私たちの視覚は、周囲の環境や物体のテクスチャー、肌理によって支えられていることがわかってきました。心理学者ジェームズ・ギブソンの研究からは、遠くの物体の高さが地面の肌理やアフォーダンスを通じて正確に知覚できることが示されています。これは、伝統的な見方を覆すものです。
また、パイロットが計器ではなく視覚を頼りに着陸する現象も、実際の視覚過程を支えているとされ、視覚が生み出す「包囲光」や「オプティカル・フロー」という概念が重要とされます。遮蔽によって隠れたものを見る動き、遮蔽の縁から物体の形状を知覚することも私たちの日常にあります。
ギブソンの視覚論は、周囲の環境が持つ「意味や価値」をダイレクトに感じ取れると主張しており、アフォーダンスの概念もこの理論から派生しています。現実の世界で私たちが感じるものは、環境に根ざした直接的な知覚の結果なのです。
出典 : アフォーダンス|機関誌Works 連載| https://www.works-i.com/works/series/academia/detail030.html