2025年、東京では中心業務地区(CBD)の賃料上昇と物件不足から、企業が市の外れに位置する区へと移転する地理的シフトが顕著になっています。CBREによると、東京の非中心地域(18区を含む)の空室率は2025年第一四半期に前年比で1.8ポイント低下しましたが、中心地域(中央の5区を含む)の空室率の減少は1.2ポイントにとどまっています。
中心地域は空室率が2.4%と低いのに対し、市外の空室率は5.8%と依然として高いものの、その差は縮まっており、従来のビジネスハブを超えた需要が加速しています。特に東京南部と東部では、空室率の大幅な低下が見られ、これらのサブマーケットは活発さを増しています。
大型オフィススペースでは、中央市場での空きが激減し、特に3,000から9,999坪の単位では空室率が2%を切り、10,000坪を超えるスペースでも2.4%とわずかながら利用可能です。この限られた在庫が、賃料の急激な上昇を招き、多くの企業は適したスペースを求めてより遠くを目指しています。
周辺市場は、強化床や高い天井、開放的なレイアウトなど特殊なインフラが必要な施設の需要を引き寄せており、R&Dセンター、スタジオ、ショールームや試験キッチンなどが含まれます。中央区域ではこれらの要件を手頃な価格で満たすことが難しくなっており、非中心地域が運用効率とコストコントロールの観点から魅力的になっています。
東京中心部では、建設の遅れや材料費の上昇が供給不足を悪化させ、新しいグレードAビルの供給が延期されています。同時に、完成予定のプロジェクトに対する強気な事前賃貸活動が近い将来の空き状況を限定し、中心部の賃料にさらなる上昇圧力をかけています。
非中心地域では6四半期連続で賃料が上昇していますが、中心地域に比べると大幅に手頃な価格であり、この価格差に加え、ビジネスの再拡大とパンデミック後のオフィス復帰が持続する勢いを支えています。企業は、新しい職場基準に合わせて不動産戦略を適応させ、便利な交通を重視しつつも、中心地に本社を構える一方で、より経済的な地域に分散したセカンダリーオフィスを設置することが多くなっています。
東京のオフィス市場はこれまで景気緩和サイクルの中で同様のパターンをたどっており、過去の例では非中心地域への需要が中心地域より6〜8四半期遅れて出ていたことから、現在のトレンドはまだ続く可能性があります。また、5年以上前に建てられた古い物件の空室率が、市の伝統的なビジネスセンターを超えた吸収が進んでいることを示しています。
CBREによれば、市の外れの地区はもはや後回しの選択肢ではなく、多様な利用者にとって戦略的な目的地としての地位を確立しつつあるとのことです。
出典 : Tokyo Office Demand Spills into Non-Core Wards in 2025 https://www.worldpropertyjournal.com/real-estate-news/japan/tokyo-real-estate-news/japan-real-estate-news-tokyo-office-data-for-2025-cbre-tokyo-office-report-office-rents-in-tokyo-vacancy-rate-data-for-tokyo-14494.php
