箱まで行かなくちゃいけないんだ」って、反対はすごかったんですが(笑)
でも実際にやってみたら、コミュニケーションが生まれたんです。人の移動が増えればやっぱりコミュニケーションのきっかけにはなりますよね。

ーここまでお話を伺っていて、オフィスレイアウトの話を誰もしていないなと気がつきました(笑) やはり、人や文化が先にあって、その後に場所ができてくるのでしょうか。

常盤:そうですね。うちのオフィスづくりの進め方だと「需要創造フォーマット」という考え方をベースにコンセプトづくりをしているのですが、「会社のあるべき姿」を中心において、それを実現するためにはどんな形が良いのか?という順番で考えています。なのでやはり、人や文化、会社というモノや理念が先にあり、オフィスという場はそれを叶える・実現するための装置なんだと思います。

自分たちらしさ、を見つけていくために

ー弊社でもリニューアルの話が出ていまして、どうしてもかっこいいオフィスの事例写真を参考にしがちだったのですが、改めて自分たちの会社を見直す必要があるなと気がつきました。ウチダシステムズでは、そういった会社と社員の目線を合わせるサービスとして「VECTOR(ベクトル)」というものがありますね。

篠宮:そうですね。オフィスづくりをするために5年後のビジョンを考えることも必要ですが、その前に「原点をみんなで思い出そうよ」ということも大事になってくるのかなと思います。VECTORを生み出すきっかけは、「創業時のウチダシステムズには様々なレベルの人の想いがあったよね。一旦ベクトルを合わせて自分たちらしさを打ち出してみようよ」という想いからだったと思います。

常盤:「ウチダシステムズらしさ」という話はよく出るんですけど、結局僕らも明確にはわかっていないです。でも、うちの社員はみんな似たようなことを言う気がします。250人ぐらいの会社で、そういう会社の方が珍しいのかもしれないですね。

ー今日の座談会で「社員の成長のためには、こういう場の装置が必要!」といったようなお話が出てくるのかなと思っていたんですが、場所って、ただのアウトプットなのかな、と感じました。

常盤:そうなんです(笑)説明だけでは伝わりづらいことも、オフィスに来ていただいたら伝わるな、と思うのでご見学に来ていただくことも多いです。当然ですがお客様は「答え」を知りたいんですよね。でも、そんな誰でも成功できる答えがあったらみんな成功しますよね(笑)
だけどみんな答えが知りたいから、世の中に出回っている「これが答えです」というものを模倣して、ときには失敗するわけです。「そこの答えは、やっぱり自分たち自身の中にしかない」というのが僕らの本質だし、それに対して真摯に向き合うのがウチダシステムズの1番ユニークなところだと思っています。


組織力の強化や組織文化が根付くオフィス作りをお考えなら、ウチダシステムズにご相談ください。

企画コンサルティングから設計、構築、運用までトータルな製品・サービス・システムをご提供しています。お客様の課題に寄り添った提案が得意です。

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そしきLab編集部

ウチダシステムズのスタッフを中心に、組織作りや場づくりについて議論を交わしています。業務の中で実際に役に立ったことなどを紹介していきます。