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食品物流業界で特にチルドやフローズン食品の輸送に強みを持つ南日本運輸倉庫株式会社 首都圏総合物流センター様では、20年ぶりとなるオフィスリニューアルを実施しました。
本プロジェクトは、社員の働きやすさやコミュニケーション向上を目指しつつ、自社が抱える課題に挑むものでした。
今回は、リニューアルの背景、プロセス、そして得られた成果を中心に、同社の土岐様と緒方様にインタビューを行いました。
この記事では、その挑戦と成功の秘訣を紐解いていきます。
(中央左)事業本部 埼玉エリア統括 次長 緒方 圭一 様
(中央右)首都圏総合物流センター 所長 土岐 哲也 様
事業内容:倉庫・運輸・サポート・食品輸入・福祉、その他サービス
所在地:埼玉県さいたま市岩槻区浮谷610-1
内容:オフィスリニューアル(2024年)
HP:https://mtls.co.jp/
オフィス老朽化の危機をチャンスに変える!
ー今回なぜオフィスをリニューアルしようと思ったのですか?
土岐様:このオフィス、20年以上もそのまま使ってきたんですよね。正直、老朽化が激しく、紙があちこちに山積みで、もう無秩序という感じでした。さらに、部署ごとに完全に分断されているような状態でした。それぞれが独自に仕事を進めるばかりで、連携がほとんど取れていなかったんです。せっかく同じ方向に荷物を送るような業務でも、部署間で話が通じていないため、非効率なことが多かったですね。
―部署間の壁が、業務全体に影響を与えていたんですね。それがリニューアルのきっかけになったのでしょうか?
土岐様:そうです。さらに物流業界特有の問題も背景にあります。2024年問題と呼ばれる時間外労働の上限規制や人手不足などに対応すべく、限られた時間で最大の効果を得るために業務を効率化しなければならない中、社員が働きやすい環境を整えることは急務でした。
緒方様:最近では、職場環境が採用活動にも直結しますからね。特に若い人たちは、オフィスのデザインや雰囲気を重視する傾向があると聞きます。「魅力的なオフィス」というだけで、人材獲得の可能性が広がるんです。
―職場環境が採用に影響を与えるのは面白いですね。リニューアルにあたっての目的は、最初から明確にあったのでしょうか?
緒方様:いえ、最初は漠然としていました。とにかく老朽化したオフィスを綺麗にしたいというところからスタートしたんです。でも、進めていくうちに、現状の課題が次々と浮き彫りになり、それを解決するための具体的な目標が見えてきました。
土岐様:確かに最初は「綺麗にしたい」というシンプルな思いでした。でも、それを進めていく中で、効率化や採用活動への波及効果を期待できるようになっていきました。
―結果的に、単なる内装の刷新にとどまらず、業務効率や採用活動にも大きな影響を与えるプロジェクトになったということですね。
土岐様:そうです。このリニューアルがきっかけで、私たちの働き方や組織全体の在り方を見直す機会になりました。単なる改装ではなく、会社全体の未来を見据えた取り組みになったと思います。
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プロジェクト中断から再起動へ:苦難を乗り越えた道のり
―今回のオフィスリニューアルでは、プロジェクトの進行中にいくつかの困難があったと伺いました。どのような課題があったのか教えていただけますか?
土岐様:最初にリニューアルの話が出たのは、コロナ禍前のことでした。オフィスが20年以上もそのままで老朽化していたので、改善しようと複数のオフィス支援会社に相談しました。でも、どの提案も私たちのニーズに合わなくて……。さらにコロナ禍の影響で、この計画自体が一旦止まってしまったんです。
緒方様:実際、コロナ禍では業務そのものが厳しい状況に追い込まれていました。外食チェーンをメインに取引している部署の売上が大きく落ち込み、センターの存続すら危ぶまれるような事態だったんです。そんな中で「オフィスをリニューアルしよう」とはなかなか言い出せなくて、話は自然と立ち消えになっていきました。
―それは非常に厳しい状況だったのですね。では、その後どのようにして計画を再開することができたのでしょうか?
緒方様:きっかけは、私がある研修プログラムに参加したことです。その研修でウチダシステムズさんと出会い、以前から構想としては持っていたオフィスリニューアルについて相談してみたんです。さらに、その後のオフィスツアーに参加したことで、具体的なイメージが一気に広がりました。単にデザインが素晴らしいだけではなく、実際にその空間で働いている人たちの声や、どのような課題を解決したのかという具体的な話を聞けたのが大きかったですね。
土岐様:これまでのオフィス支援会社の提案は、どれも型にはまったものばかりでした。例えば、フリーアドレスがトレンドだということでその導入を勧められたんですが、このセンターにはフリーアドレスは現時点では合わないんです。業務に必要な書類の保存や、法令で求められる点呼の記録など、ペーパーレスに完全移行するのが難しい部分も多くて。
緒方様:その点、ウチダシステムズさんは、現場特有の課題や実情を理解してくれました。「今はフリーアドレスは馴染まない」という声に対しても、それを踏まえた代替案を提案してくれたんです。
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―現場の声に寄り添った提案が、再始動の大きなきっかけになったということですね。
土岐様:そうです。私も社員と一緒にツアーに参加しましたが、ショールームや実際にリニューアルを終えたオフィスを見学して、社員からも「こういうオフィスで働けたらいいな」という声が出てきました。それまでは、リニューアルに対して漠然としたイメージしか持っていなかった社員が多かったんですが、具体的な形としてイメージできるようになりました。
緒方様:それと、提案の過程でも親身になってくれたことが印象的でしたね。「これだと予算オーバーになりますが、こちらなら少し抑えられます」といった具合に、何度も調整を重ねてくれたので、安心して計画を進められました。
USS斉藤:ショールームやサンプルを見ながら、皆さんでわいわいがやがやと作り上げられましたね。コストを抑えるところは抑えて、敵対するというより同じ方向を向いて進められたと思っています。
USS田中:たとえば稟議の話をするときも、今どういう状況にあるのか詳しく教えてくださったんです。それだけでなく、「本当はこうしたいんだよね」という率直なご意見もいただけたので、すり合わせがとてもスムーズでした。
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社員の声がカギ!ボトムアップ型オフィス改革
―今回のリニューアルでは、社員の参画が非常に重要だったと伺いました。その背景について教えていただけますか?
土岐様:オフィスリニューアルを進めるにあたって、一方的に計画を押し付けるのではなく、社員が積極的に関わる仕組みを作る必要があると考えました。フリーアドレスの導入を検討していた時も社員一人一人に確認したところ、意見が大きく分かれました。固定席がいいという社員もいれば、新しい働き方に挑戦したいという意見もあって。
そのため、現場で働く社員の声を反映できるよう、プロジェクトチームを作って、メンバーでウチダシステムズさんのオフィス見学に行ったり、アイデアを出してもらう環境を整えました。
―社員の声を直接計画に取り入れたことで、どのような成果が生まれましたか?
土岐様:社員が計画段階から積極的に関わったことで、新しいオフィスへの愛着が生まれました。また、「自分たちが作り上げたオフィスだ」という意識が強まったことで、自然と新しい環境を大切にするようになったんです。
緒方様:現場の声を反映させたことが功を奏したのは間違いありません。例えば、休憩スペースの配置についても、現場のスタッフから「もっとリラックスできる空間が欲しい」という意見があり、それを反映させました。その結果、以前は車内で食事をとることが多かった社員たちが、今では休憩スペースを活用してリフレッシュするようになりました。
オフィス改革が生んだ新しい働き方とチャンス
土岐様:一番大きな変化は、社員同士のコミュニケーションが活発になったことです。それまであまり話す機会がなかった社員同士が、自然と会話するようになりました。
緒方様:業務効率も少しずつ上がっていますが、まだ課題もあります。ペーパーレス化は道半ばで、完全に実現するにはもう少し時間がかかりそうです。
―課題はあるものの、全体的に良い方向に向かっているようですね。採用活動にもリニューアルの成果が現れていると伺いましたが。
土岐様:そうですね。新しいオフィスで面接を行うと、「ここで働きたい」という声を多くいただくようになりました。以前の古いオフィスでは、魅力を伝えるのが難しかったので、大きな進歩です。
USS斉藤:人材不足だといわれる物流業界において、オフィスがどんな位置づけになっているのかが気になっていたので、いい効果が出ていることが聞けて良かったです。
緒方様:お客様に選んでいただける物流会社になるためには、人の教育と雇用に注力する流れになっているので、今回のリニューアルは採用にも良い影響が出ています。職場環境を実際に見てもらうことで、候補者が「ここで働くイメージができた」と感じてもらえていますし、若い世代にとっては、環境の魅力が大きなポイントになります。
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次世代の物流業界へ:広がる未来への期待
―リニューアルの成果が社内外に広がりつつある中、今後の展望について教えていただけますか?
土岐様:今回のリニューアルは1つのモデルケースとして、他の拠点にも展開していきたいと考えています。実際、エリア所長会議でリニューアル後のオフィスを紹介したところ、他の営業所から「自分たちの拠点でも実施したい」という声が多く上がっています。
緒方様:実際に新しいオフィスを見ていただくことで、リニューアルの意義をより深く理解してもらえると思います。この流れが広がることで、全社的に働きやすい環境づくりが進むことを期待しています。
USS田中:リニューアルが完了したとき、土岐様が「これからですね」と仰っていたのが印象的で。これから本格的に運用が始まっていくと思うので、これまで以上にご支援させていただければと思っています。
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―他の拠点への展開に加えて、同業他社への影響やアドバイスも気になります。
土岐様:斉藤さんや田中さんのようなプロに相談することが一番だと思います。自分たちでは思いつかないような提案を受けられると思います。漠然としたイメージしかなかったものを、具体的な形にしてくれるのは本当に助かりました。
―役割分担と課題の整理が重要ですね。緒方様はいかがですか?
緒方様:一番気を使ったのは仮設事務所への仮移転です。特にネットワークや配線は古い状態が残っていることもあり、トラブルが起きやすい部分だったので、次回はもっと細かく計画したいと思います。プロの知見を活かす部分と自社で対応する部分の線引きをもっと明確にしておけば、スムーズに進んだと思います。次に活かしたいですね。
USS斉藤:居ながら工事でのリニューアルは1週末で終わらず、何週末かに分けて行うことが多いです。今回は仮設事務所への仮移転や、戻ってくる作業が発生したので、ネットワーク回線の切り替え等にお手間をとらせてしまったかもしれません。物流業界で24時間稼働しているシステムを止めるわけにいかないので、影響を最小限に抑える計画が不可欠だと感じました。今回の経験をもとに、今後さらに良い提案をしていきたいと思います。
―南日本運輸倉庫様のオフィスリニューアルは、働きやすさや業務効率を大きく向上させ、社員間のコミュニケーションや採用活動にも良い影響を与えていると感じました。他の企業にとっても、多くの示唆を与える成功事例になると思います。本日はありがとうございました。
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この記事を書いた人
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そしきLab編集部
ウチダシステムズのスタッフを中心に、組織作りや場づくりについて議論を交わしています。業務の中で実際に役に立ったことなどを紹介していきます。