オフィス移転の「費用相場」は存在しない!移転費用を決めるために必要なこと

オフィス移転費用の相場を調べると、企業によって提示している相場が違う、情報が古い、細かい項目が多すぎるなど、結局何が正しいのかわからない…なんてことはありませんか?そんな移転費用の相場を把握するコツと、予算の考え方についてご紹介します。

【前提】オフィス移転の費用を求めるには、移転目的を明確にすることが必要

オフィス移転の費用を調べるとき、「自社の移転に見合った価格だ」と納得できる情報にたどり着いたことはありますか?具体的な項目の書かれたリストはたくさん出てきますが、実際にいくらかかるのか計算することは難しく、ピンとこないのではないでしょうか。

ピンとこない理由は、「オフィス移転の費用は、移転の目的によって変化するものだから」です。

そもそもオフィス移転は単なる引越しではなく、企業の成長や働きやすい環境を整えるための重要なプロジェクトです。まず最初に「なぜ移転を行うのか?」という目的を明確にすることが必要です。

ブランディング強化が目的なら、デザインに力を入れ、独自の企業イメージを反映させることが求められます。この場合はデザイン費用が大きくかかる可能性があります。一方、社内ネットワークの高速化やセキュリティ強化が目的なら、ICT(情報通信技術)の構築費用が大きな割合を占めるでしょう。

このように、移転の目的に応じて費用が大きくかかる部分が異なり、全体予算の考え方も変わってくるのです。

【結論】オフィス移転にかかる正確な費用を、ネットで調べあげることは難しい

オフィス移転を計画する際、多くの企業がまず気にするのが「予算」と「相場」です。しかし前述の通り、オフィスの目的によって必要なデザインや設備が異なる以上、インターネット上で調べただけでは、正確な相場を把握することは難しいのが現実です。

ただ、概算でも知りたい!という場合は、以下を参考にしてください。

オフィス移転費用の相場

一般的なオフィスビルの場合
40~60万円/坪

新築/ハイグレードビルの場合
80~100万円/坪

▼下記は含まれません
・不動産取得に関わる初期費用(敷金、礼金、仲介手数料、火災保険料など)

・現オフィスの退去費用(原状回復工事費用)
・その他諸費用(引越しに伴い再作成が必要な役所への提出書類や、名刺作成にかかる費用など)

※2024年時点の情報です

なお、近年は工事費の高騰が続いている傾向もあり、トータルの予算にはある程度の予備費を組み込んでおくことが必要です。上記の坪単価には価格高騰も考慮した金額ですが、その上でさらに費用が上振れすることを想定し、予備費をみておくとなお良いでしょう。

特に「B工事」と呼ばれる、ビルオーナーが指定する業者で行う工事(費用負担は借主)は、費用が上振れする場合が多いため注意してください。予備費をみておくことで、移転プロジェクト中の予算に関わるトラブル回避につながります。

より正確な費用を知りたい場合は、専門の業者(デザイン会社やコンサルティング会社など)に直接相談することが必要です。オフィス移転の専門知識を持つ業者と話すことで、具体的な費用や必要なスケジュールが掴めるでしょう。

しかし予算を考える際に最も重要なのは、前提として述べた「移転の目的」をしっかりと設定することです。目的がはっきりしていなければ、予算も適切に配分できず、満足のいくオフィス環境を作ることが難しくなります。

【Tips】工事費の高騰

紛争や円安による輸入資材の高騰・不足、建設業の2024年問題により、今後も工事費の高騰が予想されます。日本建設業連合会からは、建築資材の高騰と人件費の増加により工事費が20〜23%上昇するとの見解も示されています。
工事の遅延なども想定されるため、スケジュールや予算を多めに確保しておくことをおすすめします。
出典:一般社団法人 日本建設業連合会 / Leasing Innovation

▼こちらの記事では設備ごとのオフィス移転費用の相場について解説しています。

オフィス移転の費用を左右する、目的の考え方とは?

オフィス移転は目的設定が重要ですといっても、「会社が移転すると言うから」という場合がほとんどでしょう。では、「オフィスづくりを目的から考える」とはどういうことでしょうか?

オフィス移転の目的を考えるとき、私たちは「家づくり」を例にお話しします。
例えばマイホームを購入するとき、物件から選ぶのではなく、今後のライフイベントや理想の暮らしを見据えて家を選びませんか?

オフィスづくりも同じで、会社の成長ストーリーや理想の働き方を決めてから、具体的な場所やデザインを決めていくべきだと考えています。

コスト扱いのオフィスづくりではなく、投資になるオフィスづくりをするために、移転の目的は社内で明確にしておくことが必要です。仮にプロジェクト中に予算不足になった場合でも、目的がはっきりしていればオフィスの規模や設備を取捨選択しやすくなるはずです。

【サンプル】オフィス移転の目的

目的が大切なのはご理解いただけたところで、企業によって異なる移転の目的を、サンプルとしていくつかご紹介します。ポイントは、まずは自社の現状分析をして、何が足りないか、何が不要かなどを洗い出してから目的を考えることです。

例1「企業のブランディングを強めたい」

【課題】
・社内外にコーポレートイメージが浸透していない
・社員とトップが同じ方向を向いて働けていないことを感じる

⇒ コーポレートイメージの伝わるデザインにする
⇒ 役員個室を廃止し、トップも現場も同じエリアで働くレイアウトにする

例2「新卒採用を強化したい」

【課題】
・求人の応募数が少ない
・応募数が少ないので、優秀な人材を選べる環境ではない

⇒ 学生が働くイメージが湧くような、社員の顔が見えるレイアウトにする

例3「社員の満足度向上につなげたい」

【課題】
・離職率やストレスチェックの数値がよくない
・健やかに気持ちよく働いてもらうことで、業務効率の向上も図りたい

⇒ 業務がしやすく、コミュニケーションをとりやすいデザインにする

上記のような目的が社内会議でスムーズに決まることが理想です。ただしトップと現場、双方の意見を反映させて進めることは想像以上に難しいものです。その場合は、外部の力を借りることもひとつの手段でしょう。

ウチダシステムズが移転でできること

ウチダシステムズではオフィス移転をスムーズにするために、移転前のオフィスの診断や、社員・トップへのヒアリングを通して、オフィスに足りないものや目指す目的をはっきりさせるお手伝いをしています。

そこで決定した目的をもとに、具体的な費用を算出し、オフィス移転完了までをご支援することはウチダシステムズの得意をしているところです。

▼オフィス移転コンサルティングサービスの事例インタビュー

「移転費用を知りたい」
「具体的にどんな方法で目的と費用の設定をしたらいいかわからない」
「目的を達成するためにどんな設備を設ければいいのかわからない」

このようなお悩みがあるなら、ウチダシステムズにぜひ一度ご相談ください。進め方や費用のお悩みにも、より良い解決ができるご提案をいたします。

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そしきLab編集部

ウチダシステムズのスタッフを中心に、組織作りや場づくりについて議論を交わしています。業務の中で実際に役に立ったことなどを紹介していきます。